やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第三章
第27話


やまとside

中国軍輸送船団の撃退に成功したやまとは工作艦あかしと合流して、修理と休養を取っていた。

艦長代理として上条はあかし艦長に損害を確認していた。

「本艦は中破判定ですか?」

「そうなるね。

まあでもあれだけ喰らって、中破だからね。

逆にすごいんじゃない?

しかも、艦内の主要区画は、全て無事だしさ。」

確かに対艦ミサイルを100発単位で喰らって無事で済んでいるのだから間違いないだろう。

普通の艦艇では、間違いなく轟沈しているだろう。

「細かい話になるけど、主砲塔以外の甲板上の装備品は、全損って事でいいか。

というか、何処に何があったかさえ分からないね。」

そう言って見る甲板上は、まさしく焼け野原であった。

目に付くのは、全て黒く焦げた残骸であった。

中国海空軍との交戦は、やまとのほとんどの兵装を破損させるには充分だった。

しかし、挙げた戦果も大きかった。

航空機を200機以上撃墜、艦船を各種5隻を撃沈したのだから。

「一応対空装備やVLSなんかは予備があるけど、流石にヘリは無いわぁ。

戦争が終わったら、裁判沙汰になるかもな。」

最後の一言は余計である。

というか戦闘における装備の破損は、自衛官に対しては免責が認められる。

だから裁判沙汰にはなり得ない。

まあ査問委員会的なのに、呼び出される可能性はあるが…………

「んじゃ、こっちとしては時間に間に合わせるために外からやりますから。

中までやる時間はありません。

OK?」

やまとに与えられた時間は、たったの数時間である。

これは太平洋戦争時の在真珠湾海軍工廠の人間でも不可能だろう。

何故なら、彼らはミッドウェー海戦前に、損傷した空母ヨークタウンをたったの三日で戦闘可能な状態にしたのだから。

そんな彼らでも、与えられた時間がたった数時間では、やはり匙を投げるだろう。

しかし、自衛官達は諦めない。

何故なら、彼らは出来る出来ないで活動していない。

絶対にやりきるという想いで活動しているのだ。

「分かりました。

よろしくお願いします。」

やまと艦内では、乗員によって応急修理が行われていた。

「ここに鉄板持って来い。

取り敢えず、穴塞ぐぞ。」

鉄板を持ってきては、器用に溶接していく。

甲板上では、新しい兵装の取り付け作業が始まっていた。

「オーライ、オーライ。

OKです。」

あかし乗員は、手早く各種兵装を固定して、電装系をつなげていく。

「作業は全て完了。

後は、ドックにでも入らなければ直せませんね。」

やまとを見回ったあかし艦長は、そう報告した。

「了解しました。

これより本艦は、作戦行動に復帰します。」

上条はそう言って敬礼した。

やまとside out




艦艇紹介。
工作艦あかし
 海賊対処などで海外に派遣されることの多くなった護衛艦を現地で修理するために建造され
 た。
 基準排水量15000tで、自衛隊支援艦艇のなかで一番最大である。
 その理由は、兵装をも運搬する能力も有しているからである。
 命名理由は、日本帝国海軍唯一の純正な工作艦明石よりとられた。
 

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