やまとside
渤海に突入した時から、時は少し遡る。
「周辺で警戒中の潜水艦より通報。
この先に、
"対潜警戒を厳となせ"とのこと。」
「何だと。
ならば、第二護衛隊群司令部に進言。
"潜水艦を先行させて、渤海を偵察してほしい。"
以上だ。」
「了解。」
通信士が去っていくのを確認した上条は、無電池電話を取り上げ、
「こちら
「上条だ。
本艦前方海域に、敵潜水艦潜伏との情報あり。
警戒態勢に移行。
潜水艦の兆候を見逃さないで欲しい。」
「了解しました。」
返事を聞き終わった上条は、無電池電話を下ろし、叫んだ。
「第二護衛隊群の他の艦艇に、
海上自衛隊の護衛隊群には、その時の為に
最新型のあきづき型、たにかぜ型こそ防空能力を強化しているが、本質は対潜護衛艦である。
また、
無論、今回の状況でヘリコプターが飛行することは、かなり危険である。
だから出動できない。
「潜水艦と水上艦で、追い詰めるしか無いか。」
上条は、つぶやいた。
やまとside out
第二護衛隊群司令部side
「第5潜水隊所属の潜水艦によると、本部隊に接近する敵潜水艦を確認。
攻撃を実施、撃沈を確認したそうです。
ただ、敵潜水艦が、1隻しかいなかったことから推測すると、前方海域にて敵潜水艦による待ち伏せが予想されますので、隷下の護衛艦全てに、緊急警報を通報しました。」
幕僚長が、言ったのへ第二護衛隊群司令も言う。
「分かった。
やまとからは、何と言っている?」
「潜水艦を使って先行偵察を行ってほしいとの要請が入っています。」
「分かった。
すぐに指示を出してやれ。」
「やまとより、再度の通信。
潜水艦と合わせて、本部隊周辺での
言い終わるのと、慌てて駆け寄ってきたいせの通信士が、読み上げながらも電文を差し出す。
「分かった。
それも合わせて、指示してやれ。
幕僚長。」
「了解。」
第二護衛隊群司令部side out
第5潜水隊side
「第二護衛隊群司令部より、緊急命令。
貴隊から潜水艦1隻を抽出し、渤海を偵察せよ。
であります。」
「分かった。
だが、問題はどの潜水艦に行かせるかだが、旗艦として使っているうんりゅうは問題外だ。
しかし、はくりゅうも無理だ。
となると、そうりゅうしかないが、全艦が行きたがるだろうな。」
そう言って、司令は頭を悩ませた。
「しかし、そうりゅうしかないのならば、悩む必要は無いのでは?」
「だがな。
はくりゅうの艦長が納得してくれるかだな。」
第5潜水隊side out