ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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招待状とお届け物と

明久が学校に到着すると、下駄箱の所で浅葱と出会った

 

どうやら、今登校してきたらしい

 

「やっほ、浅葱」

 

「あら、明久。おはよう」

 

二人は何時ものように挨拶すると、上履きに履き替えて、教室へと向かった

 

すると、浅葱が思い出したように

 

「ねえ、明久は決めたの? 出場する競技」

 

と明久に問い掛けた

 

すると明久は、思い出すように唸りながら

 

「あー……確か、築島(つきしま)さんに楽なのって頼んだなぁ……」

 

と言った

 

築島というのは、明久と浅葱のクラスのクラス委員長である

 

なお、本名は築島倫(つきしまりん)と言う

 

真面目な少女なのだが、どこか茶目っ気があり、時々とんでもない爆弾発言をするのだ

 

だが、問題児の集まりである明久達のクラスを纏められている実績があり、教師達からは信頼が厚い

 

「まぁたアンタは、そんな手抜きして……元運動部なんて、体育祭や球技大会位でしか役に立たないんだから、真面目にやりなさいよ」

 

浅葱がそう言うと、明久はジト目で浅葱を見ながら

 

「浅葱……君は今、全元運動部を敵に回す発言をしたよ?」

 

と唸るように言った

 

「事実でしょ」

 

そんな会話をしている内に、明久と浅葱は教室に到着した

 

すると、二人が到着したことに気づいた築島と基樹がニヤニヤと笑みを浮かべて

 

「いらっしゃいお二人さん」

 

「お前らにうってつけの競技、選んでおいたぜ」

 

と言いながら、黒板を指差した

 

そして、明久と浅葱は黒板を見て固まった

 

なにせ、そこには……

 

男女混合テニス 明久&浅葱

 

と書かれてあったからだ

 

そして放課後、明久はジャージに着替えると校庭脇のベンチに座っていた

 

今明久は、浅葱とのテニスの練習は一休みしていた

 

そして、相方の浅葱は喉が渇いたとのことで、購買まで飲み物を買いに行っている

 

「暑いなぁ……」

 

明久がそう言いながら、胸元を扇いでいると、遠くで何かが一瞬光った

 

それと同時に、明久は自身の直感に従って前へと飛んだ

 

その直後、明久が座っていたベンチが砕け散った

 

「なんだ!? なんですか!? なんなんですか!? の三段活用!?」

 

と明久が驚いていると、その砕け散ったベンチの場所から、二頭の金属製の獣が現れた

 

「嫌な予感……」

 

明久がそう呟いた直後、その二頭の獣はそれぞれ牙と爪で明久に襲いかかってきた

 

「おっとぉ!?」

 

初撃はバックステップで避けたが、獣達は素早く連撃を繰り出してきた

 

「なんとぉぉぉ!!」

 

明久はそれをなんとか、側転で避けた

 

だが、次の一撃は避けられないと思った

 

その時だった

 

「先輩、伏せてください!」

 

という声が聞こえて、明久は転ぶように伏せた

 

その直後

 

「雪霞狼!」

 

という凛々しい声と同時に、銀閃が走った

 

「はあぁぁぁ!!」

 

続いてもう一閃閃き、明久に襲いかかってきた金属製の獣達は瞬く間に金属製の紙に戻った

 

「雪菜ちゃん!」

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

明久は現れた人物、雪菜を見上げた

 

近づいてきた雪菜は、明久に手を貸して明久を立たせた

 

立ち上がった明久は、ジャージに付いた砂埃を叩き落としてから

 

「雪菜ちゃんは、なんでここに?」

 

と雪菜に問い掛けた

 

すると雪菜は、雪霞狼を地面に突き立てて

 

「先輩に付けておいた式が、危機を知らせてきたんです」

 

と言いながら、落ちていた金属製の紙を拾い上げた

 

すると明久は、そんな雪菜をジト目で見ながら

 

「ねぇ、雪菜ちゃん……プライベートは見てないよね? 見てないよね!?」

 

と問い掛けたが、雪菜は聞き流して何か呟いてから金属製の紙に指を滑らせた

 

すると、金属製の紙は蝶になってパタパタと飛んでから、地面に落ちた

 

「なにしたの?」

 

雪菜が何をしたのか分からす、明久は問い掛けた

 

すると、雪菜は金属製の紙を溜め息混じりに見ながら

 

「ダメですね……逆探知出来ません……」

 

と呟いた

 

「逆探知?」

 

「はい。これを使っていた術者を特定しようと思ったんですが……相手もなかなかの手練れみたいですね」

 

雪菜はそう説明すると、明久へと体を向けて

 

