ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)   作:蜜柑ブタ

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 仕事が忙しかったり、執筆が難航して中々更新できなくてすみません。

 今回は、シンジとレイ、あとネルフのオペレーター達のことを少し書いてみました。

 私の執筆力では恋愛が書けなくて苦しんでます…。


第二十二話  レイ、頑張る

 

 

 

 

 

 

 シンジがレイに告白し、二人が結ばれてから何日か経過した…。

 

「どうしたらいいか分からない?」

「……。」

 レイはこくりっと頷いた。

 相談された志水は、シンジがレイにたいして好意を寄せていたのはなんとなく察していた。

 いざ二人が結ばれたというのをレイが暴露してシンジが赤面して蹲ったのは最近のことだ。ちなみにレイは無邪気に微笑んでた。

 たぶんレイは、恋愛云々の知識はほとんどないだろうなっと思っていたのでもしかしたら自分に相談してくるかもと想定はしていたが、シンジじゃなく、レイの方が来るとは思わなかった。

「シンジ君は何か言ってたかい?」

「いいえ…。」

 志水は、腕組して唸った。

 志水は、今でこそ独り身だが異性との交わりがないわけじゃない。

 レイは、どこかで恋人同士が何をするのか知識を手に入れたのだろうか?

 その考えが浮かんだが、レイの顔を見るとそれは違うと思った。

 シンジは、誰が見ても分かるほどよく気が付く子だ。火傷をする前からしょっちゅうレイの手助けだってしている。恋人同士の進展を気にしているというよりは、シンジに助けられてばかりで自分も何かしたいという気持ちから相談に来たのだろう。

 恋愛云々にまだ疎いレイに、変に知識を与えてシンジとの仲が拗れることになっては大変だ。かと言って年頃の女の子らしさというものを芽生えさせるのは…。

 それを考えて、志水の頭にピコーンとひらめいた。

「参考になるか分からないけど…。」

「?」

 現在いる休憩室にある本棚から、本をレイに渡した。

 変に拗れるかもしれないと何も教えないのはいけないと考えた志水は、起爆剤にと渡したのは………、少女漫画だった。

 レイは、パラパラと漫画を読んで。だいたい読み終わると本を置いた。

「どう、がんばれる?」

「……がんばる。」

 レイは、立ち上がると足早に休憩室から出て行った。

 残された志水は、漫画を本棚に戻しながら。

「シンジ君…、これは試練よ。」

 シンジの健闘も祈った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「碇君。」

「綾波? どうしたの?」

 駆けて来たレイに、シンジは驚いた。

「……。」

「綾波?」

 目の前でジッと見てくるレイに、シンジは困惑した。

 困惑していると、レイがシンジの両肩を掴もうとした。

 だがその時。

 

「あれ? シンジ君にレイちゃん。」

 

 尾崎が通りがかった。

「あっ、尾崎さん。」

 シンジが尾崎の方を向いた。

 レイは、行き場のない手を宙に浮かせたまま、ジトッと尾崎を見た。

「???」

 レイの視線に尾崎はハテナマークを頭に浮かべた。

 一連の流れをすぐ近くで見ていた(というかたまたま通りがかって見ざるおえなかった)風間は、目頭を押さえて俯いていた。

「……おまえも苦労してるな。」

「…うるせぇ。」

 そんな風間の肩を、宮宇地が叩いて慰めた。

 

 

 

 その後。

 

「碇君。」

「なに?」

 シンジの目の前に来たレイは。

「えっ?」

 急に床にペタンと座った。

 そしてシンジを見上げて、自分の太ももを指さす。

「えっ? えっ? えっ?」

 シンジは、混乱した。

 レイは、じーっとシンジを見ていたが…。

「ね、ねえ、綾波、床は汚いよ?」

「! ……。」

「えっ? 綾波?」

 レイは、シンジの悪気ない言葉に眉を寄せ、素早く立ち上がると、背中を向けて駆けて行った。

 残されたシンジは、頭の中に沢山のハテナマークを散りばめていた。

「……。」

 また、たまたま通りがかって一連の流れを見てしまった風間は、眉間を指で押さえて項垂れていた。

 

 

 

