ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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さぁ、京勇樹の新しい作品のスタートです!


聖者の右腕編
プロローグ 物語の始まり


姫柊雪奈(ひめらぎゆきな)。あなたに、絃神市に現れた第四真祖の監視を命じます」

 

そう命じられた少女

 

姫柊雪奈は思わず固まった

 

彼女は今朝から、嫌な予感はしていた

 

彼女の専門は、直接的な戦闘であり占いは苦手である

 

それなのに、朝起きた時点で胸騒ぎがしていた

 

そこに来て、彼女が所属している組織《獅子王機関》のトップ

 

三聖からの直々の呼び出し

 

呼び出しに応じて、三聖の間に行ったら、到着した瞬間に腕試しにと式神との戦闘

 

そして、唐突に見せられた一枚の写真

 

そこに写っていたのは、茶髪と垢抜けた顔が特徴的な男子

 

名前は吉井明久(よしいあきひさ)と言うらしい

 

そこで告げられた衝撃的な言葉

 

第四真祖

 

この名前は、攻魔師ならば誰もが知っている名前である

 

焔光の夜伯(カレイドブラッド)

 

十二体の神に匹敵するという眷獣を従える孤独にして最強の四番目の真祖

 

しかしながら、この存在は都市伝説の域を出ないはずだった

 

真祖というのは、闇の血族を統べる帝王を示している

 

もっとも古く、もっとも強大な魔力を備えている《始まりの吸血鬼》である

 

公に存在が認められている三名の真祖は、それぞれ大陸に同族である数千数万の軍勢を従えて自治領である夜の帝国(ドミニオン)を築いている

 

欧州を支配している《忘却の戦王(ロストウォーロード)

 

西アジアの盟主《滅びの瞳(フォーゲイザー)

 

最後に、南北アメリカ大陸を支配している《混沌の皇女(ケイオスプライド)

 

この三名に対して、第四真祖は一切の自治領と血族が存在しない

 

ただし、その存在は非公式ではあるが、世界中で大災害、大事故と共に確認されている

 

一番新しい記録では、四年前に起きた列車事故が第四真祖が起こしたとされている

 

まさか、そんな存在が日本に居るとは、雪菜は思ってもいなかった

 

もし、第四真祖の存在が世界中に知れたら、それこそ大変な事になる

 

今の世界は、三人の真祖と帝国の存在が絶妙なバランスを保っているためになんとかなっている

 

だが、もし第四真祖の存在が公に知れたら、三人の真祖と結んだ聖域条約は破棄されて、魔族と人間の戦争が勃発するかもしれない

 

そうなったら、地力の差によって人間は滅びる可能性が極めて高い

 

いくら対魔装備があろうが、有能な攻魔師が存在しようが、それは有限である

 

消耗戦になると、結局は地力の差により負けてしまうだろう

 

そこで、日本に現れた第四真祖の監視及び緊急時の抹殺のために、雪菜を派遣するらしい

 

最初は、なぜ自分なのか。と雪菜は問い掛けた

 

雪菜の問い掛けに、三聖の返答は

 

『現在、獅子王機関には適切な人物が居らず、唯一接触出来そうだったのが、見習いである雪菜のみ』

 

というものだった

 

そう言われたら、雪菜としては断れるわけもなく、受け入れるしかなかった

 

そこで、三聖から任務に就く雪菜に対して選別とし、約一千万円程(別に給料アリ)と獅子王機関が開発した最新鋭兵装

 

七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)、銘は雪霞狼(せつかろう)が与えられた

 

この七式突撃降魔機槍は、獅子王機関が開発した神格振動波駆動術式により、あらゆる魔力を切り裂き無効化する能力を有している

 

まさしく、秘奥兵器と呼べる代物である

 

ただし、その性能通りにコストが高く、更には核には古代の宝槍を用いているので、量産が出来ないのである

 

開発元である獅子王機関にすら、雪菜に渡したのを含めて三本しか存在しない

 

そして最後に、雪菜には件の第四真祖

 

吉井明久が通っている学園の制服が与えられた

 

その制服を見て、雪菜は我知らずにため息を吐いた

 

