いぬがみっ!   作:ポチ&タマ

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第七十四話「ラブレター(下)」

 

 

 家に帰ったらなでしこたちが熱心に何かを読んでいた。なに読んでるのと声を掛けたら絶叫されたでござる。

 まるで殺人鬼に遭遇した女子高生のような悲鳴だ。あまりの声量に思わず耳を塞いじゃったし。

 慌てて振り返ったなでしこたちは何かを後ろ手に隠した。なでしこもようこも不自然なほどの笑顔を浮かべているし。

 なんか怪しい……。

 

「お、お早いお帰りですね啓太様」

 

「うんうん、いつもはもうちょっと遅かったんじゃない?」

 

 なでしことようこさんがそう言うけれど、大体いつもこのくらいの時間だよ。

 

「あ、あら?」

 

「……なに隠してる?」

 

 見られたらアカンやつじゃないだろうな。

 ジトー、とジト目を向けているとようこが動いた。

 

「ほらケイタ、疲れたでしょ! わたしが部屋に連れてってあげる!」

 

 ようこに腕を掴まれ引っ張られる。そこまでして知られたくない物というのも気になるが、ここは素直に従っておくかね。

 引かれるまま自室に向かった俺は着替えるためようこを部屋から追い出すと、カバンを置いて部屋着にチェンジ。なでしこたちの部屋もそうだが、こうして見てみると俺の部屋も少し殺風景だな。

 自室は三十畳ほどの広さがあり、備え付けられていたテレビや本棚、テーブル、椅子、新たに購入した勉強机以外スペースが空いてしまっている。インテリアなども考えたことないため、結構空いたスペースが目立って殺風景な印象がある。

 俺も少し物とか置いてみるか。なに置けばいいのか分からんけど。今度デートでインテリアを扱ってる店とか寄ってみるのもいいかもしれないな。一緒に考えながら部屋をコーディネイトするとか。うん、結構楽しいかも。

 

「……あ、そうだ。手紙」

 

 初のラブレターということで記念として取っておきたい気もするが、万一なでしこたちに見つかったら要らぬ不安を与えてしまうかもしれないからな。もし俺が逆の立場だったら気になってしょうがないし。うん。

 なので、小林さんには申し訳ないが手紙は丁重に処分させてもらおう。そう思いカバンのポケットに手を突っ込むが。

 

「……あれ?」

 

 手紙の感触がないぞ?

 ポケットを開いて中を覗き込むけれど、そこにあるはずの手紙は見当たらない。カバンの中かなと中身をひっくり返して見るけれど、やはり薄桃色の便箋はどこにもなかった。

 制服のポケットにもないし、もしかして……落とした?

 サァっと血の気が引いていくのが分かる。あんな大切な手紙を無くすなんて、なにをしてるんだ俺は! すぐに探しに行かないと!

 財布と鍵だけポケットに突っ込み急いで部屋を出た。

 リビングに降りてなでしこたちに出かけてくる旨を伝えようとすると――。

 

「ケイタ! ちょっとなによこれっ!」

 

 何やら怒り心頭なようこが何かを突き出してきた。

 ようこが突き出した物、それは俺が今しがた探していた手紙だった。

 

「……よかった、あった」

 

「よかったじゃない! なんか落としたと思って見てみたら、これってラブレターじゃないのっ! キィ~っ、わたしやなでしこって者がいるのにこの浮気もの!」

 

 ああ、それで怒っているのね。俺が受けるとでも思ったのだろうか?

 ようこの後ろではなでしこもニコニコ顔で威圧感を放っている。

 

「啓太様? 説明してくださいますよね?」

 

「……はい」

 

 おかしいな、俺なにも悪いことしてないのに。そう思う一方で気が付けばカーペットの上で正坐していた。条件反射って恐いね。

 俺と向かい合って正坐するなでしこ。その隣ではようこが勝手に便箋から手紙を取り出し、読み始めた。

 

