とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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オリ章。期間は空白期です。



第八十八話 異世界へ遊びにいきます

 オレこと神威ソラは高校生である。海鳴高校一年である。

 まあエスカレーター式の学校だったから、そのまま試験を受けてあがったわけであるが。

 

 ちなみに高町達魔導師は中学卒という形で学歴を終えた。それでいいのかと聞くと、彼女達はこれから正式に管理局員となり忙しくなるようだ。

 

 高町だけは「もっと殺りたいから♪」という猟奇的な理由があるようだ。……なんでああなったんだろマジで。

 

 それはさておき。夏休みだ。蝉が鳴き、ジリジリと太陽が光を照らしている。

 オレはリビングで、ある紙とにらめっこしながら訝しげな顔をしていた。

 

 紙は体力測定だ。

 

 しばらくそうしていると、マミさんが麦茶を持ってきて差し出してきた。お礼言って飲み干すと、彼女は「何を見ているの?」と興味本意で覗き込む。

 それが嫌で逃げると、逃がさないとばかりにホールドしてきた。

 

 おぉ……豊かな双丘がオレの腕に……!! これはなんとも至福な!

 

「もらったわ!」

「しまった!」

「何々……。『第十六回 目指せポケットベルマスター』? ってこれ違う紙じゃない! ソラくん。本当の用紙を渡しなさい! ポケットに隠してるのはお見通しよ!」

「ゲッ。なんでわかったの!?」

「お姉ちゃんセンサーはなんでもお見通しよ!!」

「何それ怖い!」

 

 ギャーッギャーッと騒いでいると「うるさいなぁ」と目を擦りながら千香が二階から降りてきた。

 確かコミ●の新刊だっけ。……オレ×アオじゃねぇだろな。

 

「ううん。衛×マッスルグレネード巴さん」

「誰だよそいつ!!」

「知らないの? 巷で有名な魔法漢女(おとめ)だよ。正義の味方なんだよねー。ちなみにマミさんが永遠のライバルみたい」

「どんな正義の味方だよ!

てか、マミさんをライバル認定!? 自称じゃないのそれ!」

「私のライバルね……お姉ちゃん。燃えてきたわ!!」

「なんかこっちも対抗心燃やしてるんだけど!?」

 

 カオスになってきた……。つーか、千香の持ってる手紙。誰からのだろう。

 普段は脅迫状やら、士郎さんなど知り合いからの手紙が来るが、見たこともない模様で書かれた手紙だ。

 気になって千香からもらって、開けるとキリトからの手紙だった。

 

 何々……?

 

 ……………………。…………オイ。これホントか。

 

「マミさん。まどか達は……いないよな」

「そうね。まどかさんとほむらさんは二人で旅行で、さやかさんと杏子さんは武者修業(遊び)に出かけているわね」

「キアラも行ける余裕もない……か」

 

 三人でいける? ちょっと不安だ。マミさんはまだしも、千香がたまに暴走する機雷があるし……。

 そう思っていると、ベルが鳴り、マミさんが玄関へ向かう。

 オレはこれをどうしようか。と考えると尋ねてきたのは衛とはやてだ。

 

「遊びに来たでー。というか、どっか遊べる場所知らへん?」

「はやてよ。我が友がそのような場所を知ってるはずが」

「あるぜ」

「ホンマ!?」

 

 調度いいタイミングだ。いい具合に人材が揃った。

 ヴォルケルも混ざれば、後はどうとでもなる。

 

「どこなん!? 教えてや!」

「落ち着けはやてよ! ここは穏便に我が筋肉を見て落ち着くのだ!」

「わけわからんわ! というか脱ぐなやここで!!」

 

 ……まあ、いつものことだし。気にしないけど。

 やれやれ。まだ不安だが、これで人材は揃った。キリトの依頼がなんとかなりそうだ。

 

「して。遊びに行ける地は?」

 

