やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第49話

第5潜水隊side

そうりゅう発令所

「隊司令より、命令が下った。

只今を持って、本艦の任務を解除された。

しかし、新たな任務が発令された。」

艦長の言葉に、発令所にどよめきが広がる。

「現在は、戦闘配置だ。

静かにしろ。」

発令所のどよめきに、艦長の叱責が飛ぶ。

「新たな任務の内容を伝える。

たった今を持って、第二護衛隊群を離脱。

渤海に潜入し、状況を偵察せよ。

とのことだ。」

「しかし、本艦だけで大丈夫ですか?」

「本艦だけでやるんだ。

むしろ、何隻で行っても、目立つだけで結果は変わらん。」

「それは、そうですが。」

「分かったならいい。

出力を上げろ。

最大戦速さいだいせんそぉー。」

「アイ・サー」

そうりゅうは、時速20ktで走りはじめる。

キロメートルに直すと、約36km/hである。

ものの直ぐに、渤海の入口にたどり着く。

「ソナー員、目標を確認できるか?」

艦長の確認に、ソナー員は首を振る。

「いいえ、確認できません。

ピン、打ちますか。」

「いや、まだやらんでよい。」

「水上の様子はどうだ?」

「戦時のはずなのに、妙に静かですね。

哨戒艦艇すら出ていないようですね。」

「そうか、あの噂は、本当だったようだな。」

艦長は、しみじみと言った。

「噂って何ですか?」

興味を持ったのか、ソナー員が聞いてくる。

「ああ、やまとに乗ってる同期から聞いた話なんだが、中国の弾道ミサイルを迎撃した直後、目標付近から強力な電磁パルスが確認されたらしい。

それが、北海艦隊の根拠地にふりそそいだらどうなると思う?」

「!」

艦長の言葉にソナー員も気付いたようだ。

というか、ソナー員は思ったはずだ。

誰に聞いたんだと。

それを押し殺して聞く。

「まさか、奴等は出てないんじゃなくて、出れないだけですか?」

現代の船は戦闘艦艇、民間船舶問わず船体の各所で、電子機器が多用されている。

その電子機器は、もしかしなくても電磁パルスの影響を受けるだろう。

「だろうな。」

「予定海域に到達。

当初の予定より、誤差+0.85。

予想の範囲内です。」

ソナー員と会話しているうちに、進出予定海域に到達したようだ。

航海士が報告してくる。

「よし、索敵始め。

例の技本(防衛省技術研究本部)から送られてきた試作品を使うとするか。」

「試製潜水艦用多目的索敵ポッドですか?」

「そう、それだ。

P-3CやSH-60J/Kの積んでるソノブイみたいなやつだ。

あれなら投棄式だし、この艦ふねからも距離を取って索敵できるだろう。」

「了解。

では、索敵モードはどれに設定しますか?」

「熱源モードで、試してみるか?

念のため、ソナーモードの物も、準備しておけ。」

技本から、試作品と一緒に送られてきた取扱説明書を見ながら、艦長はそう答えた。

「了解。

次に、射出方法ですがどうしますか?」

艦長より先に、取扱説明書をかじっていたらしいソナー員が聞く。

「魚雷みたいに射出しますか?

それとも、潮流に流しますか?」

「潮流に流せ。

本艦からの距離、1000で起動させろ。」

「了解。」

ソナー員は、コンピューターに必要事項を入力していく。

「ったく、技本の連中も変な物押し付けやがって。

使い物にならなけりゃ、張り倒すぞ。」

伝統を墨守する事で、新技術への理解が薄いのが世界の海軍関係者である。

「艦長、取り敢えず射出しましたけど、張り倒すって言っても、誰をやるんですか?」

軽く笑いながら、ソナー員は聞く。

「そんなもん、決まっておるわ。

帰ったら考える。

これに限る。」

そう断言した。

それから、時が経つ。

「センサーが、目標を捕捉しました。

水上には、大きな反応は見られませんね。

しかし、水中には三つ見られます。」

「自爆モードに移行させた後、ポッドを切り離せ。

本艦は、その隙に後退する。

安全地帯に移動後、第二護衛隊群司令部にデータを転送する。

以上だ。」

第5潜水隊side out




最近、主に使っているタブレットの調子がおかしいので、更新が少し不定期になりそうです。
できる限り、毎日投稿します。
佐藤五十六からのお知らせは以上です。

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