「【川平くんへ。突然のお手紙で大変驚いているかと思います、ごめんなさい。川平くんの噂を聞いて、入学当初からあなたのことは知っていました。初めはどんな人なんだろうという好奇心でしたが、あなたの人となりを知っていくうちに段々と惹かれていきました。今では自然と川平くんの姿を目で探している自分がいます。あまり長く書くと読むのに疲れちゃうだろうから、この辺にしておくね。あなたのことが好きです。もしよろしければ、お返事を下さると嬉しいです。一週間後の放課後、五時に屋上で待っています。小林より】……小林って誰よォォォォォォ~~~~!!」

 

 ようこが地団駄を踏む。手紙を破り捨てそうな剣幕にハラハラする。ちょっと言い辛いけど、一言注意した方がいいかなと思ったらなでしこが戒めの言葉を掛けてくれた。

 

「ようこさん、勝手に人様のお手紙を読むのは失礼ですよ。それと破かないでくださいね。女の子が勇気を出して書いたものなんですから」

 

「むぅ~、わかったわよ」

 

「――さて、啓太様」

 

 毅然とした態度で俺の目を見るなでしこ。俺も神妙な顔で頷いた。

 

「……はい」

 

「こちらのお手紙はどうされたのですか?」

 

「……下駄箱に入ってた」

 

「そうですか。それで、啓太様はどうされるおつもりですか?」

 

 いやいや、どうされるもなにも断るに決まってるでしょ。

 

「もちろん断る」

 

「その割には、嬉しそうに見えますけど」

 

 マジ? 態度に出てた?

 

「何年お側で啓太様を見てきたと思うんですか。一目見ればわかります」

 

「うんうん、すっごい浮かれてるよねケイタってば」

 

 背後に回って抱き着いてきたようこが俺の頭に齧りつくと、かじかじと頭皮を甘噛みしてくる。

 マジか。いつも通りの自分を心掛けてたんだがな。

 そこでようやく気が付いたのだが、なでしこさん、本気で怒ってるんじゃなく、そういうポーズを取っているように見える。威圧感も今は感じられないし。

 

「ジェラシー?」

 

「……っ」

 

 どうやらジェラシーを感じていたようです。ははぁーん、だから機嫌が悪かったのか。

 率直に胸の内を言い当てられて言葉を詰まらせたなでしこは、ぷぅっと頬を膨らませて見せた。一目で「私、嫉妬しています」と言っているようなもので、可愛らしい抗議の顔に俺の頬も緩む。

 

「……啓太様ってば、私やようこさんがいますのに恋文をもらって喜んでいるんですもの。なにも感じないわけないじゃないですか」

 

「そうだよ! 女心に疎いケイタめっ」

 

「……止めぃ」

 

 かじかじかじ、と相変わらず頭皮を甘噛みし続けるようこの頭に手を添え、軽く投げる。くるんと一回転して俺の膝の上に納まった。きょとんとしているようこの背後から手を回して抱き留める。

 

「……確かに浮かれてた。ごめんなさい」

 

 ようこを抱き留めたまま、ぺこっと頭を下げる。

 あっという間に機嫌を直したようこはすりすりと頭を擦り付けてきた。

 まだ少し頬を膨らませているなでしこがこんなことを聞いてきた。

 

「そんなに嬉しいんですか?」

 

「……ん。初めてもらったラブレターだから」

 

 生まれて初めてとなるとやっぱり嬉しく感じる。けれど、なでしこたちが感じている気持ちや思いも分かっているつもりだ。

 なでしこたちのことを考えて、今後もらう機会があったら受け取らないほうがいいのかな。

 

「……わかりました。考えると私たちも少し大人げなかったですね。ごめんなさい、啓太様」

 

「いい。むしろ妬いてくれて嬉しい」

 

「もう、啓太様ってば……。あの、それでなんですけど……」

 

 取りあえず一件落着ってことでいいのかな。それにしてもあのなでしこがラブレターを貰っただけでここまで妬いてくれるとは思わなかった。彼女の新しい一面が見れたことに満足していると、件の彼女はチラチラと俺の膝に座ったようこをチラ見して、何か言いた気な様子だ。

 うちの彼女たちはどんどん可愛くなっていくなぁ! なんだ、俺を萌え死にさせる気か!?

