あしがらside
「
さらには、たにかぜ型護衛艦は、真にミニイージス艦としての能力を持たせた護衛艦である。
防空戦や艦隊戦にも対応可能な、護衛隊群単位で採りうる最善の陣形である。
とはいえあしがらのレーダー画面を見る限り、
事実12発の
やまとのやったように
それがせめてもの救いであり、また付け込める隙でもあるのだ。
「スタンダード防空圏突破まで10分35秒。
間違いなく、本艦だけでは阻止できません。
やまとに支援を要請してください。」
レーダー員が報告する。
「分かった。」
艦長は頷く。
「第2射、発射用意。
できるだけ数を減らす必要があるからな。
あしがらside out
第二護衛隊群司令部side
「やまとはどうなってる?」
やまとが、
司令が首席幕僚に聞く。
「アルファ目標と交戦を開始した。
との報告は入っています。
黙って見守るしか無いでしょう。」
「ふーむ、そうか。」
「アルファ目標とは別の対空目標捕捉。
ベータ目標と呼称。
あしがらと交戦を開始しました。」
やまとのレーダー員とほぼ同時にこちらでも、敵機接近との報告が入る。
「アルファ目標がやまとに向け、対艦ミサイルが発射しました。
数、84発。」
「何っ、多過ぎる。
いくらやまとでも手に余るぞ。
やまとは何と言っている?」
首席幕僚に問われた通信士が、慌ただしく通信室に向かう。
電文を持って戻ってきた通信士はそれを読み上げた。
「敵対艦ミサイルの数は、本艦の対処能力を超えてはおらず。
故に、手出し無用との事であります。」
それを聞いた首席幕僚は、一瞬呆然とした。
「は?
それは、本当か?」
「はい。」
「そうか、わざわざありがとう。」
「いえ、自分はやるべき事をやったまでです。」
「やまとはそう言っていますが、司令いかがしますか?」
首席幕僚は、そばにいた司令に指示を仰ぐ。
「やまとがそう言うなら、それに従え。
あれは、海自最強の
簡単に沈むことも無いだろう。」
「わかりました。」
第二護衛隊群司令部side out
たにかぜ型護衛艦
基本性能は、ほとんどあきづき型に準拠。
主な変更点は、VLSの増設と、SM-2ER改運用能力の獲得である。
同型艦は、DD-119"たにかぜ"
DD-120"はるかぜ"
DD-121"ゆきかぜ"
DD-122"かみかぜ"
DD-123"いそかぜ"
DD-124"うらかぜ"の6隻である。