 衛の質問に不敵な笑みを浮かべて答えてやった。

 

 

 

 

 

「『管理局外第129世界 アルブフレイム』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルブフレイム。そこは管理局の管轄外の世界だが、魔法がある。魔導師のようなプログラマを使った魔法ではなく、詠唱によって引き起こす魔法だ。

 言霊によって引き起こす事象と捉えてもいい。

 

 そんな世界に行く理由はキリトから依頼されたのだ。

 

 なんとキリトの奥さん(幼馴染み)が隣国に拉致され、王様の妃にされそうになっているのだ。

 ……強引過ぎじゃね。と思っているが、どうも奥さんの経歴がどっかの国の王女様らしい。

 

 亡国の王女かよ。そりゃ、血かもしくはその関係者しか使えないマジックアイテムの可能性が出てきたな。

 

 とまあ、そんな理由でオレ達はギルド本部にいるわけだ。

 

「それと僕の関連性は?」

「いや暇だろお前」

「暇じゃないよ!? 家事が僕を待ってるよ!」

 

 高町とフェイトに家に居候しているアオを引きずって連れてきた。最近のこいつ、なんか主夫になりつつある。

 

 救世主がご近所に名高い主夫のカリスマって、絵本のファンはきっと泣けるだろうな……。

 

 それに、

 

「……保険だし」(ボソッ)

「え、何か言った?」

「いんや。とにかく、高町達には『おさわり店 一週間の旅』ってメール送っといたから」

「それ、僕が一週間もエッチな店に通い続ける変態になってるよね!? 思いきり誤解を招く内容じゃないか!!」

「え、オカマバーがよかった?」

「もっとひどい! というかソラさんゲスい!!」

 

 残念ながらそういう男なのさ。まあ、それはさておきギルドという場所に関して説明しよう。

 

 管理局のような治安維持部隊がない代わりに、どんな依頼もこなす何でも屋という仕事がこのギルドである。

 つまり警備、採取、討伐などなどの依頼を受けてそれをこなしていく。

 

 治安維持部隊はまぁ、国々の騎士団やら軍が行っているらしい。

 オレ達が訪れているギルドは、古ぼけた木々で造られた酒場のような場所だ。ここにキリトがいるはずだが……。

 

「おぅおぅ、兄ちゃん。ここはガキが来るとこ――――げば!?」

 

 ん? 何かいた?

 まあいいや。キリトを探そう。と足を進めると、なんか囲まれていた。身なりが悪い男達にだ。

 

「テメェ! よくも兄貴を!」

「生意気なガキめ……。痛い目に合いたいようだな」

 

 ……いや、兄貴って誰? あ、さっき反射的に殴ちゃったおっさんのこと?

 悪いことしたなぁ。謝って済む問題じゃなさそうだし……。

 

「ここは任せてソラくん。お姉ちゃんがO☆HA☆NA☆SHIして説得してみせるわ」

「あれ? お話ってそんな発音だっけ。まあいいや。お願いしていい?」

 

 マミさんはニコリと微笑み頷く。彼女が前に出ると男達はニヤニヤと下品な笑みを浮かべる。

 

「おぅおぅ、お姉ちゃん。そんな兄ちゃんの子守りよりも俺達とイイコトしないかぁ?」

「あら、私と遊びたいのね。ふふ、いいわよ」

「いいねぇ! んじゃ、さっそくやど――――ぶぉっ!!」

 

 マミさんがマスケット銃でまず一人撃ち抜く。死んではいないが死ぬほど痛い魔弾だろう。激昂する他の男達が一斉に、襲いかかる。

 マミさんは襲いかかる男達の剣や斧、拳を避けて、いなして、そしてマスケット銃で撃ち抜く。眉間、胸部、腹部などなどを撃ち抜き、だんだんと数が減ってきた。

 

「このアマ! なめやが――――おふぅ!!」

「あら、いけないわ。男の子のご子息を撃ち抜いちゃったわ……」

 

 「でも、」と続けて言う。

 

「別にもう使う必要がないでしょ? こんな美人なお姉ちゃんが遊んであげてるのだから❤」

((((恐ろしい……!!))))