 すっかりたれようこと化したようこを脇にどかし、なでしこを手招く。羞恥心を忘れない大和撫子は頬を朱に染めたまま擦り寄ってきた。

 肌が触れ合うスキンシップはこれまでも取ってきたけれど、思えばこういうのはあまりやったことがないな。逆はあるけれど。

 

「それでは、失礼しますね啓太様……」

 

 恐る恐るといった様子で膝に座るなでしこを後ろから優しく抱きしめてあげる。彼女から漂う良い匂いが強く感じられてた多幸感に包まれる。ああ、幸せなんじゃあ~。

 なでしこの後ろ髪に顔を埋めると、彼女は小さく笑い声を上げて身を捩った。逃がさないように腕に力を籠めると自分から身を寄せてきて、先程ようこがしたように顔を擦り付けてきた。なんだか猫みたいな仕草で笑ってしまう。犬の化生なのにな。

 たれようこも隣でぐでーっと脱力していて三人でまったりした雰囲気を味わっていると、ふとなでしこがこんなことを聞いてきた。

 

「恋文を貰うと嬉しいんですよね?」

 

「……んー? まあ」

 

 ラブレターじゃなくてもさ、好感を持ってくれてると分かると嬉しいものじゃん。それに手紙だと形に残るから後で読み返せるしな。

 そう説明すると、なでしこは納得した様子で頷いた。

 

「じゃあ私も……」

 

「……ん?」

 

「いえ、なんでもありませんよ啓太様」

 

 声が小さかったからよく聞き取れなかったけれど、なでしこがそう言うならいいかな。

 しばらく、俺たちはこのまったりした空間を満喫したのだった。

 

 

 

 1

 

 

 

 それからあっという間に一週間が経ち、今日がラブレターに書かれていた返事の日。

 放課後になり人気の少ない屋上にやってきた俺はそれらしい人がいないのを見てとると近くのベンチに腰を下した。時刻は四時半。約束の時間まであと三十分ある。

 チラッと屋上の隅にある給水塔を見る。そこには人の目に触れないように姿を消したなでしことようこが腰掛けていた。俺が断ると分かっていても気になってしまうようで、こうして一部始終を見守るためについて来てしまったのだ。まあ俺自身別に見られても問題ない。ちゃんと断るつもりだし。

 腕時計の針が進み、やがて三十分が経過。ついに指定の時間である五時となった。

 三人の視線が屋上の入口扉へと向かう。俺もなでしこもようこも、件の小林さんが誰なのか気になって仕方ない。なでしこたちと俺の気になるのベクトルは違うだろうけれど、それでもついにこの時、謎だった小林さんが姿を見せるのだ。

 扉はまだ閉まっている。固唾を呑んで見守っていると、ついにキィィっと金属音を鳴らして扉が開かれた。

 

「来た……っ!」

 

 ようこの声が聞こえる。果たして姿を見せたのは――。

 

「ごめんなさい川平くん、待ちましたか?」

 

 大きく手を振りながら、野太い声で俺の名を呼ぶ一人の女子(?)。

 二メートルはあるだろうか。見上げるほどの身長にボディビルダーのごとく鍛え上げられた褐色の筋肉。熱い胸板が制服を盛り上げ、スカートとハイソックスの間に見える大腿四頭筋とハムストリングスが強烈な存在感を見せている。髪は銀髪のベリーショートでもみあげの部分だけ三つ編みで結ばれ、可愛らしい赤いリボンがそれぞれ三つ編みの先に飾られていた。

 堀の深い精悍な顔には女の子特有の美しさや、可愛らしさが微塵もない。女子、と口にするには決定的に何かがおかしい。しかし明らかにその人は女生徒の制服を着ている。

 絶句している俺を余所にその女子(?)は速足で近づいてくると、野太くどこか威圧感のある声で言った。

 

「ごめんなさい、ホームルームが長引いちゃって。お手紙読んでくれたんですね」

 

 野太い! 野太くて低い声! だけど言葉はすんごい丁寧!

