ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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焔光の宴 3

アヴローラを自宅に受け入れた翌日。

 

「とりあえず、今日はどうするか……」

 

と明久は、今日はどうするか考えていた。

その時だった、明久は鋭い視線を玄関の方に向けた。そこに直後、爆発音が響き渡り、数人のマントを頭から被った連中が押し入ってきた。

 

「いきなり、なに?」

 

「十二番を渡せ……」

 

「それは、貴様のようなガキには不相応な代物だ……」

 

「我等、ネプラシ武器商が有効活用する」

 

押し入ってきた連中は明久の問い掛けにそう答えると、袖の中から黒光りした凶器を出した。

 

(ネプラシ武器商……父さんが言ってた、死の商人か)

 

その手に握られている拳銃と、ネプラシ武器商という名前を聞いて、明久は牙城から聞いた話を思い出した。

ネプラシ武器商、吸血鬼の下位存在であるネプラシが自身の身体能力を活かして、戦場まで武器を運び売り捌く死の商人だと。

 

「死ね」

 

「遅い」

 

一人が拳銃を向けて、引き金を引こうとした。だがその瞬間には、既に明久は一人の背後に回りこみ、首筋に手刀を叩き込んでいた。

 

「貴様!?」

 

「ほっと」

 

仲間が無力化されたことに怒り、他の数人が拳銃を向けて即座に発砲したが、その時には明久は、自室のドアを開けて自室に滑り込んでいた。

すると、銃声で起きたらしいアヴローラが、驚いた表情で入ってきた明久を見ていた。実は先日、一人で寝るのは怖いと言ってきたアヴローラと一緒に寝たのだ。

 

「何が……」

 

「大丈夫だよ、アヴローラ」

 

明久は微笑みながら答えると、クローゼットの下の引き出しの裏面に貼り付けてあった小太刀を外した。

 

「まさか、使う時が来るなんてね……」

 

牙城から押し付けられた刀の一本、鉋切長光だ。

押し付けられた時はどうしようか迷って、そんな所に隠したが、まさか使う時が来るとは。

そして明久は、銃撃が止んだタイミングを狙って長光を抜刀しながら突撃。

数分と経たずに、突入してきた連中を全員無力化した。

 

「さてと……」

 

全員を倒した明久は、一発の銃弾がかすった肩を見たのだが、既に傷口が塞がっていた。

 

「……これって、もしかして……」

 

その現象が何なのかを察して、明久は今まで聞いたキーワードから答えを導いた。

 

「血の従者……ってやつ?」

 

血の従者。

それは、永い年月を生きる吸血鬼が自身の体の一部を相手に移植することで成る存在で、高い再生能力と身体能力。そして何より、吸血鬼程ではないが、永い年月を生きることが出来るようになるのだ。

 

「そうだ……汝は、我が従者だ……」

 

そう言いながら自室から、アヴローラが現れた。

アヴローラは辛そうにしながら

 

「覚えてはいないだろうが、汝は一度死にかけた……我は汝を助けるために、我の骨を移植した……」

 

と言いながら、左手で脇腹の少し上辺りを触った。恐らく、肋骨を移植したのだろう。

 

「済まぬ……我には、それ以外どうしようも……」

 

「いいよ、アヴローラ……どうやら、アヴローラは僕を助けてくれたみたいだし……恨んだりはしないさ」

 

泣きそうになったアヴローラを見て、明久はアヴローラの頭に手を置いて撫でた。そして、荒れ果てた居間を見て

 

「さて、どうするか……」

 

と考え始めた。恐らく、後数分と経たない内に警備隊が駆け付けるだろう。そうなると、色々と面倒な事態になる。

と明久が考えていると、ドカドカと新たに誰かが入ってきて

 

「ちい! 遅かったか!?」

 

と牙城が舌打ちした。

 

「父さん!?」

 

「明久! 最低限の荷物だけ持って、着いてこい! アヴローラも連れてこい!」

 

牙城はそう言いながら、明久が無力化したネプラシ達の武器を奪っていく。明久は言われた通り、ボストンバックに最低限の着替えやらを入れてから、アヴローラと一緒に牙城の後に着いていった。

そして本能的に

 

(これは、長い一日になりそうだ……)

 

と察したのだった。


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