「……まさかとは思うけど……あんたら、全員自衛官?」
先ほど自身が倒した自衛隊員を見ながら明久は、まだワイバーンに乗った二人を見た。明久からの問い掛けに、ワイバーンに乗っていた騎士達が答える前に、その答えは示された。
「安座真三佐! 私に、新しい情報を下さい! 新しい情報を!!」
それは、明久が倒した自衛隊員だった。下半身が無くなっているというのに、普通にしながら後から現れた騎士の方に手を伸ばした。
「三佐……指揮官か……」
三佐という階級から、明久はその人物が部隊指揮官だと考えた。すると、その騎士。安座真は倒された隊員の近くにまで降りて
「……お前が、私の情報になれ」
「え」
安座真の言葉の意味を理解する前に、安座真は部下の胸を突撃槍を突き刺した。
「安、安座真三佐!? 何故!?」
「お前には、これ以上情報を与えた処で使いこなせない」
部下からの問い掛けに、安座真は無感情に答えた。その直後、部下の姿が掻き消えていく。
「あ、あぁ……あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
叫び声を挙げながら、部下は消えた。
「あんた……どういうつもりだ……? 部下を……!!」
「……一度負けた奴には、期待しない……それに、あいつに渡した
明久が怒りを滲ませながら睨むが、安座真は淡々と答えた。その時、重低音が聞こえて
「先輩!」
「あれを!!」
雪菜と唯里はある方向を指さし、その先に明久も視線を向けて固まった。その先に見えたのは、迷彩柄の巨体。
「輸送機……いや、ガンシップ!?」
それは、航空自衛隊の有していた輸送機のCー4輸送機を基に対魔族用に装甲を強化し、大火力を施したACー2対地攻撃機だった。
安座真は一気に高度を上げると、ガンシップに接近。右手を触れさせた。すると、ガンシップの見た目が変貌していく。
現れたのは、巨大な多数の頭を持つ龍だった。
「やっぱり、そういうことだったか……! そのワイバーンも、元々は対戦ヘリコプターか何かだな!!」
変貌した三つ首の龍を見て、明久はワイバーンを睨んだ。そして、明久の読みは当たりだった。安座真達が乗っていたワイバーンは元々は装甲が強化された対戦車ヘリコプターだった。
安座真達はそれらの装備を、一般隊員達に気付かれないように聖殲派の仲間達に遠回りさせて近隣に運ばせて、隠していたのだ。
それらを、聖殲の遺産を使って変質させていたのだ。
「もう一度言うぞ、第四真祖……今すぐ、グレンダを差し出せ……それは、貴様には過ぎた存在だ……それに、なんなら貴様に、人としての死を与えてやるぞ?」
「……嫌なこった。あんたらに渡したら、絶対にロクな事にならない……そんな確信がある……それにさ……あんたが、自分の部下を容易く切り捨てたのを見てるんだ……だから、安座真だっけ……あんたを、倒す」
「傲ったな、第四真祖!! ここで消えろ!!」
明久が刀を突き付けた直後、安座真は明久の方に右手を向けた。その直後、黒い弾丸が明久に迫った。その弾丸の速度は、部下の比ではなく、明久は回避が間に合わないと判断し
「離れて!!」
と雪菜と唯里を突き飛ばした。その直後に足下に着弾し、明久の足下に一気に広がった。
「ぐっ……あっ……!」
明久は何とか離脱しようとしたが、離脱出来ずに黒い水溜まりの中に沈んでいく。
「先輩!!」
「明久さん!!」
雪菜と唯里は明久を助けようとしたが、その二人を明久は視線で止めて
「離脱して!! 多分、湖の近くに父さんかお祖母ちゃんが居る筈だから……!!」
と助言して、そのまま沈んだ。
「そんな……!」
それに雪菜と唯里が固まった時
「うー……ダー!!」
なんとグレンダが、明久が沈んだ黒い水溜まりに飛び込んだのだ。
「なっ!?」
「グレンダが!?」
安座真と残った騎士。御影特尉は、驚きで固まったどうやら、完全に予想外だったらしい。そして、黒い水溜まりは、閉じきった。
「バカな……グレンダが……」
「
そうして明久は、異境を知る。