やまとside
「あしがらより支援要請が来ています。」
「そうか、でベータ目標の現状はどうなっている?」
上条はレーダー員に聞く。
「ベータ目標は、方位、260、距離、75000、高度、1000、数、48。
あしがらからの攻撃による損害は軽微と考えられます。」
「分かった。
支援行動を開始せよ。」
「SM-2発射用意。
数、40。」
「
VLSから撃ち出された
J-11パイロットは、あしがらからの攻撃で
それは、勝手な思い込みであった。
事実、飛行中のJ-11に真っ直ぐ突っ込んだSM-2はほぼ全弾が命中した。
「戦果報告。
敵機、37機を撃墜しました。
残りは、11機です。
あっ、退却していきます。」
「攻撃中止。
退却する敵機の動向に注意せよ。」
そして上条は、懐から封緘命令書を取り出した。
「Xアワー=敵第一波攻撃を退けた時。
丁度、今だな。」
封印を解いて、命令書を取り出す。
その内容は簡潔であった。
"中南海へ向け、トマホークを発射せよ。"
内容を一読して、命じる。
「トマホーク発射用意。
数、4発。
目標、中南海。
やまとside out
北京軍区side
「出動した部隊は壊滅?
何事だ。
我が軍は、そこまでの弱兵だったのか?」
「それが、各部隊は数による攻撃に押し潰されたようで………」
空軍の参謀が口ごもる間に、北京軍区の通信参謀が入ってきた。
「たっ大変です。
突入してきた敵部隊が、トマホークを発射しました。
目標は、中南海と考えられます。
中央軍事委員会より、最優先の迎撃命令が届いております。」
「
「いえ、海面高度を飛行中のようで、レーダーには捕捉されていません。」
「どう迎撃しろというんだ。
無茶言うな。
しかし、迎撃に全力を挙げているというポーズは必要だな。
周辺の防空部隊に命令を出せ。
"
以上だ。」
「了解しました。」
そう言うと、通信参謀は退室する。
「では、私は前線の督戦に行ってくる。」
北京軍区政治委員もそう言って退室する。
それを見た軍区司令員は、隣の参謀長に話しかける。
「本気で戦っているように見せないといろいろまずいからな。
ところで、南部に派遣した部隊はどうなっている?」
「南京軍区、広州軍区で沿岸防備に就いているはずだ。
予備役を全て動員して、上陸して来たら間違いなくこの国の終わりだからなぁ。
南京軍区は、そう考えているようだ。
中央軍事委員会から北京軍区の部隊の帰還命令が出ていても、それを拒否しているよ。」
「では、我が軍区の精鋭部隊を北京に送り込むとするか?」
「はい、そろそろが頃合いでしょう。
北京防衛中の海軍陸戦隊の背後を突きますか。」
「その前に、地対艦ミサイル部隊に発射命令を伝達しろ。」
「了解しました。」
北京軍区side out
日本政府side
防衛省地下にある
「こちらの戦略が当たりましたか。
ものの見事に内戦になってますねぇ。
しかしすごいですね。
内戦中でも、我々と戦争ができるとは。」
総理のつぶやきを聞いた防衛大臣が詳しく聞いた。
「総理は、そこまでお考えだったのですか?」
「さぁ、どこまでは考えてませんよ。
優秀な部下のおかげで、情報には困りませんでしたがね。」
直木総理のところには、防衛省情報本部、内閣情報調査室といった部署から常に新鮮な情報が送られてきていた。
「防衛大臣、逆に聞きますが。
BMD対応の為の部隊は配置に着きましたか?」
「海上自衛隊のイージス艦は、全て配置に着いています。
陸上自衛隊のTHAAD部隊は、日本海沿岸に、航空自衛隊のPAC-3部隊は主要都市に展開済みとの報告が入っています。」
「そうですか、それはよかった。
今の状況で、彼ら、中国の指導層が頼れるのは核弾頭搭載の弾道ミサイルですからね。
それを未然に防ぎえるならば、それに越したことはありません。
我々は国民の生命と財産を守り切らねばなりません。
それが国民の信託を裏切った我々の唯一の道です。」
「総理。
重大な事態が発生している可能性があります。」
呼びかける声がした方向を見ると、制服を着た自衛官がいた。
「どういうことですか?」
「韓国国内にて、不穏な動きが見られます。
一部の過激な反日派と韓国軍の反日強硬派が結託して、クーデターを画策しているとの噂であります。
その背後にいるのは中国政府のようです。
現在、韓国国内全ての情報網を使って裏を取っています。
もしかしたら、黄海突入部隊の背後を突かれる可能性も否定できません。」
「分かりました。
黄海突入部隊には、
明日には戦争の勢いが変わる可能性が出てきました。
続報には、十分な注意を払ってください。」
「了解しました。」
日本政府side out