ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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序章

タルタロス・ラプスによるテロから、約1ヶ月が経過した。一応だが、絃神島は安定を取り戻しつつはあったが、二つ大きな変化があった。

 

「いやぁ……浅葱ってば、有名人になっちゃったねぇ……」

 

という呟きを漏らしたのは、築島倫である。

実は浅葱は、タルタロス・ラプスのテロの解決の立役者の一人として報道され、それ以後はまるでアイドルのように扱われている。

実際、今築島倫が見ているのは、つい先日に新しく発表されたMVであり、そのMVでは浅葱はアイドル顔負けのダンスと歌を披露している。

のだが、浅葱をよく知る明久達からしたら、違和感でしかないのだ。

確かに浅葱は運動神経も諸々の成績も良いが、アイドルに対して懐疑的な意見を言う性格だったし、男性アイドルにも一切靡かなかった。

だというのに、まるでアイドルのように活動している。

違和感を覚えない訳がなかった。

そしてもう1つが、人工島管理公社の事だった。

基樹の父親が(表向き)死亡により解任され、(こちらも表向き)基樹の兄が代表に就任。(これまた表向き)基樹はそんな兄の補佐で、中々学園に来れない状況になっている。

少し前に一度来たのだが

 

『くそっ……Cが中々戻ってこねぇ……何とかしないと……』

 

と鬼気迫る表情だった。

Cというのが何なのかは明久は知らないが、基樹が忙しいというのは察した。

 

「……色々、変わったな……」

 

と明久が呟いた時、倫が歩み寄ってきて

 

「吉井くん。見てこれ」

 

とスマホを見せてきた。画面には、カラフルな衣装を着た浅葱がマイクを持って歌って踊っている。

確かにその声は浅葱なのだが、明久にはどうにも違和感があった。

すると倫が

 

「あ、やっぱり変な感じするわよね。確かに浅葱って、歌も運動神経も良いけどさ、こういう事する性格じゃないわよね」

 

と明久の表情を見て同意した。

どうやら倫も同じ事を考えていたらしく、明久は自分だけじゃなかったという思いから頷いた。

その時、MVの映像と音声に僅かにノイズが走った。

それに気付いた倫は

 

「あ、まただ。時々ノイズが走るのよねぇ」

 

と呟いた。

二人は気付かなかったが、実は非常に小さい声が流れていたのだ。

その内容は

 

『明久……助けて……』

 

であった。

実はこのノイズは、明久に近い人物のスマホやパソコンから時々流れていて、非常に短時間かつ小さい声だったから気付いていなかった。

もし聞いていたら、その時点で何かしらの行動を始めていただろう。

もしくは、明久が自分のスマホやパソコンから聞いていたら、違ったかもしれない。

だが、言える事は1つ。

近い内に、また明久は渦中に飛び込んで刀を振る。


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