 衝撃のあまりに顔面が崩壊しそうだ。平静を保つため呼吸法と自己暗示を行って平常心を無理矢理取り戻し、身体操法で表情筋を動かして顔が引きつらないようにする。

 

「……えっと、小林……さん?」

 

「うん。あたしが二年の小林・サンジェルフ・ロイマンです。初めましてだね」

 

 バチンッ☆ と強烈なウインクを一つ。どす黒い星形のそれを咄嗟に避けてしまった。

 これが小林さんだってェェェェェ!?

 こんな男か女かもガチで分からない人からラブレターを貰ったのか。ていうか本当に胸があるのかマジで分からねぇ。なんだよその胸板、谷間出来てるじゃんかよ!

 ていうか、これに似た人最近見たことあるぞ。俺、追われた身だしそいつに。

 給水塔から爆笑が聞こえてきた。ようこだ。絶対笑い転げてる。

 

「……は、初めまして。最近、キミのような人と会ったばかり」

 

「あっ、それ多分ウォルフ叔父さんだね。この前、可愛い男の子見かけたからつい追いかけたって言ってたけど、川平くんのことだったんだ」

 

 ま、マジっすか……。

 

「でも川平くんすごいね! 叔父さんから逃げ切るなんてそうそう出来るものじゃないよ」

 

 そう言って熱い視線を送ってくる小林・サンジェルフ・ロイマン! そういえば先輩が同級生でめっちゃ濃い人がいるって言ってたけど、この人のことだったのか!

 

「あたし、川平くんが好き!」

 

 やめてぇぇぇ! 俺には愛する犬神たちがいるんじゃあああああ~~~~っ!

 

「どうかあたしの彼氏になってください、お願いしますッッ!!」

 

 直角に頭を下げた小林、さんが吼える。地面に向けられた声は全方位に拡散し、ぶわっと円状に風が吹き抜けた!

 嘗て感じたことのない恐怖心が俺を襲う!【絶望の君】との闘いより、告白を断って無事に乗り切ることのほうが余程難しいよ!

 でも俺、頑張る。愛する彼女たちが見てるんだ、無様な姿を晒すわけにはいかないんだよォォォォォ――!

 

「……俺、付き合ってるヒトがいる。だから、ごめんなさい」

 

「――っ! そ、そんな、川平きゅんに恋人がいたなんて……!」

 

 きゅん言うな!

 眦を吊り上げた小林、さんは般若のような形相で俺の肩を掴むと声を荒げた。

 

「誰っ! 一体誰なの!? あたしの川平きゅんと恋仲になるなんて許せないっ!」

 

 いや、あんたのじゃねぇし! きゅん言うな!

 しかし、この人なんて握力だよ。全然振り解けないし! 仕方なく身体強化して振り解こうとするが、それよりも早く二つの影が降り立った。

 

「はい、そこまでだよ!」

 

「それ以上の狼藉は許しません!」

 

 なでしことようこだった。俺の両隣に降り立った二人に小林、さんが目を見開いた。

 その隙に拘束から逃れて後退る。

 

「だ、誰あなたたち? さっきまで誰もいなかったよね?」

 

 ようこが胸を張り、なでしこがいつもの柔和な笑みを浮かべて言った。

 

「わたしたち? わたしたちはねぇ、ケイタの――」

 

「――恋人です♪」

 

 ようこのしゅくちで給水塔の上に転移する。それぞれ肩を持ってくれるようことなでしこが振り返り言った。

 

「ケイタが誰にも渡さないよ。だってわたしたちの大切なご主人様で」

 

「旦那様ですから。ですので、ごめんなさい」

 

 そして、トンと給水塔を蹴る。なでしこたちに支えられながら空を飛ぶ俺。

 振り返ると、ポカンと口を開けた小林、さんが屋上に一人取り残されていた。

 

 

 

 2

 

 

 

「……助かった。ありがとう二人とも」

 

 何気に空を飛んでの帰宅は初めてだった。家についた俺はあのピンチを救ってくれた二人にお礼を言う。

 なでしこもようこも笑顔で受け止めてくれた。元から断るつもりだったけど、予想外のダメージを負った心が癒されるようだ。やっぱり持つべきは可愛い犬神だよ本当に。

 

「……はぁ。まさかあれが小林だったなんて」

 

 ラブレターそのものは嬉しいけど、あれは無理だ。なでしこたちがいなかったら今頃どうなっていたことやら、考えるのも恐ろしい。

 

「そんなに残念だった?」

 

「……ん。残念と言うか、なんというか。よく分からないけど」

 

 なんだろうなこの気持ち。ガッカリとはまた違うんだけど、ぬか喜び?

