やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第55話

やまとside

「衛星データを受信、目標の完全破壊を確認。」

「撃ち方やめ。

ところで、砲雷長。

通報にあった敵潜水艦は、三隻以上だったな?」

「その通りです。

うちの二隻を、はるさめとはるさめ搭載のヘリが沈めたと報告されています。」

「はるさめの艦長は、神山だったな。」

「はい、神山二佐で間違いありません。」

「神山がやったのなら、おこぼれは期待できないなぁ。

三隻目に期待を繋ぐとするか。」

「艦長代理の同期ですか?

すごいじゃないですか、対潜の鬼と呼ばれる人ですよ。」

「まぁ、奴は特別だ。

天賦の才能というのかな、そう言うのを持った奴だ。

ということで、三隻目はうちが沈める。

ソナー員、気張ってかかれ。」

「了解。」

しかし、三隻目を沈めたのはやまとではなかった。

三隻目を沈めたのは、水中を遊弋している第5潜水隊の潜水艦はくりゅうであった。

「副長、いえ艦長代理。

市ヶ谷より通信が届いております。」

そう言って通信長直々に電文を持ってきた。

内容はこうである。

『 発 防衛省中央指揮所

  宛 各地で活動中の自衛隊各部隊

 

 一部部隊を除き、全ての部隊は速やかに戦闘行動を中止し、

 基地もしくは駐屯地へ帰投せよ。

 なお、各地で治安維持任務に当たっている陸上自衛隊部隊及

 び黄海に突入している第二護衛隊群はROE(交戦規約)を通常に

 戻し待機せよ。

 以上。                         』

つまり、中華人民共和国政府との間で、休戦講和の交渉が始まったと言うことである。

しかし現場の上条達は、その交渉相手が中華人民共和国ではないことを知らない。

そう、67年前に台湾に逃れた中華民国政府が交渉相手だった。

電文を見た上条の顔に笑みが浮かぶ。

「喜べ、俺達はもうすぐお役御免だぞ。」

「えッ本当ですか?」

「砲雷長か、本当だ。」

この事実は、瞬く間に艦内に伝わった。

「「「「やったぁぁー」」」」

歓声に歓声が上書きされて、もう既に収拾が付かなくなっていた。

「艦長代理、よろしいのですか?」

「今日くらい構わんだろう。

長い長い一日が終わったんだからな。

佐世保に着いたら、全員で宴会だ。

分かったな?」

「「「「了解。」」」」

「砲雷長は不満か?」

「人を残さなくていいんですか?」

「いいんじゃないか、どうせやまとはすぐにドック入りしなけりゃならんし、一日ぐらい大丈夫だろう。」

確かに、やまとの艦内は至るところで、破壊されており兵装の稼働率も大きく低下していた。

まず原因としては、対艦ミサイルの着弾による破壊、それに、46cm砲の連射による疲労の蓄積という二つが上げられる。

「人とかはまあいいとしても、予算はどうするんですか?」

「俺の奢りだ、とか言いたいんだけどそんな余裕、私にはないんだよな。

一人、2000円とかにしましょう。

あとは、主計長が隠し持ってる裏会計でなんとかしてもらいましょう。」

「艦長代理、あなたって人は、異動してきて間もないのに何でそんなこと知ってるんですか?」

「まぁ、その辺は企業秘密ってことでお願いします。」

実際には、帳簿を確かめて主計長に確認したところ、相手から洗いざらい自白されていたのだ。

「まぁいいですけど。

宴会っていうのは確かですよね。」

「あぁ、確かだよ。

無事に帰れたらだがな。」

「もう戦闘はほとんど終結してるんですから、無事に帰れますよ。」

やまとside out

 


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