ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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騒動の幕開け

浅葱に捕まった明久と雪菜は、人が居なかった休憩所に連行されて

 

「さてと……洗いざらい吐いてもらうわよ。何を隠しているのか」

 

と問い詰められていた。

 

「考えてみたら、姫柊さんが来てから色々と起きすぎで、その騒動の中心には必ず明久が居るのよね」

 

という浅葱の言葉を聞いた明久は、思わず視線を雪菜に向けた。

 

(だからって、私を疫病神みたいにしないでくださいね。先輩だって、騒動の中心に自ら飛び込んでるじゃないですか)

 

(うぐふっ)

 

アイコンタクトでの会話で、明久は精神的にダメージを受けた。

そこに

 

「さあ、何を隠しているのか喋ってもらうわよ!?」

 

と浅葱が詰め寄った。

その時だった、病院が大きく揺れた。

 

「な、なに!?」

 

浅葱が驚いた表情で顔を上げると、赤い非常灯が点滅を繰り返しながら

 

『緊急事態発生! 緊急事態発生! 当病院入り口にて魔族の魔力が暴走、被害が出ています! 警備員は至急対応に向かい、スタッフは患者及び一般客の避難を!!』

 

と放送が流された。だが、雪菜と明久は

 

「先輩!」

 

「今の、魔力の暴走程度じゃない……貴族……ううん、旧き者クラスの眷獣だ!」

 

と言って、座っていたソファーから立ち上がって駆け出した。それを見た浅葱は

 

「あ、ちょっと! 二人とも!?」

 

と二人を追い掛けて、駆け出した。

少し時は遡り、病院から少し離れた場所

 

「ふん……人間とはヤワだな……倒れて病院に搬送されるとはな」

 

「妹思いの良い方ではないですか、トビアス」

 

あるビルの屋上に、トビアス・ジャガンとキラ・レーヴェデフ・ヴォルディズボワの二人が居た。

なお、病院を挟んだ反対側のビルの屋上にはオシアナスガールズが狙撃と迫撃砲の用意をして待機している。

 

「さて、仕事の時間ですよ。トビアス」

 

「そのようだな……まったく、本当に奴は……」

 

キラの言葉を聞いたトビアスは、悪態混じりに近づいてきていた人物を視認した。

揺れる度に炎のように色が変わる長い金髪に、幼いと呼べる体躯。そして、紅い目に吸血鬼を示す長い犬歯。

 

「……その姿を俺に見せて、無事で済むと思うな!!」

 

トビアスは怒号と共に、相手の少女を睨んだ。

しかし、少女は

 

「ふむ……それがお主の魔眼(ウェジェト)か……残念だが、私には効かない」

 

と涼やかに告げて、腰に両手を当てた。

その言葉に、トビアスは舌打ちしてから

 

「ならば……行け、妖撃の暴王(イルリヒト)!」

 

と炎の巨大な猛禽類の眷獣を召喚し、その少女に向けて放った。

しかし、少女は慌てずに

 

「ふむ、おいで……」

 

とだけ呟き、その後ろに体長10mに達するだろう巨大な骸骨を召喚した。

トビアスが召喚した炎の猛禽類は、確かにその骸骨に体当たりした。しかし、少女が召喚した骸骨は一切ダメージは無い。それどころか、その拳で炎の猛禽類を殴り倒した。

 

「な!? ちいっ、崩撃の鋼王(アルラウト)!!」

 

まさか倒されると思っていなかったトビアスは、即座に鋼のゴーレム型の眷獣を召喚した。その直後

 

炎網回廊(ネフィラ・イグニス)

 

とキラが、溶岩によって体が構成されている眷獣を召喚した。

 

「キラ! こいつは俺が!?」

 

「トビアス……この方は、私の予想通りならば二人掛かりでも怪しいですよ」

 

キラの言葉に、トビアスはうろんな表情を浮かべた。すると、少女は

 

「ほう……流石だな、キラ・レーヴェデフ・ヴォルディズボワ……その眼力は、見事よ」

 

とキラを称賛した。

 

「さて、そろそろ今代の第四真祖に会いたいのでな……通らせてもらうぞ……」

 

そして少女は、新たな眷獣を召喚。

二人の眷獣を一撃で撃破し、病院を見てニヤリと笑みを浮かべたのだった。


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