日本政府side
「核の使用ですか?
中国政府も追い詰められているようですね。」
直木総理がつぶやくように言った、その台詞は誰にも聞かれなかった。
首相官邸地下にある危機管理センターで、
「現時点で、国民の避難状況はどうなっていますか?」
「完了していると、申し上げたいところですが、避難しているのは全国民の25%にも達しません。
我々も避難を呼びかけてはいますが、楽観的な人間ばかりで反応すらありません。
無論、着弾した場合、自衛隊法第83条に基づき、強制収容を開始いたします。」
「分かりました。
改めて官房長官より、避難を呼びかけてもらいましょう。
それと、強力な電磁パルスが、発生しているそうですが、展開中の艦艇、航空機、衛星に影響は出ませんでしたか?」
「何とか、黄海に展開中の艦艇も、日本海に展開中の艦艇も影響は出ませんでした。
ただし、中国遼寧省や北朝鮮の一部では、被害が出ているそうです。」
海上幕僚長が、質問に答えた。
「それはよかった。
この紛争、早めに終わらせましょう。」
「ハッ、ハッ。」
そして画面に写った直木総理の姿を見た自衛官は敬礼した。
「しっ失礼しました。
報告します。
クーデター部隊が、北京に突入しました。
現在も、武装警察隊、海軍陸戦隊との間で戦闘を継続中ではありますが、じりじりと中南海ににじり寄っています。
北京軍区の部隊の南下も確認されました。
共産党の支配も、もう終わりです。」
「そうですか。
この紛争も、もう詰みですか?」
「その通りであります。
なお、現在台湾軍情報部門から、連絡がありました。
中華民国総統は、明朝航空機にて北京に発つそうです。」
中華民国の大陸復帰に大きな役割を果たした日本政府ではあったが、相変わらず外務省への信用は低いようだ。
直木総理に言わせれば、外務官僚は米国風に言えば、
中国政府からの情報を鵜呑みにして、それしか伝えないし、情報操作や機密情報を中国政府関係者に流していた可能性もある。
中華民国総統は、そこまで考えて情報本部から情報を伝えたのだろう。
「ならば、紛争は今日で終わりです。
今日一日、絶対に敵の攻撃を防いでください。」
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