とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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明日は学校でござる~……。寝たいよ……。

というダラダラ気分で更新!


第八十話 想定外

 

 

 殴り込み。その一言で済ませる惨状が目の前に起きていた。

 落ち込む高町を朱美妹洗脳(弱)し、元気にさせた。

 

 ……なんか、思考を誘導させる洗脳とか普通にしていたあいつに戦慄を隠せないや。

 

 んで、とりあえずヴァイルの本拠地を正面から突入した。

 

「あは☆ 私を楽しませてよ。もっともっともっとさァァァァァ!!」

「なのはが遠い存在に。これは私がしっかりしなきゃ!」

「いやその格好で言われても」

 

 フェイトそんのBJが痴女気味な今日この頃。スク水にスカートという

 

 ……背後にシャッター音が聞こえた気がするが気にしないことにした。

 

「クンクン……アオくんのニオイがあっちからするよ!」

「まどかー、あいつってニオイフェチだっけ?」

「あれは確実にノエルさんのが感染してるね」

 

 ノエルよ……お前どんだけ変態ハザードさせるつもりだ。

 なお、朱美妹のことをまどかと呼んでいる。

 勘違いしないでほしい。別に気を許したわけじゃないだからな!

 

「おっふ。ソラくんのデレにムラッときた。押し倒していい?」

「どこの肉食系だお前」

「ママ譲りだからね!」

「お前の母親たくまし過ぎるだろ」

 

 と雑談しながら迫り来る敵を蹴散らす、蹴散らす。

 キアラは『支配』で瓦礫を操作して打撃で撃破。

 キリトは剣戟で、バラバラに。

 フェイトは電撃でショートさせる。

 

 曲がり角に差し掛かり、その先には大きな扉とレプリロイドがいた。象みたいな敵だ。

 豪快に笑ながら腕を組んでいる。

 

「ぶはははは! よくぞ来た。このガネーシャ様が直々に」

「いけ、高町なのは(管理局の魔王)。はかいこうせんだ!」

「魔王じゃなァァァァァい!!」

 

 高町の滅びのバーストストリームが発射。ガネーシャは「え、ちょ、」と狼狽え、そのまま呑み込まれて消滅した。高町のバーストストリームは扉をも破壊して、オレ達はそのまま中に侵入した。

 

「さすが魔王。ゾーマに匹敵する強さぞ。白い悪魔も伊達じゃない」

「なのは、魔王じゃないもん! モビルスーツと一緒にしないで!」

「ちなみにフェイトはピカチュウと呼ばれている」

「不公平だよ!」

 

 電撃使いだからそうなるのは仕方ないじゃん。それはさておき、大きな扉の先には朱美姉とオレのそっくりさんがいた。

 そいつはオレを視界に入れるとニヤリと嗤う。

 

「ようこそ英雄殿、歓迎――」

フェイト(ピカチュウ)、十万ボルト!!」

「えぇ!? 私!?」

 

 ……ピカチュウは命令を無視した。やはり、なつき度が足りないからか?

 

「いや、いきなり十万ボルト出せって言われたらできないから」

「え、お前でんきタイプだろ。ならできて当然だろ。なみのりピカチュウじゃあるまいし」

「そもそもピカチュウじゃないからね!?」

 

 フェイトがツッコミをあげると、まどかは爆笑する。何がツボにハマったんだ?

 

「いやー、久しぶりのチビソラのやり取りを見た気がするよ」

「チビソラってなんだよ。てうか、オレってこんな感じなの?」

「そうそう。みんなをアッと驚かせて困難に立ち向かう子どもだったんだよ」

「なら、今のオレは違う。危ないことは、他人にやらせて逃げるから」

「自信満々で最低なこと言ったよこの人」

 

 最低? そんなの今さらだろ。そんなやり取りを今まで見ていた男は嘆息を吐いて呟く。

 

「……なんだこのシリアス無き決戦前は」

 

 やれやれと言いたげなようだが、はっきり言わせてもらう。そんなのオレ達の前では無意味だっての。

 男は細い剣を引き抜き、構える。フェンシングの構えだ。

 斬ることよりも突きに特化した剣技。素早さを重点においた剣戟を予想した。

 

「とにもかくにもようこそ。『無血の死神』。お前を待っていた」

「朱美姉を返せ」

「断る。あれはまだ利用価値があるからな。まあ、そんなことよりも話を」

「朱美姉を返せ」

「……話を続けるつもりは」

 

 言い終える前に地を蹴り、神器を降り下ろす。金属音が鳴り響き、レイピアで受け止められた。

 

「朱美姉を返せ。お前の戯れ言に付き合ってる暇はねぇんだ」

「鬼の形相だなオイ」

 

 オレの憤怒の表情に満足したのか、距離をとるとデバイスのウィンドを開き、何かを入力する。

 すると講堂が揺れ、上昇し始める。この部屋事態がエレベーターなのか……!?

