ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

105 / 182
邂逅

時は少し遡り、昼頃の事だ。

旧アイランドサウス島、そこは以前に大事故が発生し、一般人の立ち入りが制限された場所であり、本来は誰も居ない筈の場所。

しかし、その一角では陽気な音楽が流されていた。

そこに集まっていたのは、大柄な男達だった。その身長は優に3mを越えている。

それもその筈で、彼等は巨人族(ギガス)。それも、その中でも最も強力と言われる古代の血を引く者達だ。

その管理は魔族特区と言えども厳重にされており、その証拠に彼等の左手手首には、普通のとは違う魔族管理腕輪が装着されている。

普通のは銀色なのだが、彼等のは黒い。

それは、魔力の高まりを関知すれば、高濃度麻酔薬が注入される仕組みになっている。

そんな彼等は、違法経営の酒場に集まって酒を飲んでいた。

そこに、その場に相応しくない格好、ツーピースのスーツを着た金髪の青年が入ってきた。

それを見た一人が

 

「おいおい、ここは高級な店じゃねえ。とっとと帰って寝てな」

 

と声を上げた。

しかし、青年は意に介さず

 

「ンー……此処にも、居ないか……」

 

と酒場内を見渡した。それが気に食わなかったのか、一人が立ち上がり

 

「調子に乗ってんじゃねぇぞ、ボウズ……痛い目見る前に、とっとと失せろ……」

 

と青年を睨み付けた。

すると青年は、ようやく気付いたという風体で

 

「ああ、雑魚に興味は無いヨ」

 

と言いながら、手をヒラヒラとさせた。

その言葉に、立ち上がった巨人だけでなく、その場に居た全員が憤怒の表情を浮かべて

 

「こいつ……!」

 

「調子に乗ってんじゃねぇぞ、ごらぁ!?」

 

「泣いて謝っても、ぶっ殺す!!」

 

と怒鳴り、その身を更に巨大化させて、その身から魔力を吹き出させた。

しかし、腕輪はウンとも言わない。

 

「ああ……ここら辺は、システムが死んでるのか……なるほどねェ」

 

そう言うと、青年。否、ヴァトラーはその身から魔力を迸らせながら

 

「ジャナンダ、ウハツラ!!」

 

と二体の蛇で眷獣を召喚した。

その二体を見て、一人の巨人が

 

「その眷獣は……まさか、お前は……ディミトリエ・ヴァトラー!?」

 

と驚愕した。

するとヴァトラーは、凄惨な笑みを浮かべて

 

「さあ、精々暇潰し位にはなってくれたまエよ!?」

 

と手を振り下ろした。

その直後、その店があった一角が綺麗に吹き飛んだ。

そして、それから数分後

 

「やれやれ……大した暇潰しにもならなかったナ」

 

と退屈そうに、ヴァトラーは首を鳴らしていた。

今彼が居るのは、同じ旧アイランドサウスの少し離れた場所だ。

 

「さて……異物は何処に居るのやら……」

 

とヴァトラーが呟くと

 

「お探しは、私かな?」

 

と声が聞こえた。

その声を聞いたヴァトラーは、目を見開きながらある方向を見た。その先に居たのは、小柄な体躯に膝辺りまで伸びた金髪に紅い目が特徴の少女だった。

その少女を見たヴァトラーは、怒りを滲ませながら

 

「その姿でボクの前に立ったンだ……覚悟してもらうぞ……!」

 

と牙を剥き出し、少女は

 

「さあ、お前に出きるのかな……ボウヤ?」

 

と妖艶な笑みを浮かべたのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。