占いなどを不得手とする雪菜が、最初に感じた嫌な予感が現実になるのは、もう少し先の話である

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「暑い……焼ける……溶ける……灰になる……」

 

そうボヤきながら歩いているのは、垢抜けた顔に茶髪が特徴の男子

 

吉井明久(よしいあきひさ)である

 

彼はつい数分前まで、近くのファミレスで友人達の力を借りて大量の夏休みの課題を終わらせた所である

 

その代償として、懐が寒冷化してしまい、明久は妹に対してなんて説明して小遣いを渡してもらおうか考えた

 

しかし、いくら考えても最適な説明が思いつかず、本当のことを話すしかないか。と深々とため息を吐くと

 

「アレって、いわゆる尾行なのかな?」

 

明久はそう言いながら、鏡代わりにしたスマホの画面を見た

 

そこには、電柱に身を隠している一人の少女の姿が見えた

 

今明久が歩いている道には、明久と彼女しか居ない

 

理由としては、ほとんどの人達はバスかモノレールで移動しているからだ

 

理由は簡単

 

誰も、炎天下の中を汗だくになってまで歩きたくないからだ

 

明久が住んでいる絃神市は、海洋に浮かべられている人工島の集まりである

 

一応東京ではあるが、その位置は東京から南に330km近いために年がら年中暑い

 

なぜそんな位置に浮かべたのかというと、絃神市は風水を使って良い立地を探した結果、この位置に決められたのだとか

 

それと、絃神市(ここ)に住んでいるのは人間だけではない

 

吸血鬼を始めとした魔族も住んでいるのだ

 

絃神市は通称、魔族特区と呼ばれている

 

魔族特区というのは、三人の真祖と各国首相が結んだ契約で、人間と魔族が共存する地である

 

魔族特区では、魔族特有の能力や魔族伝承の技術の研究なども盛んに行われている

 

ゆえに、”被害があまり出ないようにということも考えて”このような立地なのである

 

以上、説明終了

 

そして、明久が尾行に気付いたのは、ファミレスから出て数分後だった

 

視線を感じた明久は、背後に振り向いたのだ

 

そしたら、焦って電柱の裏に隠れる少女を見つけたのだ

 

それを見た明久は、思わず首を傾げた

 

だが明久は、深く考えずに流してそのまま歩き出した

 

だが、そのまま歩き続けていても視線を感じたので、スマホでメールや時間を確認するフリをして後ろを確認したら、少女はずっと明久を尾行していたのだ

 

最初はストーカーとも思ったが、すぐにその考えは振り払って、次に思いついたのが尾行である

 

明久としては、尾行される理由に一つだけ覚えがあった

 

だが、”その事”に関しては、明久と二人の教師以外は知らないはずなのだ

 

それも、家族にも黙っているほどに

 

そして気付けば、明久はウエストアイランドの商店街に入っていた

 

それに合わせて、周囲にはかなりの人数が行き来している

 

買い物客やゲームセンターに行く途中の学生などが、ひっきりなしに歩いている

 

その人波を避けながら、明久は心中で

 

(頼むから、《アレ》がバレてませんように……)

 

と思った

 

その時だった

 

「ねえねぇ、そこのキミー。俺達と遊ばないか?」

 

「楽しいぜー?」

 

「結構です。興味はありませんから」

 

というやりとりが聞こえて、明久は嫌な予感がして振り向いた

 

そこでは、二人の男が先ほどの少女をナンパしていた

 

少女は断っているが、二人の男は尚もしつこく声を掛けている

 

確かに、明久を尾行していた少女は掛け値無しの美少女だ

 

そんな美少女とお茶できたら、男としてはラッキーだろう

 

だから男達は、断られるも声をかけ続けた

 

だが、少女はその全てを断り続けた

 

そしたら、スーツを着た男が我慢の限界に達したようで

 

「このメスガキが! お高く澄ましてるんじゃねぇぞ!?」

 

と声を張り上げながら、少女のスカートを大きく捲り上げた

 

それを見た瞬間、明久は

 

(あ……これは、面倒事に巻き込まれたなぁ……)

 

と確信した

 

こうして、おバカな第四真祖と彼の周囲に居る少女達の物語は始まった


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