日本政府side
「直木総理、これはどういうことなんだ?
海軍から報告が入った。
沖縄へ向かっていた空母戦闘群が、何者かに攻撃され空母が被雷。
中破したと、言うではないか?
被雷箇所には、日本の魚雷の部品が落ちていたらしいではないか?
詳しく事情を聞かせてもらおうか?」
「まず結論としては、我が自衛隊が空母を攻撃した事実はございません。
また、廃棄予定の89式魚雷が基地より紛失したと、報告が入っています。
今、申し上げられることは、それだけです。」
政治家は、国益のためなら嘘を平気でつく。
直木総理は、前政権のような腰抜けでは無いらしい。
むしろタフネゴシエーターである。
「攻撃された海域を聞いても、そう言い切れるのかね。
九州沖、君の国の海上自衛隊鹿屋基地の目と鼻の先では無いか。」
「その海域ですね、少し待ってください。
ああ、その海域は太平洋戦争での沈没船が多く、現地の部隊から安全が確保できない旨の連絡がありました。
よって、商船航路から外しております。
これは、
現実には、とっくの昔に中国潜水艦は追い散らされていた。
米海軍空母戦闘群が、ソナーで捉えていた
海上自衛隊より虚偽の連絡を受けた米海軍は姿を見られないので好都合だと考えたらしい。
「しかし、上空を日本のP-3C対潜哨戒機が飛行しているのを我々は確認している。
彼らも、潜水艦の兆候を掴めなかったとでも言うのか?」
「申し訳ないが、その通りとしか答えられません。
魚雷の紛失に関しては、我々の落ち度です。
関係機関、例えば情報保全隊等に徹底調査を命じ、関係者を処罰しました。」
「そうか、ならば仕方あるまい。」
「再度の攻撃に備え、陸上自衛隊、警察の機動隊に出動を命じました。
次の攻撃を、我々は断固として許さない構えです。」
「そこまで言うなら、信用しよう。」
大統領がそう言うと、TV画面は消えた。
「よくもまあ、いけしゃあしゃあと嘘がつけますなぁ。」
後ろにいたのは内閣官房長官であった。
二人とも同じ時期から政治の世界に入ったため、当初より気が合い今では親友とでも呼べる付き合いである。
「国際政治とは、ライアーゲームですよ。
最後には、嘘つきが全てを手に入れる。
イギリスの二枚舌外交ですか、あれよりはマシだと思いますがね。」
直木総理はただの嘘つきではない。
たったの一度も国民に嘘をつくことが無い。
嘘をつくのは、外国に対してである。
「ちげぇねぇ。」
日本政府side out