 

「無駄に税金かけてるな」

「気にするとこ、そこ!?」

 

 高町のツッコミが耳に響くなかで、講堂事態が外に出る。

 外は夜空で、建物の明かりで美しい景色を描いていた。

 

「さて、そろそろやるか」

 

 男が指をならすと転移されてきた少年が現れる。青い髪は金色に変わっており、左目が紅いオッドアイ。

 能面な面した少年が、こちらに斬りかかる。

 

「古宮、アオ……!」

「くくく、さらにだ」

 

 朱美姉とシエルが映されたモニターが現れる。二人は砂時計に閉じ込められており、朱美姉は気を失っているなかで、砂が落ちている。

 シエルは砂時計のガラス張りをバンバン叩いて、彼女に声をかけていた。

 

「早く彼女達を助けないと死んじゃうぞー?」

「よし殺す」

 

 地を蹴り、オレのそっくりさんに向けて斬りかかる。古宮はオレの斬撃を受け止め、懐を蹴る。

 地を滑走させ、痛みに耐えながらオレは相手の視線を逸らさなかった。

 

「神威! 今助けに」

「お前らは邪魔だ!」

 

 ブワッと突風が起き、オレ以外の全員が吹き飛ばされる。そのまま落ちていこうとする全員に、オレは地を蹴って、誰か一人でもと思い手を伸ばす。

 しかし、結界か何かによって遮られ、身体が弾き飛ばされる。全員が屋上から落下するのを見ることしかできなかった。

 

 苦虫を噛む思いをし、キッとコピーと古宮を睨み付ける。

 

「死にはしないさ。あの高さとは言え、飛べる人間がいるだろう?」

「うるせぇ。お前は何がなんでもぶち殺す」

 

 神器を構える。一対二の戦い。オレは地を蹴ると二人もまた向かってきた。

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 一方、落ちていくまどか達はすぐに飛行にシフトした。まどかは『アルティメットモード(女神のまどか)』になり、キアラは『支配』で空中に浮いていた。

 なのはやフェイトは飛行魔法で落下速度を落とすことができた。

 

「って俺はァァァァァ!?」

「あ、忘れてた」

 

 まどかは落下していくキリトに、ガシッと襟首を掴み、フヨフヨ浮き始める。その際に落下速度もあってか、急に首を絞められ、キリトは「グェ」と断末魔をあげて白目を向いていた。

 

「あ、ごめん」

「あー、落下速度が意外にあったからなぁ。まあ、急に大きな締め付けが起きるのも無理ないか」

「だよね。飛べない(キリト)くんはただの(キリト)くんだよね」

「さりげなくひどいの」

 

 なのははひきつった顔をしていると、まどかはポイッとキアラにキリトをパスし、ビルに向けて弓矢を放つ。

 ピンクの一矢が大きな穴を開けると、彼女達はそこへ飛び込んだ。やっと足に地がついた彼女達を待ち受けていたのは、機械兵達だ。

 パルテノン軍だけでなく、蜘蛛のような形をした機械兵もいた。

 

「とりあえず、ここはわたしに任せたまえ」

「そうだね。あ、そうだ。キアラちゃん、キリトくんを貸して」

 

 キアラはフヨフヨ浮いてるキリトをなのはの頭上に運び、なのはは合唱しながら、足場に魔法陣を浮かべる。

 

「憑依召喚――――発動」

 

 紅い目になり、今度は髪が夜色になりかけていた。より魂を結び付かせることで、身体がその人物へとなりかけるのである。

 

「とりあえず、おっきろー♪」

 

 なのは(魔女モード)はフヨフヨ浮いてるキリトにレイジングハートを向けて、「にぱー☆」と効果音を出しながら――――撃つ。

 スターライトよりも強力で、ノータイムで集束砲撃クラスのバスターを壁ごとキリトへ撃ち抜いた。

 

「ぎびゃァァァァァ!!」

 

 人が出す断末魔ではない悲鳴をあげながらキリトは砲撃が止まるまで撃ち抜かれた。

 そして彼が止まったのは、何十階辺りの天井だった。

 

「チッ。あの辺りから魔力をキャンセルさせる素材が使われてるのね」

「な、なのは……? ひどいじゃないかなこれ?」

「あら、起こすついでに上への近道をつくってもらえたのよ。それにこれでも手加減している方よ。本当なら、肉壁にしながら上へ進もうと考えてたけど、肉壁がもたないし、時間もかかるから却下したわ」

(……この人ホントにひどい)

 

 なのはであってなのはではない彼女に、憤りよりも恐怖が勝っていた。

 間違っているよ!と言ったところで「文句があるならかかってこいのです。にぱー☆」と迎撃してきそうで怖い。

 まあ、なんにせよ。犠牲になったキリトは天井に身体を突き刺さったままなので、フェイトは救出に向かう。

 

「じゃあ、私はここでザコを狩ってくるから」

「え、助けに行かないのですか」

「ええ。……ぶっちゃけ、どちらかと言えば臓物紛いが飛び交う光景が見れるし」

 

 「ウフフ……」と黒い笑みを浮かべるなのはに、ゾッとする。人に似たものが無惨に壊れていく様を見て悦ぶこの少女(または魔女)に、「なんでこうなった」と内心呟く。

 