 さらにその後。

「僕何か悪いことしちゃったんでしょうか…?」

「…それをなぜ俺に相談する?」

 なぜかレイのことでシンジに相談されることになったりした。

 以前のようにあからさまに避けられなくなっただけ進歩なのだろうと思い直すことにする。

「す、すみません…。」

「謝るな…。でっ?」

 恐縮するシンジにそう言い、頭痛がするのを押さえて風間が聞くと、シンジは、シュンと下を向いた。

 シンジが言うには、レイが床に座って太ももを指で指し示す動作をしてからレイの機嫌が悪くなったのだとか。

「……おまえはそれについて何を言った?」

「床は汚いよって言いました。」

 間違ってはいない。むしろ優しいぐらいだ。

「…くらだ。」

「えっ?」

「膝枕だ…。」

「? えっ? えっ…、えー!?」

 言われてやっとレイの行動を理解したシンジは、顔を赤くしたり青くしたりと忙しくなった。

「あからさま過ぎてかえって察せなかったのは分かる。察しろと言う方が難しいかもしれん。」

「ぼ、僕どうしたら!?」

「それを俺に聞くのか…。」

 風間は頭痛を感じて頭を押さえた。

「あれ? それじゃあ、最初のあれは?」

「………恐らくキスしようとでもしたんだろ。」

「えっ? き、ききききき、きすーーーー!? なんで!?」

「俺が知るか!」

「ひぅ…。」

 風間の怒鳴り声に、シンジは怯んだ。

 風間は、一息つき。

「とりあえず謝ってこい、そっからは自分でなんとかしろ。」

「嫌われたらどうしよう…。」

「そんなのは後で考えろ。まずは行動だ、行け!」

「は、はい!」

 オロオロするシンジに、風間は怒鳴り食堂の出入口を指さした。

 シンジは、ビシッと背筋を伸ばして出入り口に走って行った。

 シンジが行った後、風間は大きく息を吐き。

「あんた、どんな教え方したんだ?」

「ごめんなさいね…。」

 食堂のキッチン側にいた志水が謝罪した。実はずっと様子を見ていた。

「少女漫画を参考に見せて…。」

「そいつは随分思い切ったな…。」

「進展が全くないよりはいいと思ったのよ。」

 志水のしたことは間違ってはないが、正しいとも言えない。

 風間は、また大きく息を吐いた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「綾波!」

 M機関の建物の外に出たシンジは、レイを見つけた。

「……。」

「くわっ。」

 レイは、ペンペンと戯れていた。

「なあ、綾波…。ごめん…。」

「……。」

 レイは、振り返りもせずペンペンの両手を握って軽くプラプラさせていた。

「わ、分かんなくてごめん。でも…、あれ、あんなところでやつことじゃないよ…?」

「……。」

「聞いてる? えっと……その…。」

「…分からないの。」

「えっ?」

 レイがポツリと言った。

「碇君に好きって言って、それからどうしたらいいか分からないの…。碇君と何をすればいいのか。碇君にしてあげれること…、何か分からなくて…。」

「……ぼ、僕も実は分からないんだ。」

「えっ?」

 レイは、それを聞いてようやく振り向いて立ち上がった。

 シンジは、頬を染めてポリポリと指で頬をかいた。

「偉そうなこと言えないけど、僕も、その…女の子と……、えっと…、好きになった子と何をしたらいいか、分かんなくって…。」

「碇君も?」

「うん…、ごめん。」

「クワァ。」

 するとペンペンがシンジとレイの間に来た。

「どうしたの?」

 レイが聞くと、ペンペンとレイの左手を握った。

「?」

 更にペンペンは、もう片手でシンジの右手を握った。

 そして二人の手を引いて、二人の手を重ね合わせて握らせた。

「!」

「?」

 シンジは、ペンペンのやったことに驚いて顔を赤くし、レイは、小さく首を傾げた。

「クワァ~。」

 ペンペンは、やってやったぜと言う風にドヤ顔をした。

「ぺ、ペンペン!」

「碇君。」

「あ、綾波これは…、っ。」

 シンジがペンペンを嗜めようとしたらレイが声をかけてきたので慌てて弁解しようとした時、レイが両手でギュッとシンジの右手を握った。

「碇君の手…、温かい。」

「う…、そ、そう?」

 赤面するシンジ。レイは、どこか無邪気に微笑んでいた。

 そんな二人を見て、ペンペンは、いけーいけーと言うように飛び跳ねていた。

「あっ、そうか。」

「えっ、なに?」

「手…、握って歩くの。」

「ええー!」

「碇君、…イヤ?」

「い、いいい嫌じゃない…よ?」

「本当?」

「う、うん…。」

 嬉しそうに微笑んだレイに、赤面したシンジの心臓はバクバクと音を立てていた。

 

 

