ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

22 / 182
お久しぶりです
まだスランプ気味ですが、更新再開します
心身共にボロボロですが、頑張ります


浅葱の行動

「もう、遅刻しても知らないからね!」

 

妹の凪沙はそう言うと、明久の部屋から去った

 

そのことに勝利感を覚えつつ、明久は惰眠を貪ろうとタオルケットを被った

 

その数瞬後

 

「明久、起きなさい!」

 

という聞き慣れた声のした直後、腹部に衝撃が走った

 

「おごふっ!?」

 

叫び声を上げながら、明久は視線を向けた

 

腹部に乗っていたのは、浅葱だった

 

「なんで居るの?」

 

明久が問いかけると、浅葱は毅然とした態度で

 

「昨日、マトモに練習出来なかったから、朝練するって言ったでしょう?」

 

と言った

 

「確かに言ったけど、態々僕の家にまで来る?」

 

明久がそう言うと、浅葱は

 

「どうせ、寝坊するつもりだったんでしょ?」

 

と言った

 

その言葉に、明久は口をつぐんだ

 

浅葱が言ったのは、完全に図星だったからだ

 

「やっぱりね………」

 

浅葱はため息を吐くと、キッと明久を睨んで

 

「とっとと着替えなさい!」

 

と声を張り上げた

 

そんな明久達の光景を、ベランダから一羽の小鳥が見つめていた

 

その小鳥は野生ではなく、呪術によって作られた式だ

 

そして、それを操ってるのは、遠く離れたビルの屋上に立っている長身の美少女

 

煌坂紗矢華だった

 

紗矢華は、明久と浅葱のやり取りを見ると、歯を食いしばって

 

「第四真祖……吉井明久!」

 

と憎しみの声を漏らした

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

朝練も終わり、何とか朝一の授業も終えた

 

すると明久は、立ち上がってドアから外に出た

 

そして、渡り廊下に差し掛かったタイミングで

 

「先輩、どこに行くんですか?」

 

「やっぱり居たね、雪菜ちゃん」

 

声のした方を見ると、そこには雪菜が居た

 

「私は先輩の監視役ですから。で、どこに行くんですか?」

 

「ん? 那月ちゃんのとこ」

 

明久はそう言うと、雪菜と一緒に那月の執務室へと向かった

 

「那月ちゃん、ちょっと聞きたいことが、おぶっ!?」

 

「先輩!?」

 

明久の額に扇子が直撃し、明久は倒れた

 

「教師をちゃん付けで呼ぶなと、何回言えばわかる。このバカは」

 

「ぼ、暴力反対……」

 

明久が悶絶していた、まさにその時

 

「お茶はいかがですか、第四真祖」

 

と聞き覚えのある声が聞こえた

 

明久と雪菜が視線を向けると、そこにはメイド服を着た人形のような顔立ちの少女が居た

 

「あなたは!?」

 

「アスタルテちゃん!?」

 

明久と雪菜の二人は、その少女

 

アスタルテをよく知っていた

 

少し前に起きた事件で、殲教師の男に産み出された人造人間の少女だ

 

「アスタルテ。そのバカに茶はいい。私用に新しいのを淹れてくれ」

 

「命令受諾《アクセプト》」

 

那月の命令にアスタルテは無表情で頷くと、壁際にあるティーセットへと向かった

 

「那月ちゃん! なんで、アスタルテちゃんがここにっ!?」

 

話してる途中で明久は大きく飛んで、壁にぶつかった

 

「貴様は学習しないな。吉井………まあ、アスタルテが居る理由だがな、アスタルテは今、保護観察処分中でな。攻魔官であり教師たる私が引き取ったんだ。まあ、メイドも一人欲しかったしな

 

「それが本音だよね!?」

 

明久が突っ込みを入れたタイミングで、アスタルテが那月にカップを渡した

 

すると、アスタルテが恭しく頭を下げた

 

その表情は、どこか微笑んでいるようだった

 

「まあ、アスタルテちゃんが楽しいならいいけど………」

 

明久がそう言いながら立ち上がると、那月が

 

「それで、何の用だ」

 

と明久に問い掛けた

 

すると、明久は真剣な表情で

 

「クリストフ・ガルドシュ、どこに居るの?」

 

と問い掛けた

 

「貴様、その名前をどこで聞いた?」

 

那月が睨むように問い掛けると、明久は

 

「ディミトリエ・ヴァトラー」

 

と答えた

 

すると、那月は舌打ちして

 

「あの蛇使いめ、余計なことを………」

 

と吐き捨てるように言った

 

そして、明久を睨み付けながら

 

