やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第28話

やまとside

「作戦内容を報告します。

これより、やまとを含む第二護衛隊群は、黄海(ホワンハイ)に突入。

北京市外にて戦闘中のクーデター部隊を直接的及び間接的に支援します。

以上です。

何か質問はありますか?」

「直接的や間接的な支援とは、どういったものでしょうか?」

「基本的には、戦闘地域に対するトマホーク攻撃。

これは直接的な支援になります。

間接的な支援は、周辺の制空権の確保等です。」

「部隊配置を報告して頂きたい。」

第二護衛隊群と合流したやまと艦長代理である上条はTV会議に参加していた。

そして質問した。

「まず突入部隊は、先程説明した通り第二護衛隊群及びやまとです。

脱出を支援するのは、第四護衛隊群。

後詰めとして第一護衛隊群が展開予定であります。

そのどれもが、八八艦隊を構成しております。

弾道ミサイル対処は、第三護衛隊群及び第一、第四護衛隊群が行います。

つまり、投入する戦力は我々の全力であります。」

「突入する第二護衛隊群には、敵の猛攻が予想されます。

やまとは、まだ完全に修理出来ている訳ではありません。

その点は、どうお考えですか?」

完全に修理できていないのに戦闘に投入された例として、先に挙げたヨークタウンがある。

ヨークタウンはミッドウェー海戦に投入され、第二航空戦隊空母飛龍の猛攻を受け中破。

後に、潜水艦イ-168の雷撃によって沈んだ。

無論、戦艦と空母では防御力に違いはある。

だが同じ運命を歩む可能性は、否定できない。

その例を挙げられて口をつぐむ首席幕僚に代わって第二護衛隊群司令が口を開いた。

「迎撃に全力を尽くす。

としか、答えられない。」

「なるほど、了解しました。」

護衛隊群司令が、そう言ったら上条は従うほかない。

これ以上の反論は、抗命として処罰の対象となり得る。

「これより、本部隊は、黄海(ホワンハイ)に突入する。

以上、解散。」

やまとside out

 

日本政府side

「良かったのですか?

やまとは、まだ完全に修理出来ていない。

そんな状態で戦闘に投入するなど。」

TV画面の先の島津外務大臣の問いに、直木総理は答えた。

「仕方ありません。

我々には、やまとしか無いのです。」

(この戦争がどう終わったとしても、私達は、いや私は、煉獄に住み続ける覚悟が必要です。

この戦争で散る幾千幾百の命に対する罪は、消えないのですから。)

「何考えてんのか分からんでも無いが、総理をやめるなんて言うなよ。

この戦争がどう転んでも、責任を取るのは総理なんだからな。

始末を付けるまでやめるなんて言うな。」

「外務大臣には、お見通しですか。

今辞めるつもりはありません。

しかし、辛いものです。

自衛隊最高指揮官として、最前線の兵士達の無事を祈ることしか出来ないのですから。」

日本政府side out


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