 それから、建物の通路内をシンジとレイが手を繋いで歩いている姿が目撃されるのだが。

 レイは、微笑んでいて、シンジは、赤い顔をもう片手で隠すようにしてレイに手を引かれるような形で歩いていたという。

 そんな二人に口笛を吹いたりして囃し立てた者達に、後ろから風間がチョップをいれるということがあった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 一方その頃。

「ハ~~~~~~~~…。」

「長い溜息だな。」

 青葉と日向がネルフ本部の休憩室にいた。

 青葉は机に突っ伏し、向かい側に座っている日向は本を読んでいた。

「どうしたんだ?」

「就職試験落ちた…。」

「またか。これで何回目だ?」

「15回…。」

「なにやってんだよ。」

 弱々しく言う青葉に、日向は呆れ顔で言った。

 日向達、ネルフのオペレーター達は、ネルフ本部が権限を失ったことでとにかく暇だった。

 つい最近の出来事で、ゲンドウの暴走に事件の後、一時自爆装置の権限を奪われていたMAGIの復旧作業や破損したエヴァ弐号機の格納などの作業があり、少々忙しかったことはあったが、終わってしまえば暇になる。

 本部の維持については、本部中枢を担うMAGIの管理者であるリツコが中心となって行われており、今までの職員のほとんどが切られ、本部の維持に必要な人材も最小限、日向達のようにギリギリで残っている職員達がいるだけである。

 ネルフが失墜したことで元ネルフ職員という肩書は枷となり、再就職を困難にさせた。

 大量の失業者達が路頭を迷いかけたが、そこに救いの手を差し伸べたのが、ある意味で元凶である地球防衛軍だった。

 再結成されたばかりで人材が足りないということで、審査に受かれば地球防衛軍での働き口(職種様々)を紹介してもらえた。再就職ができずにあえいでいた元ネルフ職員達の多くがこれにしがみつき、殺到した。結果としてこれが機密の多いネルフ内部の情報を地球防衛軍に漏れさせることになり余計にネルフの重要性がなくなるきっかけにもなった。

 しかしそれでも再就職が難しかった者達もいる。

 すでに機能を失った作戦本部のオペレーターである青葉などがその代表と言える。

 オペレーターとして防衛軍に入りたくてもすでに司令部のオペレーター枠はかなり難問。そして事務作業の方も上限がいっぱい。

 色々と運が悪く事務職の枠が埋まってしまったばっかりに、再就職に漏れてしまったのである。

 ちなみに日向は。

「おまえ技術部オペレーター、まだ目指してんの?」

「まあな。」

 日向が今読んでいる本は技術職に関する資格の勉強をする本である。

「地球防衛軍は子供の頃からの憧れだったからな。この機会を逃したら二度と巡ってこないよ。」

「そりゃよかったな…。」

 目をキラキラさせて言う日向の様子に、青葉は少しうんざり顔で言った。

 

 

 

 一方で伊吹マヤは。

「先輩、コーヒーをどうぞ。」

「ありがとう。マヤ。」

 パソコンの前にゆったりと椅子に座っているリツコに、マヤがコーヒーの入ったカップを渡した。

「…マヤ。」

「はい。なんでしょうか?」

「あなたはこのままここにいるつもるりなのかしら?」

「はい。先輩を置いていくなんてできません。」

「今のネルフにいても何もないし、収入も少ない、贅沢を控えれば十分生活できる。そんな生活を続けることになるわよ?」

「大丈夫です。」

「若いあなたがこんなところで人生を終わらせるなんてことないのよ?」

「いいんです。これが私の選んだ道ですから。」

「あなたなら防衛軍の技術職でやっていくことだってできるのに、勿体ないわね。」

「それは、先輩の指導がおかげです。」

「私のためなんかにここ(ネルフ)に残らなくたっていいのよ?」

「私、先輩に憧れているんです。」

「落ちぶれた組織の管理しかできない科学者なんて憧れても失望するだけよ?」

「でも先輩。最近楽しそうじゃないですか。」

 マヤが言うリツコが楽しそうという意味は、ゴジラが出てきてからというもの、ゴジラ関連の資料や、ゴジラと防衛軍の戦いを生中継で視聴していることだった。

「それにMAGIの管理だって先輩一人よりやりやすいと思うんですよ。それとも私じゃダメですか?」

「そんなことないわ。ありがとう。」

「そう言っていただけるだけで十分です。」

 マヤはにっこり笑い。リツコは、やれやれと言う風に肩をすくめ微笑んだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 波川の執務室で、波川とゴードンが机を挟んで対峙していた。

