とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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とりあえず、前世の因縁が出てきます。
ただし、次回がシリアスになるとは限らない……。


第九十一話 冒険は続くどこまでも

 

 

 杏子とさやかがなぜここにいるのか聞けば、なんと修業をしていたら次元の穴が空いて飛び込んだらしい。なぜ、そんな無謀なことをしたのか聞くと、さやかが「あたしを呼んでる声がする!!」と言って飛び込んで、杏子はそれを追ってきたらしい。

 

 結論から言えば、

 

「お前やっぱりアホだろ。そうだろ」

「失礼な。あたしはアホじゃないわ。純粋なお馬鹿よ!!」

「いやそれおんなじだろーが」

 

 杏子が呆れて呟くと、さやかは首を傾げる。わかってないんかい……。

 

「というか、なぜソラ達もここに来たんだ?」

「クエスト」

「いやわかんねーよ。なんだその単語。千香、説明してくれ」

「変態クエスト」

「だからわかんねーから! もういい。マミ、お前が言ってくれ!」

「天道くんが迫り来るモンスターをワンパンで倒していって手に入れたレアアイテム全てが変態が喜ぶものばかりだったクエスト」

「もっとわけわかんねーよ!! てか、ワンパンでモンスター蹴散らしてたのかアイツ!?」

 

 杏子さんは苦戦していたようだ。何気に生命力溢れるモンスターだったし……。

 

「まあいいや。アンタ達が何かの依頼を受けて、それを遂行してるってことでいいんだな?」

「まあな。んで、お前らはどうするの?」

「決まってるだろ。おもしれーから参加だろ」

 

 杏子はりんごをかじって、不敵に笑う。さやかもうんうんと頷いていた。

 心強いな。この二人がいたら、オレの出番がなくなりそうだ。

 

 好都合(・・・)だ。もし、このまま何事もなくこのクエストが終わってくれれば。そう思っていると、シノンが話しかけてきた。

 

「アンタがキリトの言っていた男ね。はじめまして。シノンよ」

「ソラだ。キリトをペットにしている」

「オイ。いつから俺はお前のペットになった」

「残念。キリトはあたしのペットだから」

「お前もかよ」

 

 冗談を言ったつもりがとんでもないことが判明。まさか、ほむらと同族か。

 そう考えていたら「嘘よ」と舌を出して言った。

 

 悪戯猫とはこのことだな。

 

「わたしはキリトさんの愛人を目指してます!!」

「あ、この子の言葉は無視していいわよ。全然意味がわかってないから」

「シノンさん!? 愛人って言葉は愛する人って意味くらいわかってますよ」

 

 いや百八十度全く違う意味だから。……なんで間違った解釈をしてるのだろうか。

 

「俺の妻が教えたのが原因」

「黒幕がまさかの身内。もうお前の奥さん、おかしいだろ」

「大丈夫。元からおかしいから」

 

 サムアップして答えるも、目が死んでいた。キリトはオレと同属であることが判明した日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレ達が集落から旅立とうとしたら、シノンとシリカも付いてくることになった。

 彼女達の目的地も、どうやら王都らしい。まあ、目的地は同じなら問題ないが。

 

「あ、そうだ。ソラに聞きたいことがあるが……」

 

 キリトに声をかけられ、振り返る。なんだろう。と思っていると意味不明なことを聞いてきた。

 

「お前の瞳って親の誰かの遺伝なのか?」

「遺伝に決まってるけど……。何を聞いてるんだよ」

「いやなんか王都で、ソラにそっくりな瞳をしている女性がいるみたいでな」

 

 オレと似た瞳? ……オレの母は、まぁ犯罪犯してんで刑務所から脱獄して死んじゃったらしいが……。

 

 まあ別にもうどうでもいいが。最低最悪の人間だったし。

 

「オレの実母は亡くなっているし」

「んー、そっか。なんだ。勘違いか」

 

 勘違い……か。だと良いが。

 胸騒ぎが止まらない。嫌な予感がしてきた。

 

