第5潜水隊side
アメリカ海軍空母打撃群には、護衛として、1隻か2隻の攻撃型原子力潜水艦が随伴している事が多い。
主に、これらは空母打撃群周辺での、対潜警戒に従事している。
アメリカ海軍の空母打撃群の写真を見ても、潜水艦の影など形も無い。
だが、海中にはウ゛ァージニア級もしくは、旧式のロサンゼルス級の攻撃型原子力潜水艦が、潜伏している。
これは、
第二護衛隊群の周辺にも、潜水艦が潜伏していた。
それが、第5潜水隊である。
所属原隊は、第1潜水隊群で、呉に司令部が置かれている。
大幅増強されつつある海上自衛隊潜水艦部隊の中でも、最新の装備かつ練度も高いことで知られている。
所属艦は"そうりゅう""うんりゅう""はくりゅう"の三隻である。
これらは、最新のスターリング機関を搭載した
この潜水艦達は、第二護衛隊群の指揮下にあって、アメリカの空母打撃群随伴の原子力潜水艦と同じく、対潜警戒にあたっていた。
「じんりゅうが、開戦初っ端からやってくれたからな。
うちらは、それ以上の
無論、じんりゅうがアメリカ海軍空母を雷撃したことは、国家機密であり、仲間の
だが、雷撃した周辺海域は、じんりゅうによって徹底的に掃除されていた。
初老の
頭を掻きながら言うその姿には、毒気を抜かれるのだが、言葉の端々に他の艦に対する対抗心が見え隠れする。
しかし、この男こそ第5潜水隊所属の潜水艦、そうりゅうの艦長であった。
「艦長。
何らかの潜航物体の接近です。
この海域ですから、潜水艦の可能性大ではありますが。」
潜水艦の目であり、耳でもあるソナー員が、報告する。
「自然物ではない?」
「はい、100%自然物ではありません。
しかし、探知状況不良。
本海域におけるデータ不足な感は否めません。」
「よろしい。
全艦に発令、音響規制。
魚雷戦用意。
全発射管、魚雷装填急げ。」
「前部発射管室、魚雷装填完了。
いつでも撃てます。」
「現態勢のまま、待機せよ。」
「了解。」
「ソナー員、捉えられるか?」
「先程より、音がはっきりしてきました。
測距開始します。
諸元読み上げます。
数、1、深度、190、距離、5200、速度、15kt。」
「距離、2000まで待て。
発射管扉開放、注水急げ。」
「それにしても、ここは中国領海の中ですよ。
襲ってきたのなら、数が少なくありませんか?」
「あれじゃないか、あの
面倒臭そうに艦長は答えるが、見る見るうちにソナー員共々顔色が変わる。
「「って(てぇ)事は、この先に罠がある。」」
ソナー員と艦長は、同じ結論に至ったようだ。
「第二護衛隊群司令部に、緊急警報を送れ。」
「距離、2000です。」
「1番から2番、発射用意。
そうりゅうから発射された89式魚雷は、
発射時の騒音は、ほとんどしない。
だから、敵潜水艦が気付いた時には、もう手遅れであった。
水中を爆発音が伝播し、そうりゅうの艦体を叩く。
「全弾命中。
これで、彼らも諦めてくれると、有り難いんですがね。」
ソナー員が報告する。
「奴らの考えなど分からんが、確かにそう思うな。」
第五潜水隊side out
二日連続で投稿せず申し訳ありません。
理由は、書きません。
どんなことを言っても、言い訳にしかならないからです。