ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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焔光の宴 2

明久とアヴローラが買い物するために、スーパーに寄った。そして、夕食の買い物をしていた時、アヴローラがアイス売り場で動きを止めたことに気付いた。

 

「アヴローラ……アイスが気になる?」

 

「む……」

 

明久の指摘を受けて、アヴローラは顔を赤くして固まった。それを見た明久は、微笑みながら財布を開けて中を見た。

そこに

 

「あら、お兄さん。妹さん達の面倒を観て、偉いわねぇ」

 

と一人の女性が言いながら、横を通り過ぎた。

 

「へ?」

 

それを聞いた明久は、周囲を見て固まった。

何故ならば、アヴローラに瓜二つの少女が更に三人居たからだ。

 

「ほ!?」

 

と明久は驚くが、その三人もアイスをジッと見ているのが分かった。それを見た明久は、再度財布を確認し

 

(……まあ、大丈夫だね)

 

と判断。その後、食材を買ったついでにアイスを5つ購入。全員で食べることにした。

 

(……けど、アヴローラの声って、あの時僕に12番目とか従者とか言った相手と同じ声のような……)

 

と明久が考えていると、一人が

 

「美味だった……」

 

とアイスを食べ終わったらしく、近くのごみ箱に空容器を投げ捨てた。

それに続く形で、アヴローラを含めた三人も食べ終わり、最後に明久も食べ終わった。

そうして、離れようとした三人に明久は

 

「また、一緒にアイスを食べようね」

 

と言葉を投げ掛けた。

それに三人は僅かに驚いた表情を浮かべるが、頷いた後に姿を消した。

その光景を見たアヴローラが

 

「……恐いもの知らずか、汝は……」

 

と呆然と呟いた。

 

「え、そうかな?」

 

「はぁ……」

 

会話しながら二人は、立ち寄っていた公園から出た。すると、ビルの外壁のモニターであるニュースが流されていた。

 

「……ネプラシ自治区で、未知の病気が大流行……」

 

それは、欧州の臨時ネプラシ自治区で起きている未曾有のバイオハザードと流されていた。住んでいる人々が、次々と倒れては擬似的に吸血鬼に変貌しているという。聞いたこともない病気だった。

この時、明久は気づかなかったが、アヴローラは俯きながら

 

「もう、猶予は無い……原初(ルート)を、どうにかせぬと……」

 

と呟いた。

一方その頃、ある喫茶店では

 

「……やっぱり、納得いかない!」

 

と一人の少女。

正体を明かすと、ヴェルディアナが、頭に着けていたカメイドチューシャを床に叩き付けた。

 

「何故私が、使用人の格好をしなければならないの!?」

 

とヴェルディアナが憤慨していると、横から現れた男性が

 

「文句があるなら、外に放り出してもいいんだぞ? ヴェルディアナさん? こっちは、まあ人手不足になる位だからな」

 

と告げた。今ヴェルディアナが居るのは、一言で言えば、メイド喫茶である。

基樹と康太の二人が連れてきたのは、訳アリ魔族を受け入れる趣味を持つ紅い髪の毛が特徴の青年が経営する喫茶店だ。

その青年と基樹は友人で、基樹がよく訳アリ魔族をその青年の所に連れていき、その青年が訳アリ魔族が一人立ち出来るまで面倒を見るのだ。

 

「う……」

 

そしてヴェルディアナは、今外に出たら捕まってしまう確率が高い。報道はされていないが、MARがヴェルディアナを探しているのはほぼ確定しているのだから。

だからヴェルディアナは、床に叩き付けたカチューシャを拾って、装着した。

実はそのカチューシャには、認識阻害の魔術が施されており、余程のことが無い限りは相手に正体がバレない代物である。

そしてヴェルディアナが着ているメイド服の胸元には、ヴェルアーナという名前が書かれている。どうやら、働いている間の偽名のようだ。

 

「さて、ヴェルアーナ……どうする?」

 

「うぅ……働きますわ……」

 

青年の問い掛けに、ヴェルディアナはそう答えるが、内心では

 

(早く、私を見つけてください、牙城!!)

 

と牙城に、助けを求めていたのだった。


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