 

 うん。怖い。蠱惑的な微笑みだが、ゾッとする恐怖が強いや。遂に残されたのは逃げ出そうとする一人の男のみ。

 マミさんは彼をリボンで縛りあげ、尻に銃口を突き刺す。

 

「ま、待って! そこはオイラの初めてでガンス! 勘弁して……」

「ダーメ♪」

 

 バキュンッ!!と男の断末魔と銃声が響く。おめでとう名も無きガンスくん。お前の初めてはお姉ちゃんがもらってくれたぞ……。

 

「いいなぁ。ねーねーソラ! よかったら」

「尻をどうにかすることを言うなよ」

「ううん。開発して」

「するか!!」

 

 やはり千香はいつも通りである。そんな騒ぎに駆けつけてかキリトが人ごみから出てきた。

 

「何やってんだよ」

「ヤンキー狩り」

「なんだそりゃ。まあ、確かにここに転がってるヤツら評判は悪いけどさぁ」

「なら、後で生ゴミ袋くれ。汚物は消毒だヒャッハー(棒読み)」

「ここまでやる気のない荒くれ者はお前だけだよ」

 

 とか言いつつゴミ袋を渡してくるキリトも、またひどい。そんなに邪魔だったのかい。どうでもいいけど。

 キリトの隣に立っている男が苦笑していた。年齢的には二十代頃で、髪は赤みかかった黒髪だ。

 

 その男とキリトの関係を考える。

 

「……キリト。お前まさかそっちも二刀流だったとは」

「何を想像して二刀流と判断したんだお前は! てか、なんで俺が二刀流を使えることを知っていやがる!?」

「なんとなく」

「直感で見抜いたのかよ。つーか、俺は幼馴染み一筋だって。コイツは俺のギルドメンバーだ」

 

 ギルドメンバー……ということは仲間か。

 

「はじめまして、六道寺幸太だ。長年、キリトと組んでる」

 

 握手を差し向けてきたので、答えると関接技を決めようときやがった。オレはすぐに対応しようと動こうとするも、地面に叩きつけられ、身動きが取れなくなった。

 六道寺は嘆息を吐いて、オレを解放するとキリトに呆れた視線を向ける。

 

「オイ、キリト。ホントにコイツは役に立つのか? 試してみたけど、あく――……ぶべら!」

「はい、油断大敵ー」

 

 いい終える前に顔面へドロップキック。ゴロゴロ転がるヤツに、とどめとばかりにマミさんがマスケット銃を浮かばせて、発砲した。

 煙が晴れたとき、そこにいたのはボロ雑巾となった六道寺だった。

 

「と、言うふうに甘くみたら噛みつかれるから気を付けろよ」

「先にいいやがれ! てか、お前もひどいなオイ!」

「うるさい。勝手に人を試した罰だ。死なないだけマシと思え」

「んだと! ナメたまね――――ぎゃばっ!?」

「キャンキャンうるさいわね~。いい加減にしないとお姉ちゃんがお仕置きしちゃうぞ♪」

 

 いや、もうお仕置き実行してるから。追い撃ちもかけてるし。

 何はともあれ、これから先が前途多難なような気がするオレだった……。

 

 

 ため息が止まらないな……。

 




ポケットベルマスター: ……おじいちゃんおばあちゃんしか集まらない謎の大会。世代が違うのさ……

コミ●: お台場で行われてる。

マッスルグレネード巴さん: マミさんの永遠のライバル。自称魔法少女らしいが、顔立ちがラオウで魔法が使えない。……ラオウが魔法少女服を着たらこうなると思う(-_-;)

六道寺幸太: このときまだ噛ませ犬だった男。彼が活躍するのは終盤の予定

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