ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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夜勤、辛いなあ……
寝不足で、頭が痛い……


後始末

明久が古代兵器

ナラクヴェーラを破壊して、数時間後

 

「なるほど……つまり緊急事態により、紗矢華さんの血を吸った……ということですね?」

 

「はい……その通りです」

 

明久と紗矢華の二人は、揃って雪菜の前で正座していた

 

「あのー……雪菜? なんで、私まで?」

 

と紗矢華が手を挙げると、雪菜は紗矢華を見て

 

「紗矢華さんに関しましては、学校でのことに関して師家様から伝言を預かってます」

 

と言った

すると、紗矢華は体をビクッと震わせて

 

「師家様は……なんて?」

 

と雪菜に問い掛けた

すると、雪菜は静かに

 

「お前が発端の校舎破損に関して、学校の降魔官から抗議文が来た。帰ってきたら、覚悟しな。です」

 

と言った

それを聞いて、紗矢華は両手を突きながら項垂れた

それを聞いていた明久は

 

(師家様って、誰だろう?)

 

と思った

すると雪菜が

 

「さて、先輩」

 

と明久に声を掛けた

それに明久が、体をビクッと震わせると

 

「お二人の話を聞いた処、先輩は紗矢華さんから私が見てない所で、血を吸ったんですよね?」

 

と問い掛けてきた

気のせいか、真ん中辺りを強調している

 

「はい、その通りです」

 

明久がそう答えると、雪菜はチラリと紗矢華を見た

紗矢華は今も、明久が渡したジャージを着ている

 

「まあ、無理矢理ではないので、紗矢華さんから吸血したのは不問にしますが……」

 

「もし、無理矢理だったら?」

 

明久がそう問い掛けると、雪菜は収納していた鎗を展開して

 

「突き刺してました」

 

と告げた

 

(まあ、先輩の性格で無理矢理は無いのは確実ですが)

 

(良かった……無理矢理じゃなくって、本当に良かったっ!)

 

雪菜の言葉を聞いて、明久は冷や汗を流した

そもそも、無理矢理吸おうとしたら紗矢華に斬られていた可能性が非常に高いのだが

明久はそこに気づいていない

 

「まあ、確かに獅子の黄金だけでは対処のしようが無かったから仕方ないのかもしれませんが……先輩」

 

「はい、なんでしょうか」

 

雪菜に呼ばれて、明久は反射的に背筋を伸ばした

すると、雪菜が

 

「紗矢華さんに何て言ったのか知りませんが、私は忘れていませんからね……先輩が私に可愛いと言ったのは」

 

と言った

その直後、明久の視界に銀閃が入った

 

「なんとおおお!?」

 

それを見た明久は、己の直感に従って回避行動を取った

その一撃の主は勿論、紗矢華である

 

「今ここで、あたしが殺してやるー!!」

 

顔を真っ赤にした紗矢華は、そう叫びながら剣を振り回した

 

「結局こうなるの!? あー、もう………なんでさー!?」

 

明久はそう叫びながら、紗矢華の剣撃を回避し続けたのだった

紗矢華の体力が尽きるまで

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

時は経ち、翌日

絃神島の国際空港の待ち合いロビーの椅子に、一人の優男

ディミトリエ・ヴァトラーが座っていた

そして、そのヴァトラーの手には、一枚の書類があった

 

「これからは、退屈しないですみそうだ」

 

その書類を読んだヴァトラーは、深い笑みを浮かべながらそう呟いた

すると、スーツを着た紗矢華が歩み寄って

 

「アルデアル候、頼まれていたチケットです」

 

と一枚のチケットを差し出した

なぜチケットを買っているのか

それは、先日の戦闘でヴァトラーの船

オシアナス・グレイヴが沈んでしまったのだ

それにより、ヴァトラーは当初の移動手段を失ってしまったのだ

だからヴァトラーは、絃神島の国際空港に来ていたのだ

 

「ああ……残念だけど、そのチケットはキャンセルになるね」

 

「はい? どういうことですか?」

 

ヴァトラーの言葉の意味が分からず、首を傾げた

するとヴァトラーは、持っていた書類を紗矢華に差し出した

紗矢華は受け取った書類を読むと、驚愕の表情を浮かべてヴァトラーを見た

するとヴァトラーは、笑みを浮かべて

 

「君がチケットを買ってきてる間にネ、特使が来て渡してくれたんだヨ」

 

と答えた

その特使というのは、如何にも学校に一人には居る見た目委員長という少女

獅子王機関三聖の一人、閑古詠だったのだが

そして、書類の内容は要約すれば以下の通りである

 

日本政府は、アルデアル候

ディミトリエ・ヴァトラーの絃神島への大使としての着任を認める

 

というものだった

つまり、ヴァトラーが戦王領域の大使として絃神島が赴任するということだった

 

「ククク……この島に居れば、退屈しないですみそうだな……愛しの第四真祖よ……」

 

ヴァトラーはそう言うと、懐から携帯を取り出しながら立ち上がった

恐らくは、母国に連絡するのだろう

なおこの時、補習中だった明久が寒気に襲われていたりするのだが、それは余談だろう

こうして、絃神島にまた一つの爆弾が残ることになったのだった


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