ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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ドタバタな朝

時は遡り、約半日程前。今朝になる。

明久は、連打されていたインターホンの音で起きた。

 

「……誰? こんな時間に……」

 

そう呟きながら明久は、目覚ましに視線を向けて

 

「……ファー!?」

 

と奇声を上げた。

目覚ましが示す時間は、7時50分。

何時もより、一時間近く遅い時間になる。

ベッドから飛び起きた明久は、廊下に出るとインターホンの受話器を掴み

 

「雪菜ちゃんだよね!? ごめん! 今起きた!!」

 

と捲し立てるように、告げた。

すると、画面に雪菜の顔が映しだされて

 

『なんとなく、予想してました。待ってますから、早く準備してください』

 

「悪いから、先に行っても……」

 

雪菜の言葉を聞いて、明久はそう返答した。すると、雪菜は軽く睨むような表情をして

 

『……遅刻するつもりですね? そうはいきませんよ。先輩達が出るまで待ちますから、早く準備してくださいね』

 

と告げた。それを聞いた明久は、思わず唸ってしまった。

実にその通りだったからだ。今から走って向かっても、間に合うか間に合わないかの瀬戸際だ。

ならば、いっそ諦めて遅刻しようかと思っていた。

しかし、炎天下の中に雪菜を長時間待たせる訳にはいかないので、明久は急いで凪沙の部屋に向かい

 

「凪沙! 起きろー!!」

 

と一気に、凪沙がくるまっていたタオルケットを引っ張った。

 

「あ痛ぁ!? いきなり何!?」

 

引っ張られた勢いで、床に落ちた凪沙は慌てた様子で明久を見上げた。

すると明久は、目覚ましを指差し

 

「時計を見ろぉぉぉぉ!!」

 

と声を張り上げた。

それを聞いた凪沙は、目覚ましを見て

 

「……ふえぇぇぇぇ!? なんで!?」

 

と声を上げた。

そして、明久は

 

「とりあえず、雪菜ちゃんを待たせてるから! 急いで着替えて!」

 

と凪沙に指示して、自身も部屋に戻って急いで着替えた。

そして、全速力(人間の範疇)で走り、電車に飛び乗り、学校に向かった。

 

「けど、珍しいね。凪沙ちゃんが寝過ごすなんて」

 

「そうなんだよね……どうも、一度は目覚ましで起きたみたいだけど、止めて二度寝しちゃったみたいで……」

 

雪菜の言葉に、凪沙はそう言いながら頭を掻いた。

凪沙の話では、確かに目覚ましをセットした記憶はあるらしい。しかし、寝ぼけて止めてしまったらしい。

そして、予鈴が鳴る五分前になんとか校門付近に到着したのだが

 

「……なに、あの人だかりは?」

 

校門前には、凄まじい人数の生徒が居たのだ。

その人だかりの向こう側に、辛うじて黒い塗装の長い車。リムジンが止まっているのが分かる。

 

「何々、何事?」

 

「……さあ?」

 

凪沙の言葉に、雪菜も首を傾げた。

どうやら、雪菜も知らないらしい。その後、何とか苦労して人だかりを越えて教室に向かったのに、朝礼から自習となった。

だがこれが、明久の過去に向き合う話の始まりになった。


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