 首を捻って考えていると「しょうがないなぁ」とようこがどこからか一通の手紙を取り出した。

 それを手渡ししてくる。

 

「ほら、なでしこも!」

 

「啓太様……これ、受け取ってください……!」

 

 顔を上気させたなでしこもポケットから取り出した手紙を渡してきた。受け取るとようこは俺の背中を押してリビングから追い出そうとする。

 

「はいはい、読むなら部屋で読んでね~」

 

 促されるまま自室へ向かった俺。釈然としない思いに駆られながらも、とりあえず渡された手紙を読んでみることにした。

 なでしこの手紙はピンク、ようこの方は水色の便箋だ。なでしこの方か読んでみるかな。

 三人で寝れるようにと新調したキングサイズのベッドに寝転がりながら綺麗な字で書かれている文字を読んでいくと、これがどのような手紙なのか直ぐに分かった。

 小さな驚きとそれ以上の感動を覚えながら、手紙を読み進めていく。

 

 

 

【親愛なる川平啓太様。

 

 あなたと一緒にいるだけでいつも心が安らぎます。

 あなたとお話するだけでいつも心がウキウキしてきます。

 ずっと、ずっと、そばにいてください。

 心の底からお慕いしております❤

 

 あなたの犬神、なでしこより】

 

 

 

「ぐふぉ……っ」

 

 そこに書かれていたのは紛れもなく、愛の文面だった。愛する人から貰ったラブレター、しかも真っ直ぐな想いが綴られた手紙に心の中に住むリトルケイタが吐血した……! 大丈夫か、傷は深いぞ!

 もう一通の手紙を震える手で読む。

 なでしこと比べると拙い字だが、それでも一生懸命書いてくれたのだと分かり頬が緩む。吐血したリトルケイタも少し回復したようだった。

 

 

 

【ケイタへ!

 

 何を書けばいいのかわからなかったけど、なでしこが素直な思いを書けばいいっていうから、思ってること全部書くね!

 ケイタといっしょにくらすことが出来て、毎日とても楽しいです! 最初の頃はいっぱいめいわくをかけちゃったけど、ケイタはこんなわたしでも見捨てないで優しくしてくれたね。ケイタといっしょに過ごす日々がわたしの宝物です!

 えっと、えっと、もっといっぱい書きたいけど、書きたいのがたくさんあって書ききれないから、これだけは書いておくね。

 

 ケイタ、大大大好きっ!!

 

 あなたのようこより❤】

 

 

 

「がは……っ」

 

 ようこの手紙も破壊力抜群な内容だった。あまりの威力にリトルケイタが死んだ!

 ベッドの上で悶え、転がり、足をバタつかせる。初めてラブレターを貰った時以上の感動と喜びに包まれ、心が満たされていく。

 

「……書かないとっ」

 

 こうしちゃいられん! 俺も返事を書かないとっ! 

 勢いよく飛び起きた俺は机から封筒などが納めてあるファイルを取り出して、早速返事を書くことにした。いざ書くとなると結構難しいなこれ。

 とりあえずブラックのコーヒーを砂糖なしで飲めるくらい、愛を込よう。思いっきりラブ臭漂うほどのものを。

 脳の部位でも普段使わない場所を働かせ、首を捻らせながらラブレターをしたためる俺だった。

 もちろんこの日の夜は熱く燃え上がった。平日で今日はようこが一緒に寝る日だったけど、なでしこも呼んでね。明日も学校があるけれど、そんなの知ったことかとばかりに頑張りました。

 

 




 最近、執筆意欲が下がってきたのでしばしお休みを頂きます。更新再開は未定です。

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