やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第43話

やまとside

「GPS衛星とのリンク確立を確認しました。

主砲、修正+0.05

以後は、自動修正に移ります。」

「主砲各部異常なし。

第一斉射、装填完了。」

「発砲用意よし。」

撃てぇ(テェー)。」

やまとを含む第二護衛隊群は、必要以上に、中国沿岸に近づく必要が出てきた。

無論、目的は対地艦砲射撃である。

世界最大の艦砲を持つやまとであっても、GPS誘導のロケット砲弾を使わない限り、最大射程は44.6kmが精々である。

第二護衛隊群司令部の作成した作戦計画表に基づく当初の予定では、北京を含めた都市を対象とした艦砲射撃は、行わないとされていた。

しかし、その予定を一本の電話が狂わせた。

それは、数分前に遡る。

「こちらは、やまと戦闘情報センター(CIC)だが、そちらは?」

『クーデター部隊現場指揮官、周鎮幸であります。』

「艦長代理の上条です。

ご用件は、何でしょうか?」

この指揮官が、日本語を喋れたことが、やまとクルーにとって、幸いだった。

千何百人といるクルーの中から、中国語の話せるものを探せば、一人はいただろう。

しかし、中国語の話せるクルーが、戦闘情報センター(CIC)には、居なかったのだ。

『艦砲射撃による支援を要請したい。』

「目標は何処でしょうか?」

『中南海にある国防部庁舎。』

たどたどしい発声ではあるが、はっきりと聞き取れる言葉であった。

「分かりました。

必ず行うとは確約できませんが、善処します。」

『ありがとう。』

そう言ったあと、電話は一方的に切れた。

「通信長、第二護衛隊群司令部に打電。

我、中国クーデター部隊よりの直接の支援要請を受く。

司令部の指示を待つ。

以上だ。

あと砲雷士、目標の測距を始めておけ。」

「了解。」

「艦長、よろしいのですか?」

砲雷長が、聞いてくる。

「どちらにしても、目標の測定はやっといて損は無いだろう。」

「それはそうですが、後々で問題になりませんか?

日本共生党辺りは、バリバリ問題にして来るでしょうし。」

「そうなったら真っ正面から、討論してやるまでだ。

戦場をよく知らん阿保共に、負ける気はせんな。」

そこで、上条はにやりと笑った。

「第二護衛隊群司令部より返答。

やまとの攻撃を許可す。」

戻ってきた通信長が読み上げる。

「砲雷士、測距は終わったのか?」

「はい。

渤海に入れば何とか、GPS誘導砲弾であれば、攻撃可能です。」

「砲雷士、座標を指定しろ。

航海長、指定座標に移動を開始しろ。」

およそ二時間弱で、やまとは攻撃座標に到着した。

「攻撃用意。」

全艦で、警告のサイレンが鳴り響く。

現在は、戦闘中だから甲板に出ている乗員はいないだろうが、念のためである。

そうして、最初の場面に戻るのである。

「GPS衛星とのリンク確立を確認しました。

主砲、修正+0.05

以後は、自動修正に移ります。」

「主砲各部異常なし。

第一斉射、装填完了。」

「発砲用意よし。」

撃てぇ(テェー)。」

やまとに搭載された46cm砲が、全て放たれる。

その一発、一発が1.5tという超重量である。

それが、9発も集中して撃ち込まれるのだから、国防部庁舎にとっては、たまったものではないだろう。

事実、真新しい国防部庁舎ビルはこの砲撃に耐えられず、たった十数発で崩壊した。

核シェルター仕様の地下指揮所めがけて撃ち込まれる砲弾に、地下指揮所からとは良く耐えたのである。

「着弾修正無し、いつでもいけます。」

「第二斉射、用意。」

「第二斉射、装填完了まで22秒。」

それは、長いようで短い22秒であった。

「第二斉射、装填完了。」

撃てぇ(テェー)。」

やまとside out

 


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