ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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すまないと思っている


動く者達

「くそっ! 明久のバカが……暴走させやがって……まだ耳が痛いぜっ」

 

そう毒づいているのは、モノレール用の高架橋をあり得ない速度で走っている基樹である

彼は普通の人間ではなく、過応適応者(ハイパーアダプター)と呼ばれる存在である

魔術師ともまた違い、昔で言う超能力者に近いだろう

そんな彼の能力は、風を操る能力である

今は風をブースターのようにして、時速100㎞程で走っている最中である

なお普段は、音響結界(サウンドエスケープ)という結界を学校全体に張っている

その結界は結界内で起きている音により、誰が何処で何をしているかを詳細に知ることが出きるのだ

しかし欠点として、大きな音に弱い

だから、明久が屋上で暴走した時に発生した膨大な音により、その結界は破壊されてしまった

その副作用により、彼は耳鳴りに襲われていた

しかし、修復しながらギリギリ気付けたことがあった

それは、黒死皇派のリーダーが学園に浸入し、浅葱、雪菜、凪沙が誘拐されてしまったのだ

なお、保健室に居たアスタルテはそんな三人を守ろうと卷属で攻撃しようとしたが、それより先にガルドシュによって撃たれてしまった

 

「しっかし、このタイミングで誘拐するなんざ、ガルドシュの野郎も相当イカレてやがんな!」

 

基樹は悪態を吐きながらも、三人が乗せられたバンを追っていた

 

「この先にあるのは………民間の飛行場か!!」

 

基樹がそう言った直後、件のバンはその飛行場に入った

基樹は高架橋から近くのビルの屋上に飛ぶと、ポケットに手を入れて、ボトルを取り出した

そして蓋を開けると、中の錠剤を一気に口に入れて、乱暴に噛み砕いた

今彼が噛み砕いたのは、彼専用の強化薬(ブースター)である

それを服用することにより、一時的に能力を強化することが出きるのだ

彼はヘッドホンを付けると、意識を集中して

 

「届けぇ!!」

 

と大声を出した

数秒後、上空に空気によって構成された基樹が表れた

これは、意識を飛ばして遠くまで偵察するのに向いた技である

そして基樹は、飛行場から飛び立ったヘリコプターを追いかけた

せめて、敵の本拠地を探るためである

しばらくヘリコプターを追いかけていると、基樹はある物を見つけた

しかしそれは、敵の本拠地としては、予想外過ぎた場所だった

 

「嘘だろ……あれは……つっ!?」

 

驚きで固まっていると、背後に膨大なエネルギーを感じて振り向いた

そんな基樹に見えたのは、灼熱の蛇だった

 

「なっ!?」

 

回避する暇もなく、基樹は蛇に食われて、意識が元の身体に戻った

しかし、先ほどの分身で受けたダメージにより、上手く動けなかった

それでもゆっくりと、先ほどの攻撃の発生源に視線を向けた

そこに居たのは、純白のスリーピースを着た優男

ディミトリエ・ヴァトラーが居た

ヴァトラーはやれやれ、といった様子で

 

「君、過応適応者かい? 流石は、魔属特区だネ。面白い人材が居る……けどね、ボクの楽しみを奪わないでくれるかな?」

 

と言うと、右腕を基樹へと向けた

 

「……基樹っ!」

 

基樹の身体の下の影の中から康太が表れた直後、大爆発が起きた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「ダメだな、お客さん。こっから先は、警備隊が通行止めしてて、行けないな」

 

「そうですか……わかりました。降ります」

 

乗っていたタクシーの運転士にそう言うと、明久は降りる準備を始めた

すると、運転士はメーターを止めて

 

「千七百円ね」

 

と運賃を要求してきた

それを、先に降りていた紗矢華が

 

「だってさ、吉井明久」

 

「後で請求するからね!?」

 

明久は文句を言いながらも、お金を払った

そして、タクシーから降りると運転士が

 

「坊主……悪いことは言わねえ。死に急ぐなよ? 俺、元軍人だったんだがな……あの音、重機関銃の音だ……ありゃ、戦場だ」

 

と言ってきた

すると、明久は

 

「大丈夫ですよ。僕は、簡単には死にませんから」

 

と言うと、銃声が聞こえる方へと向かった

事件を解決するために

浚われた友人と妹、雪菜を助けるために

 


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