結局、夏には投稿できませんでしたね・・・すみません
今回は、鹿屋基地の日常を切り取った短編です
・・・いや、そもそもこのSSは短編のはずでは・・・?(一万文字超えてる話から目をそらしつつ)
暑い鹿屋基地の夏が終わり、ようやく涼しげな季節が訪れました。朝の低い太陽が照らす空気は、少し肌寒いくらいです。布団から出た私、祥鳳は、早速洋服ダンスを開けて、浴衣を取り出しました。
今年の夏は、大規模作戦参加のために、商店街の夏祭りに参加できませんでした。そんな私たちに、呉服屋さんのおばちゃんが、浴衣を届けてくれたのです。
―――「提督さんがねえ、どうしても皆にプレゼントしたいんだって。今年の夏は、お祭にも来れなかったしねえ」
だから、秋は楽しんでもらおうと。そういうことらしいです。おばちゃんにネタばらしをされてしまった彼は、照れくさそうに頬を掻いていました。
彼とおばちゃんが選んでくれた浴衣の柄は、夏とは違う、秋用の落ち着いた暖色系のものでした。派手すぎないので、普段使いもあまり抵抗なくできます。そういうわけで、出撃がない時は、皆浴衣を着ていることが多くなっていました。
私が浴衣に着替え終わった頃、瑞鳳が起きてきます。後ろに流れたままの髪が揺れ、寝ぼけ眼を擦ります。ふふ、まだ眠そう。
「おはよう、瑞鳳」
「ふわああ・・・。おはよう、お姉ちゃん」
あくびを噛み殺すようにして、瑞鳳が背伸びをします。そんな、寝起きの妹を。
「髪、梳いてあげようか?」
布団から上体を起こしただけの瑞鳳が、きょとんとした表情で私を見ます。それから、
「うんっ、お願い」
明るい笑顔を浮かべて、ドレッサーの前に座りました。
「祥鳳さン、おはようございまーす!」
敷地内の落ち葉を掃いていた私を、威勢のいい声が呼びました。たすき掛けした浴衣の袖を揺らしながら走ってくるのは、江風ちゃん。あれだけ激しい動きをしていると、浴衣が着崩れてしまわないか心配ですね。
「もう、江風!箒持っていきなさいって!」
その後を小走りで追いかけてくるのは、同じく浴衣の海風ちゃん。その手には、二人分の箒が握られていました。
「ンあー、ワリいな姉貴」
「もう、そそっかしいんだから」
そう言いながら、海風ちゃんが江風ちゃんに箒を手渡しました。
「二人とも、おはよう。手伝ってくれるの?」
「はい。今日は哨戒じゃありませんから」
「ご飯も手伝うことなさそうだしなー」
今日の朝食担当は、曙ちゃんと潮ちゃんです。多分、彼も手伝ってるはずですから、人手は足りてそうですね。
「それじゃあ、ご飯までに綺麗にしちゃいましょう」
「はい!」
「おう!」
三人で手分けをして、掃き掃除を始めます。敷地内に植えられた木から落ちた葉が、いたる所にまるで絨毯のように広がっていました。それを箒で集めていきます。
落ち葉は、少しずつ色を帯び始めています。もう、秋ですからね。そろそろ木々が、それぞれに鮮やかな色に染まる季節です。
・・・そういえば。この辺りも、紅葉が見れる山があったはずです。
もう少し秋が深まれば、皆で散策なんて、楽しいかもしれません。
そんな、秋晴れに浮き立つ心で、私は箒を動かし続けます。今日も穏やかな、朝が過ぎていきました。
嬉しいサプライズがあったのは、その日のお昼ご飯の時です。
哨戒任務を終えた瑞鳳たちが帰ってきて、鹿屋基地全員が食堂に集まります。執務を終えた私と彼も席に着いたところで、曙ちゃんと潮ちゃん作のお昼ご飯が運ばれてきました。
「今日は、うどんです」
どんぶりに盛られたうどんは、暖かな湯気を立てています。だしのいい香り。とってもおいしそう。
「・・・おー、いい景色」
感嘆したように言ったのは、青葉さんです。どうやらさっきまで、『艦娘報』の編集をしていたらしく、ブルーライトカットの眼鏡をかけています。その眼鏡の奥が、キラリと光りました。
うどんのどんぶりの中、さつま揚げやほうれん草に混じって、綺麗なもみじが浮かんでいます。もちろん、本物ではありませんけど。多分、赤いかまぼこを切り抜いたものです。
潮ちゃんがへにゃっと笑います。
「曙ちゃんと、もうすぐ紅葉の季節だね、って話してたんです。それで、うどんももみじを浮かべたら、綺麗かなって」
「ちょっと、早いけどね」
全員分のうどんが並んで、前掛けとたすき掛けを外した二人が座ります。
「「「いただきます」」」
手を合わせて、もみじうどんを啜ります。
季節はもうすぐ、紅葉です。
なか卯ぼのかわいいですね。作者もたまに牛丼食べたりしてるのですが、出るのは水上機母艦ばかり・・・そっちもかわいいから何も不満はないですが
そして、今回の話を書いて気付いたことがあります
最近、祥鳳さんと提督の、イチャラブ甘々な話書いてなくない?
やってやりますよ、近々!誰もが砂糖ダバーってなるような話を書いてやりますよ!
(作者の精神がもつだろうか・・・)