中国反政府組織side
「武器の調達は、どうなっていますか?」
初老の男が尋ねた。
「順調に進んでおります。
現在、ロシア軍や各国軍払い下げの
対空用もしくは対戦車兵器も日本政府より供与されています。
後は時期の決定のみです。」
「そのことだが、台湾政府に要請を出した。
今日にも陽動の上陸演習作戦を実行してくれる。
沿岸防御のために各軍区の部隊に派遣命令が下るのは間違いない。
明日に実行する。
全員に連絡をしておいてくれ。」
「どうなさるおつもりですか?
この国や国民を。
そして国民の財産を。」
「一から改めて国を作る必要は無いと思っている。」
「それはどういう事ですか?」
「休戦協定発効後にだが、台湾の中華民国と併合させる。
どうせ民主化するのだったら、その方が手っ取り早いだろう。
無論制度はすべてあちらのものとなるだろうが。
彼らも二つ返事で承諾してくれたよ。
なんたって大陸反攻が彼らのスローガンだからな。」
「あなた自身はどうされるのですか?」
「私の進退か?
今は考えていないな。
改めて統一された中華民国国民に信を問おう。
共産党政権の中枢にいた私の罪を許すかどうかをな。」
中国反政府組織side out
台湾政府side
「どういうおつもりですか?
顔も知らぬあんな男を信用して。
毛総統。」
台湾政庁内は大きく割れていた。
それは中国反政府組織の代表代理を名乗る男が、"今後我らが中国国内において実権を握った場合即座に台湾政府との間で併合条約を結びたい"そう言ったからだ。
無論どちらがどちらを併合するのか問い質したところ帰ってきた答えがこれだった。
"中華人民共和国《我々》が
大陸反攻がスローガンの諸君らにとっては良い条件じゃないかね。"
毛総統は二つ返事で承諾した。
しかし台湾政庁内には反対派もいた。
それが今総統に詰め寄っている男を筆頭とするグループである。
「彼らの目的が見えません。
安易に判断するのは危険ではありませんか?」
「そんなことは無い。
彼らは真剣に国を憂いているのだろう。
暴走しはじめた、我の国をな。
彼らには国を救うにはそれしかない事も分かっているはずだ。
君ならば分かるだろう。
その気持ちが。
学生運動家だった君ならな。
そう信じておるよ。」
そう言って毛総統は微笑んだ。
台湾政府side out