ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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ハチャメチャ

「もう無理……もう動けないわ……」

 

と力なく言ったのは、赤い戦車

膝丸の足に背中を預けて座っている沙矢華だ

 

『こちらも、弾切れでござる……』

 

「……動けん……」

 

そして、沙矢華とは反対側の足に、康太が背中を預けて座っていた

この三人は、ブルエリに迫ってきていたレヴィアタンの生体式ミサイルを迎撃していたのだ

そのおかげで、ブルエリに大きな被害は無し

短期間で、復旧が可能なレベルだ

しかしそれにより、膝丸は主砲だけでなく全兵装で弾切れ

沙矢華は矢と呪力を使いきり、康太は体力と霊力を使いきった

もしもう一波有ったら、防ぎきれなかっただろう

 

「……あっちも、上手くやったみたいね……」

 

沙矢華は、明久達がレヴィアタンをどうにかしたと悟り、空を見上げた

その少し後、コテージにて

 

「あー……散々だった……」

 

と疲れて寝ている結瞳を背負った明久が、言葉を漏らした

コテージを出た時は、ようやく水平線が白み始めた位だった

しかし今は、完全に陽が登っている

実質、徹夜だ

明久もだが、雪菜も眠そうにしている

 

「……寝たいですね、先輩……」

 

「深く同意する……」

 

雪菜の言葉に、明久は返事しながら頷いた

すると、コテージの中から浅葱が姿を現した

浅葱を見た明久は

 

「おーい……全部片付いたよー」

 

と力なく、報告した

のだが

 

「明久! 逃げるわよっ!!」

 

と浅葱は、やってられるかっ。という表情で、そう言った

 

「……はい?」

 

と明久が首を傾げると、新たにコテージの中から人影が現れた

一つは、水着に着替えた凪沙

そしてもう一つは、水着の上にスタッフという文字が印刷されたTシャツを着た女性

 

「……あ」

 

その女性を見た明久は、全てを察した

それを肯定するように、凪沙とその女性が

 

「明久くーん! お仕事だってぇ!」

 

「はーい、楽しい仕事の時間だよー」

 

と言ってきた

それを聞いた明久は、浅葱の言った通りに逃げたくなった

徹夜してレヴィアタンと戦ってきたのに、何故に働かなければならないのか、と

その時だった

寝ていたはずの結瞳が、ガバリと起きて

 

「ダメです! 明久お兄さんは、私と遊ぶんです!」

 

と言いながら、明久の首に抱き付いた

実はレヴィアタンが潜った後、明久は結瞳とこれまで不幸だった分一杯遊ぼうと話していたのだ

そして結瞳は、明久の耳元で

 

「待っててくださいね、お兄さん……今はまだ無理ですけど、後四年程で……ですからね」

 

と呟いた

すると、先の結瞳の言葉を聞いた浅葱が

 

「あんたは……何したのよ、明久っ!」

 

と浅葱が、明久を睨んだ

雪菜は、怒り半分呆れ半分といった表情で明久を見ながら

 

「先輩……」

 

と呟いていた

そして明久は、憎たらしいまでに青い空を見上げ

 

「……ジーザス」

 

と呟いた

その頃、ある紛争地帯で

 

「それが、俺の名前だっ!」

 

と言いながら、敵を撃つ凄腕傭兵が居たとか居なかったとか……


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