「それに、今の術は対象の相手に手紙を届ける術の筈で、あんなに攻撃的じゃないんですが……」

 

と困惑した様子で、砕け散ったベンチに視線を向けた

 

それに続くように、明久もベンチへと歩み寄ると、しゃがみこんで

 

「ねえ、雪菜ちゃん……手紙を届ける為の術って言ったよね?」

 

と雪菜に問い掛けた

 

すると、雪菜はキョトンとした表情で

 

「ええ……そうですが……」

 

と答えた

 

すると明久は、ベンチの有った場所から何かを摘まんで

 

「じゃあ、これは僕宛てってことかな?」

 

と言いながら、摘まんでいた物を見せた

 

それは、蝋で封がされた一通の封筒だった

 

そして雪菜は、その蝋に刻まれてある紋章を見て、目を見開いて

 

「そんな!? その紋章は、戦王領域の!?」

 

と驚愕の声を上げた

 

「戦王領域? って、なんでさ……」

 

明久が訳が分からず首を貸していると、騒ぎに気付いたらしく教師達が駆け寄ってきた

 

それに気づいて、明久は封筒をポケットに隠した

 

そして、教師達に状況を説明すると、この日は練習も早々に切り上げて帰ることになった

 

そして、帰り道で明久は封筒を開いた

 

戦王領域からの手紙と聞いて、英語とかかな? と危惧していたが、意外にも日本語だった

 

手紙の内容は簡単に言うと、ダンスパーティーの招待状だった

 

ただし、条件が厄介だった

 

何せ、異性の伴侶を同伴させて、尚且つ、礼装の着用が義務だったのだ

 

「うーん……礼装なんて持ってないし、相手なんてもっとなぁ……」

 

と明久が後頭部を掻いていると、雪菜が

 

「先輩、踊れるんですか?」

 

と問い掛けた

 

すると、明久は胸を張って

 

「踊れるわけないじゃん!」

 

と断言した

 

「威張らないで下さい……」

 

明久の言葉を聞いて、雪菜は深々と溜め息を吐いた

 

そんな会話をしてる内に、部屋の前に到着した

 

その時、明久は不在時受け取り棚に、大きな箱が入っていることに気付いた

 

「なんだろ…………え゛!?」

 

「先輩? どうしました? …………え?」

 

固まった明久に続いて、雪菜も箱に付いてる伝票を見て固まった

 

なぜならば、その伝票には《宛、第四真祖吉井明久殿 発、獅子王機関》

 

となっていたからだ

 

数秒して復活すると、明久と雪菜は顔を見合わせてから箱を雪菜の部屋の方へと運んだ

 

明久としても雪菜としても、獅子王機関からの宅配便の中身に思い当たりが無かったのである

 

念の為に、明久は雪菜に立ち会ってもらい、箱を開けた

 

中に入っていたのは、何か黒い物だった

 

「なんだこれ……」

 

明久はそう言いながら、それを掴み出した

 

するとそれは広がり、礼服の上着になった

 

「これって、スーツ?」

 

明久はキョトンとしながら、もう一つも掴み出した

 

それは黒いズボンで、更にはワイシャツまで入っていた

 

しかも驚いたことに、サイズは明久にピッタリだった

 

「なんで獅子王機関が先輩に?」

 

「さぁ……ん? もう一着ある……」

 

明久はそう言いながら、中に入っていた一着を取り出した

 

明久が取り出したのは、白を基調として水色のアクセントが入った一着のドレスだった

 

「ドレス? なんで……って、なんか紙が……」

 

明久が首を傾げていると、ドレスから小さな紙が一枚ヒラヒラと落ちた

 

明久はドレスを一旦置くと、紙を拾い上げた

 

「えっと……姫柊雪菜様……式用ドレスセット一式……Cカップ……B77……W56……って!?」

 

途中まで読むと、明久はそれが雪菜のスリーサイズを書いたものだと気付いて固まった

 

そして、背後から漂ってくる不穏な気配に気付いて、ゆっくりと振り向いた

 

そこには、無表情になり雪霞狼を持った雪菜が佇んでいた

 

明久は心中で

 

(あ、これは、地雷踏んだ……)

 

と思いながら、正座した

 

すると、雪菜は雪霞狼を高々と掲げながら

 

「先輩……何か、言い残すことはないですか?」

 

と明久に問い掛けた

 

明久は諦めながらも、精一杯の笑顔を浮かべて

 

「うん……そのドレス、似合うと思うよ、雪菜ちゃん」

 

と誉めた

 

すると雪菜は、顔を真っ赤にしながらも雪霞狼を振り下ろした

 

その直後、明久の悲鳴が轟き渡った


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