やまとside
「むぅ やはりな。」
レーダー画像を見ていた上条は唸る。
昨夜沖縄方面にて中国空軍と航空自衛隊が交戦したとの情報がこちらに入ってきていた。
次はやまとであっても可笑しくはない。
敵機動部隊から発進したJ-15が20機飛行中なのだ。
その背後には中国空軍戦闘機隊が控えている。
ざっと見で60機程だが、もっと飛んでいる可能性もある。
「これらを敵機と認定する。
全艦に発令 戦闘部署発動 対空戦闘用意 総員配置につけ。」
「各種ミサイル準備完了。」
砲雷士が報告する。
「空自のF-15がスクランブルしました。
詳細なデーターを要求してきます。」
「データ・リンクにて転送しろ。
やまとは迎撃行動を開始せよ。
吉井一尉、頼むぞ。」
戦闘情報士官は情報処理を担当し、防空システムの目標を選択する。
やまとにのみ置かれているのは、それを担当する砲雷士の人数不足からであった。
他の艦であれば、他の部署から引っ張って来れば良いがやまとではただでさえ乗員の数が不足している。
どこの部署にも余裕何て言うものは無いのが現実であった。
そのため前の前の艦長が海上幕僚監部に嘆願して配属してもらったらしい。
「了解です。」
「目標、敵味方識別信号応答無し。
完全に敵機です。」
「攻撃の許可を申請します。」
吉井一尉が申請する。
「許可する。 敵を押し潰せ。」
「「了解。」」
上条の許可に吉井一尉と砲雷長が返事をする。
「SM-2発射用意。
発射弾数 12発」
砲雷長の命令で、SM-2が発射待機に入る。
「
舷側に設置してあるVLSよりSM-3が撃ち上げられる。
1分後、レーダーを睨んでいた吉井一尉が言う。
「5、4、3、2、1 マーク・インターセプト 12発全ての命中を確認。
続いて第2波攻撃目標入力完了。」
「SM-2 発射用意。
発射弾数 12発。
また舷側のVLSからSM-2が撃ち上げられる。
これも全て命中した。
編隊が密集していたこともあり、多数の敵機が撃ち落とされた。
「敵機より高速飛行物体分離。
数 40。
対艦ミサイルと思われます。」
「
ESSM 発射用意。
発射弾数 60発
撃ち方始め。」
舷側のVLSから次々ESSMが撃ち上げられる。
これらはやまとのイージスシステムの中核たるAN/SPY-1G多目的レーダーの反射波を利用してESSMを誘導するものである。
技術研究本部で上条が研究していたものがこれである。
実用試験としてやまとに搭載されたのだ。
必要なら大量のESSMを誘導し続けることが可能だ。
しかし今のところESSMにしか対応できないのが難点である。
大方撃ち落としたが撃ちもらしがあった。
「主砲及び副砲 撃ち方始め。」
やまとの46cm砲と76㎜砲が猛烈な弾幕を張る。
46cm砲は面で制圧するのに対し、76㎜砲は、点の一点に火力を展開する。
これらが同時に展開されるのだから、ミサイルが撃ち落とされない事は無い。
爆発による煙が晴れた時には、ミサイルの影等どこにもなかった。
「状況終了。
残存する中国空軍機は待避していきます。
我々の勝利です。」
吉井一尉はそう締めくくった。
やまとside out