 と、まぁそんな感じで王都『カルデラ』までたどり着いた。『カルデラ王国』は様々な種族が行き交う国で、軍事的に強い。

 その上、物流が豊かで住民達の暮らしも良いという、人気な国だ。その首都であるここ『カルデラ』はその上をいっていた。

 通りは商品が並び、騒々しい店舗達。町行く人は流れのように通りすぎていく。

 

 海鳴の商店街よりも、かなり大きなストリートが多い。

 

 おまけに住民達の服装がお洒落で、何気に美女美男が多い……。

 

「ここに……アスナが」

「キリト殿の奥方か?」

「ああ。アイツがここにいるはずだ」

「ということは、彼女の奪還のクエストになるね。だけど、大義名分がないと僕達も危ないよね」

 

 アオの言う通り。王族を拐うとなるとそれなりの大義名分が必要だ。アスナという女性を救うには、この国の王が明確な悪であるという名分が必要になる。

 

「……一応、あるにはあるが。どうも胡散臭い話なんだ」

「どんな?」

「どうにも他国の魔力が強い人を拉致しているとか」

 

 なんのため。いや、それがわからないから胡散臭い話だ。

 とにかく、ここですることは情報収集だ。オレ達はさっそく酒場へ向かうことになった。噂などが集まりやすい場所だからな。

 

 酒場は西部のカウボーイが来そうな木造建築で、扉はない。しかし、一番の賑わいがあり、人がたくさんいる。

 スゲー。と呟いていると店員の女性が営業スマイルで近づいてきた。

 

 黒髪で妙齢だが、とても若々しい肌をしている。二十代後半に見えなくもないほど、若々しく見える。

 

 フリルのついたウェイトレス服で、清楚な雰囲気がある茶髪の女性だ。何よりも青い瞳で垂れ目が印象深い。

 

「いらっしゃいませ。何名さ、ま……ですか。…………」

 

 絶句。店員さんがオレの顔をじっと見て呆然としていた。

 

「……ソラ。どうもお前のブサイクな顔に呆れてますよ」

「なんですと? マミさん、オレってブサイク?」

「ブサイクよ。ブサイクだからお姉ちゃんしか結婚しかできないわ」

「嘘を教えるなよマミ」

 

 杏子にピシャと叩かれて、踞るマミさん。地味に効いたらしい。あと、キリトも何気なくひどいこと言うな。

 そんなとき、だった。

 

「カイトさん!!」

 

 店員さんが抱きついてきた。意外に大きなお胸様がオレの胸板によって潰れる。

 おぉ、役得? というか何!?

 

「ソラくん! 浮気なんてひどいよ!」

「……この私というご主人様がいながら、他の女に尻尾を振るなんて。……お仕置きが必要ね」

「なんでお前らがいるんだよ!?」

 

 まさか、まどかとほむらもいるとは予想外だ。てか、なんでこの店員さんは泣いてるの?

 誰かと勘違いしているのか?

 

「カイトさん。カイトさんですよね?」

「いや、全然違うし……。というか、あんた誰だよ」

 

 普通に名前を聞く――――そして、後悔した。

 だって彼女は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしです! 一ノ瀬リッカです!」

 

 

 

――――前世の母親(トラウマ)との再会なんて。誰が予想できるかよ。

 




アスナ: 設定では王女。……シリカの勘違いを植え付けた黒幕。敵ではないよ?

シノン: まともな女の子。キリトとは軽口が言い合える仲。あるクエストで知り合ったらしいが、彼女との初対面のキリトは女装していた。理由は上記の人が原因(笑)

一ノ瀬リッカ: 前世のソラの母親。ソラに『家族が拒絶する』というトラウマを植え付けた張本人。年齢は一応、三十代後半で二児を生んでいるにも関わらず肌年齢がピチピチの二十歳前半。つまり、桃子さんとリンディさんのような若づく――(血で汚れて見えない)。ちなみに彼女が出たからと言ってシリアスになるとは限らない(え?)

一ノ瀬カイト: ソラの父親。ソラの行方不明後、リッカを立ち直らせようと奮闘するも事故死してしまい、結果彼女をさらに苦しめてしまった。

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