「で、なぜそいつの居場所を?」

 

「捕まえる」

 

那月の目付きが、一気に厳しくなった

 

「捕まえるだと? 貴様が?」

 

「正確には、僕と雪菜ちゃん」

 

明久がそう言うと、那月はするどく睨んで

 

「今の貴様が行っても、殺されるだけだぞ。相手は、元々プロの軍人だし、更には、超古代の遺物持っているらしい」

 

と語った

 

「超古代の遺物?」

 

明久がそう言うと、予鈴が鳴った

 

「鳴ったぞ。とっとと戻れ」

 

と那月は言いながら、手をヒラヒラと振った

 

時間もあって、明久達は教室へと戻った

 

そして、昼休み

 

明久は、浅葱に近寄り

 

「浅葱、ちょっと調べてほしいことがあるんだ」

 

と言った

 

「調べてほしいこと?」

 

浅葱が首を傾げると、明久は頷き

 

「そ。那月ちゃんに課題出されちゃってさ。超古代文明のことを調べて、レポートにしろってさ。なんでも、ちょうど良く超古代文明の物が輸入されたみたいだし」

 

明久がそう言うと、浅葱は納得した様子で頷き

 

「またあんたは………」

 

と苦笑いを浮かべた

 

が、端末を振りながら

 

「調べてあげたいけど、こいつじゃあ、パワー不足なのよねぇ」

 

と呟いた

 

だが、何か思い付いたらしく指を立てて

 

「明久、付いてきなさい」

 

と言って、歩きだした

 

そして、着いたのは生徒会室だった

 

「生徒会室?」

 

明久が疑問符を浮かべていると、浅葱が

 

「ここのパソコン、なかなか性能が高いのよ」

 

と言いながら、ドアに手をかけた

 

「待って、鍵は……」

 

「え、開いたわよ?」

 

浅葱がそう言うと同時に、ドアは抵抗なく開いた

 

「セキュリティの意味がない件について」

 

明久がそう言ってる間に、浅葱は中に入った

 

明久がそれに続いて中に入ると、浅葱がドアを閉めて施錠した

 

「浅葱?」

 

「勝手に使ってるんだから、見つかるわけにはいかないでしょ?」

 

浅葱の説明を聞いて、明久は納得した

 

明久が納得してる間に、浅葱はパソコンを使って調べ始めた

 

「あ、これね」

 

しかも、ものの数秒で見つけたらしい

 

「早っ」

 

明久が覗きごこむと、浅葱は画面を指差しながら

 

「えっと、ナラクヴェーラって言うみたいね……」

 

と呟いた

 

「ナラクヴェーラ………」

 

明久がそう繰り返し呟いていると、浅葱が額に手を当てているのに気づいた

 

「浅葱?」

 

「なんか、聞き覚えがあるような……」

 

浅葱が首を傾げて唸っていると、ドアがガタガタと揺れた

 

「やばっ!」

 

浅葱は急いでパソコンの電源を切ると、明久の胸ぐらを掴んで机の下に隠れた

 

その直後、ドアが開いて明久達のすぐ目の前を誰かが通り過ぎて、奥のパソコンを使い始めた

 

「ここに入れるってことは、生徒会顧問の岡峰ね? 早く終わりなさいよ………」

 

浅葱は呟くようにそう言いながら、髪を掻き上げた

 

すると、明久の視界に小さいピアスが見えた

 

青い宝石が付いている、小さいピアスだった

 

そのピアスに、明久は見覚えがあった

 

なにせ、そのピアスは浅葱が誕生日プレゼントとして明久に買わせたピアスなのだ

 

「それ………」

 

「あ、気付いた?」

 

浅葱の言葉に、明久は頷いた

 

すると、浅葱は微笑みを浮かべて

 

「大事にしてるんだからね?」

 

と言うと、明久の頬に軽くキスした

 

その直後、明久の鼻から血が流れた

 

「あ、明久?」

 

「あ、やばっ」

 

明久は慌てて隠すが、既に後の祭だ

 

浅葱は微笑んで

 

「エッチ」

 

と明久の額を指で突っついた

 

それに明久は慌てて反論するが、浅葱は笑うだけだった(二人して小声で)

 

それをまた、窓の外から一羽の鳥が見ていた

 

ただし、その鳥は野性の鳥ではなく式神だった

 

そして、その使い手は学校から少し離れた鉄塔に立っていた沙矢華だった

 

「吉井明久、もう、許さないっ!」

 

沙矢華はそう言いながら、楽器ケースのロックを外した

 

そして、事態は大きく動き出す


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。