ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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ある意味では、幕間です
固有結界内部で明久達が動いてる時、外で


一方、外では

ザザラマギウが固有結界を張ってる位置から、僅かに離れた場所のビルの屋上。

 

「で、公社の人工知能はアレをどう分析している?」

 

「あー……ザザラマギウとやらを降臨させるために形成された、保護フィールドって分析してました。言うなら、卵っす。恐らくは、あの中に邪神のコアがあるて見てます。んで、今は人工衛星からのレーザー攻撃の準備中らしいっす」

 

何時もの格好の那月の問い掛けに、矢瀬はそう答えた。今も二人の視線の先では、ザザラマギウの球体が不気味の蠢いている。

そして矢瀬は、腕時計を見て、後90分と呟いた。

人工衛星の対地レーザーだが、未だ未完成の攻撃システムで、人工衛星の数と軌道の影響で三時間に一度しか射撃は出来ず、はっきり言って間に合うかは微妙で、更に言ってしまえば効果があるかも分からなかった。

 

「邪神の実体化を止める方法は?」

 

「今のところは不明っす。他の魔族特区にも問い合わせしてますが、何分古い資料しか見つからないので、正確な時間は……あの二人(明久と姫柊ちゃん)に期待するしかないっすね」

 

「あの二人にか……無謀だな。ダムの決壊に、たった二人の技師が対処するようなものだぞ」

 

矢瀬の説明に、那月は思わず眉をひそめた。魔力を無効にする槍も神気には相性が悪く、世界最強と吟われた第四真祖も現状の眷獣で対処が出来るとは、那月には思えなかった。

 

「まあ、時間を稼げば、明久がどうにかする。って姫柊ちゃんは考えてるんでしょうね。だからこそ、公社も対策を考える余裕が有るんですが」

 

「……少しばかり、あのバカに頼り過ぎな気がしないでもないが……」

 

「まあ、確かに……」

 

那月の言葉に、矢瀬も同意した。そのタイミングで、矢瀬の足下の影が盛り上がり、康太が現れた。

 

「おう、どうだった?」

 

「……ダメだ。中には入れない……完全に異界になっているようだ」

 

矢瀬の問い掛けに、康太は答えながら首を振った。どうやら康太は、影を使ってザザラマギウの固有結界内部に侵入を試みたらしいが、ダメだったようだ。

それを聞いた那月は、溜め息混じりに

 

「では私と西村は、あの木偶共を引き渡してくるぞ」

 

と言って、振り向いた。その先には、レージングで縛られた筋骨隆々の男が三人程居た。その内の二人は、胸部に拳の痕がクッキリと残っている。どうやら、西村の拳の直撃を受けたようだ。

 

「お疲れ様です」

 

矢瀬が労いの言葉を言った直後、那月と西村の姿が消えた。恐らく、警備隊に引き渡しに行ったのだろう。それを見送った二人は、今もゆっくりと大きくなっているザザラマギウの固有結界を見て

 

「さて……どうすっかな……卵だけなら、まだ被害は少ないらしいが……」

 

「……降臨した場合は、被害が不明か……そういう意味では、藍羽もだろう」

 

「言うなよ……浅葱は、どうだった?」

 

実は浅葱は、あれから強制的に地下に入れられており、外に出る許可も出ていないのだ。つまり、約数時間に渡って閉じ込められてるのだ。

 

「……激おこカムチャッカファイアー……ってところか?」

 

「っだよ、マジかよ……それレベルだと、どっかのケーキ屋のケーキを全種類買わないと機嫌取り出来ねぇ……畜生、経費で落ちねぇかな……」

 

「……無理だろうな……財布の大破は免れないな……」

 

「……今月の俺の財布が死んだ……」

 

矢瀬は涙を流しながら、両手両膝は突いたのであった。


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