やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

3 / 74
第一章
第1話 


3月17日

上条定雄は防衛省技術研究本部艦艇装備研究所にてESSMの新誘導システムの開発を担当していた。

開発作業は完了し、現在は特に専任で行っている仕事もないので常に他の研究の手伝いに駆り出されている。

「上条二佐 所長がお呼びになっています。所長室まで出頭するようにとのことです。」

白衣を着た技官の1人が呼びに来た。 

「分かりました。 すぐに行きます。」

上条はそう返事をして手伝いをしていた技官に会釈をして部屋を退室した。

居たところから、数分かかって所長室にたどり着いた。

ドアをノックして、入室の許しを得てから入室する。

「上条二佐 只今出頭しました。」

「やっと来たか 君宛てに辞令が届いている。

上条定雄二等海佐

3月31日付けで

防衛省技術研究本部艦艇装備研究所研究官の任を解き、

横須賀警備区護衛艦やまと副長に任ずる。 

海上幕僚監部人事課課長 柳井義政

以上だ。」

「はっ 拝命します。」

「だがやまと側には3月20日から佐世保へ向け出港するので、それまでに着任してほしいとの連絡が入った。

という訳で既にやまとから迎えが来ておる。

一旦官舎に戻って、私物を取って来たまえ。」

上条は了解の意を示して所長室を辞した。

同じ敷地内に建設された官舎には本当に必要なものしか置いていない。

男の単身赴任というのは大抵そういうものである。

だから荷物をまとめるのもすぐに終わる。

荷物を持って所長室に戻ると、若い一尉がいた。

「護衛艦やまと戦闘情報士官 吉井修斗一等海尉であります。

本日上条二佐のお迎えを命ぜられました。」

ピシッと敬礼を行った吉井一尉を、上条は答礼をしつつ労う。

「お疲れ様です。」

「はっありがとうございます。

荷物はそれだけですか?」

「はい。

男の単身赴任ですから、これだけです。」

「ではやまとに向かいましょうか。」

駐車場に黒いセダンが停められていた。

吉井一尉はそのセダンのロックを解除して、荷物をトランクに積み込んでから運転席に座る。

吉井一尉の運転するセダンに乗り込み、出発する。

「やまとまで1時間ぐらいかかります。どうぞお休みになってください。」

という言葉を有り難く受けて、上条は眠りにつく。

次に上条が目覚めたのは、海上自衛隊横須賀基地の手前であった。

そして原子力空母ジョージワシントンに次いで存在感のある巨艦が見えてくる。

これが上条の新しい職場であり、住居であるやまとである。

上条はやまとの甲板に立った。

吉井一尉は振り返りこう言った。

「上条二佐 ようこそやまとへ。」

そこへ見知った顔の自衛官が走って来た。

「上条 久しぶりやのう。」

「お久しぶりです。長谷川一佐

上条二等海佐やまと副長の任を任ぜられ只今到着いたしました。」

ピシッと敬礼をすると、相手も答礼を返す。

こうして上条は、やまとに迎えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。