「…要件はなんですか?」

「ゼーレを知っているか?」

 それを聞いた波川は、眉を歪めた。

 波川の表情を見てやはりかとゴードンは呟いた。

「どこでその言葉を?」

「言う必要はない。」

「……。」

「……。」

 そして再び沈黙が流れる。

 先に口を開いたのは波川だった。

「私もすべてを知っているわけではないわ。“彼ら”のことは。」

「全く知らないわけじゃないんだな?」

「セカンドインパクトが起こる前…、解散する前の地球防衛軍にいた頃、彼らに従う者と接触した。彼らは地球防衛軍を良く思っていなかったらしいから内側からどうにかしたかったのね。危うく殺されかけたことだってあったわ。」

「人類の文明が始まった頃から存在するとかしないとか…、歴史を裏から支配していたとは聞いたぜ。」

「あら、それだとあなたの方が良く知っているかもしれないわ。」

「………使徒が人類の可能性だってこともな。」

「なんですって?」

 ここから先は、ゴードンが加持から聞いたことである。

 使徒は、使徒アダムから生まれた生命の実を持つ人類。

 人間は、使徒リリスから生まれた知恵の実を持つ人類。

 両者は争う運命にあり、互いに持たない物を手に入れて完全な生命になることが目的である。

 人間は、使徒から生命の実を。使徒は、人間から知恵の実を。手に入れるために。

 使徒が持つ生命の実と言うのが、使徒の体を維持しているコアであり、S2機関という永久機関だという。

「人類の可能性だから、人類とほとんど同じ遺伝子を持つわけだ。ある意味当り前のことだった。使徒が人間に敵意を向けるのは俺達人間にしかない知恵の実とやらが欲しいから。……そして人類は、生命の実、永久機関のS2機関を欲しがった。ゼーレとかいう連中の目的はそれだろう。」

「その二つを手にした人類が覇者になるということかしら? 単に頂点に立つことだけを狙っているとは、思えないわね。」

「おまえもそう思うか?」

「人間の歴史の裏にいた彼らが、“その程度”のために動いているとは思えない。もっと面倒なことを考えて行動してそうね。」

「人間を進化させるためだっつったら信じるか?」

「…その話、どこで?」

「どーでもいいだろ。

「情報の出所は重要よ。」

「おまえがゼーレとかいう連中と繋がっている可能性はどうだ。」

「信用がありませんか?」

「戦自も国連も、ゼーレの隠れ蓑だったらしいからな。」

「それはどこの情報かしら?」

「ゼーレと繋がりのある奴らを片っ端から上げてもらおうか。」

「それを言ったらほとんどの人間達がそうなるでしょうね。ですが彼らはゼーレを良く思っていないらしいわ。」

「…ゴジラか。」

 地球防衛軍が誕生するきっかけとなった最悪最強の敵。

「そうでしょうね。ゼーレからの離反が増えたのもゴジラを始めとした怪獣の出現がきっかけではあったらしいわよ。」

 ゼーレにとって完全なイレギュラーであったゴジラを始めとした怪獣の多くの怪獣の出現は、ゼーレの隠れ蓑とされていた政治家や軍部などに自立する力を湧きあがらせ、ゼーレの威光が及ばない地球防衛軍が人類の存続を賭けてゴジラと怪獣達と戦いを繰り広げた。

「尾崎の命を狙っているのもゼーレか?」

 今までにも

「また命を狙われているとは聞きましたが、ゼーレとは断定できませんわ。」

「…連中は何か勘違いしているかもな。」

「その根拠は?」

「あいつ(尾崎)の力もそこまで及ばないということだ。」

「なら、本当に彼らのことを探ったのは、ツムグということになるかしら。」

「奴ならそれぐらい朝飯前だろう。」

「ですが、ツムグは何も喋りませんからね。」

「奴は何を企んでいる。」

「それは分かりません。」

「ったく、面倒な奴だ。」

「同感ですわ。」

 ゴードンと波川は同時に溜息を吐いた。

 

 

 と、その時。

 

 

 警報が鳴った。

 

「波川司令! 使徒が現れました! 至急本部に!」

 波川の部下が駆けこんできた。

「使徒か。」

「行きますよ。」

 波川とゴードンは、波川の執務室から出た。

 

 

 

 この使徒がもたらす悪夢を、まだ二人は知らない…。

 

 

 

 

 

 

 

 




 ネルフのオペレーター達のキャラがいまいち掴めてなくてすみませんでした。
 日向は、地球防衛軍の技術部に志望。
 青葉は、就職活動中。
 マヤは、ネルフに残る。
 だいたいこんな感じかな。

 次回で、ゼルエル編になります。

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