やまと復活 鬼神の護衛艦   作:佐藤五十六

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第8話

日本政府side

直木総理はアメリカのルーズベルト大統領との電話会談をしていた。

「ウ゛ァージニアは、現在我が国の管理下にあります。

拿捕にともない乗員は我が国が拘束しました。

現在全乗員に対して、我が国刑法例えば殺人未遂罪等の適用も含めた対応を検討しています。

そのため改めて現場検証を含めて行う必要があり、今すぐの返還及び引き渡しは不可能です。」

アメリカ側の要求は、ウ゛ァージニアの即時返還と全乗員の即時引き渡しであった。

「そうは言ってもだ。 ウ゛ァージニアはアメリカ合衆国国民の財産なのだ。

それを彼らはウ゛ァージニア強奪という犯罪を犯している。

日米犯罪人引き渡し条約に基づき早期に引き渡してほしい。」

「そういえばその国民の財産を沈めても構わんと言い放ったのは、貴国の海軍でしたなぁ?

大統領。いや海軍作戦部長(CNO) スターク大将。

アンタは何を考えているのかねぇ。

軍人ならはっきり言いなさいよ。」

脇に控えていた海軍将官の顔がみるみる青ざめていく。

「私に対して、国民の財産だのなんだの抜かし寄ったくせに何を言っているんだ。

それは事実か? スターク海軍作戦部長

何か申し開きはあるか?」

ルーズベルト大統領も向き直り詰問する。

「・・・・・・・・・・・・・」

海軍作戦部長は、顔を俯かせ沈黙を貫く。

「沈黙はぜなりという。 言い逃れは出来んぞ。

追って処分は知らせる。

誰かこいつをつまみ出せ。」

有無を言わせない大統領の口調に、海軍作戦部長の身体が震えている。

シークレット・サービスから2人出てきて海軍作戦部長を連行する。

大統領はこちらに向き直り告げた。

「すまないな。

海軍側からの強い要請だったから要求したが、海軍側が何か関与していたようだ。

要求は直ぐに取り下げる。

これは要請なのだが、今回の件について日米合同の調査チームを置きたいと思う。

直木総理ご自身の意見が聞きたい。」

「参加するのはどの機関となりそうですか?」

「こちらとしては連邦捜査局(FBI) 陸軍憲兵隊等だ。

無論海軍側は一切参加させない。」

「それで結構です。

我々も参加しましょう。」

「賠償に関してだがどうする?」

ルーズベルト大統領の問いに直木総理は答えた。

DDG(ミサイル護衛艦)6隻分のイージスシステム一式 約3000億円分。」

「その程度でいいというのか。」

「ええ 幸いにもやまとが沈んだ訳ではありません。

死傷者もいませんでした。

この辺が妥当だと思いますが。」

「うむ そう言ってくれると有り難いが、本当によいのか?」

「地方隊所属の旧式艦の更新用に必要でした。

このような事が無ければ、イージスシステムを積もうとは思いませんでしたが。」

「そうか ではそのうち2隻の建造費用を我が国が負担しよう。

システムも含めて、約5000億円分の拠出だ。」

「本当によろしいのですか?」

「ああ 構わんよ。」

「ありがとうございます。」

日米両国首脳の会談でこの事件の後始末はついた。

米海軍が一方的に引き起こしたこの日米政治的紛争は国家機密とされ、後にイージス艦6隻が連続建造されるまでは誰も気付かなかった。

後日日米合同調査チームによる徹底的な調査によって米海軍がやまとの撃沈を画策していた事が判明した。

しかし日米両政府ともに沈黙を貫いたため特に報道される事もなかった。

お陰で米海軍の威信は保たれた。

日本政府side out

 

 

 


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