 とは言え、フェイトはキリトを救出に、穴から一直線に上昇する。そして、突き刺さっているキリトを引っこ抜いて、彼を下ろした。

 

「大丈夫ですか?」

「……ちょっと平行世界にリンクスタートしかけた」

 

 キリトは頭を振りながら、混濁する意識を取り戻した。本気で死にかけた彼が無事なのを確認した彼女はホッと安心する。

 フェイトは彼を連れて下へ降りて行こうかと考えるが、キアラから『念話』で「ほむらとシエルを救出しろ」と指令が出された。

 

 下は自分たちでなんとかするから彼女達が二人を助けに向かわなければならない。なんせ、今回は時間制限がある命がけの救出だ。

 二人の少女を助けるために、フェイトはキリトを連れて彼女達がいる講堂まで捜しに向かう。

 

「場所はわかるのか?」

「砂時計の檻を見ていて気づいたの。実験器具やらカプセルらしきものがあったから。たぶん、二人は広々した実験室にいるはずだよ」

 

 映像から見て推測したフェイトの推理は間違っていない。問題はその実験室がいったいどれくらいあって、どの実験室にいるのかである。

 フェイトは『バルディッシュ』にこのビルの設計図を出すようにお願いした。

 見たところ、この階には実験室が三つある。下の階にも実験室はあるが、この三つより小さい部屋らしい。キリトもその設計図を見て、「この三つの実験室にいるのでは」と呟いたが、フェイトはそれを否定した。

 

「どうしてだ」

「見て。ここだけ空白になってるよね。設計図では『未定』って描かれてるけど、もしかしたら……」

「本当なのか? 何を根拠に……」

 

 「確かめてみる」とフェイトは言って、魔力感知をし始める。彼女もまた雷斗に鍛えられた少女だ。

 これくらいできて造作もない。

 フェイトが感知したのは、二人の魔力だ。一人は弱々しく、もう一人は強い。

 おそらく、ほむらとシエルだろう。フェイトはそう判断し、その場所へ向かう。

 

 たどり着いた部屋の先にいたのは、砂時計で閉じ込められていたほむらとシエルだ。顔が埋まりかけているところだ。

 ビンゴ。フェイトは『バルディッシュ』を構え、魔法弾で砂時計を破壊した。

 まず解放されたのは、シエルだ。意識を失っている彼女をキリトが受け止め、下ろす。

 

 次にほむらを解放しようと『バルディッシュ』を構える。直後、地響きが起きた。

 

「何!?」

「ッ、オイ。アレを見ろ!」

 

 キリトが指差す方向には、機械の腕を生やし、浮いている老人がいた。その老人はフェイト達がつい最近出会った男。

 

「クヒャヒャヒャヒャヒャ! 逃がさぬよ。サンプル共!」

「ヴァイル!」

 

 背中にアームを生やしたヴァイルが狂った笑みを浮かべて、言い出す。

 

「さあ、実験の時間だ!」

 

 

 

(ソラside)

 

 

 

 白と黒の剣戟が飛び交う。

 火花が散り、金属音が飛び散る。

 

 オレと古宮が斬り合ってから、何合か打ち合っている。いったん防御に移ろうとしたら、こちらが苦しくなったので、攻撃側に移ろうとした。

 しかし、それはオレのコピーがエネルギー弾を射ってくるため、妨害されてばかり。

 

 オレは窮地に陥っていた。

 

「はっ。どうした? 苦しくて声が出ないのか!」

 

 コピーが挑発する。オレは無視してただ剣を振るって回避してばかりだ。

 

「『無血の死神』。ちんたらしていると、朱美ほむらが死ぬぞぉ?」

「あっそ」

 

 一言。沈黙が広がる。

「……冷たすぎないかお前」

「冷たいも何もオレはあいつのことを一切心配してない。むしろ、心配する必要のかけらもない」

「なぜそんなことが言える? ……まさか、見捨てるつもりか?」

「お前、オレのコピーのくせにバカだろ」

「なんだと!」

 

 コピーが激昂する。そういうところがオレらしくないんだよ。

 

「オレはまどかがきっとどうにかしてくれると信じている」

「どこにそんな根拠がある。どこにそんな自信がある。この映像を見てもか!」

 

 映されたのは、砂が完全に埋まりかけた朱美姉の光景だった。……これは確かにヤバい。直ぐにでも行かなければならないと誰もが思う。

 

 しかしオレはそうと思えない。しばらく黙っていると、何を勘違いしたのか鼻で笑ってきた。

 

「言葉が出ないようだな。……さあ、そろそろお前の大切なものが死ぬところだ。絶望しろ! 後悔しろ! クヒャヒャヒャヒャヒャ!」

 

 お前、絶対ヴァイルのコピーだろ。

 オレは嘆息を吐く。本当にどうでもいい。

 オレが絶対しようが、後悔しようが、なんにでもならないだろうに。

 

 まあそれはさておき、ヤツに言っておかなきゃならないことがある。

 

「バカコピー。あれを見ろ」

「はんっ。何をいって」

 

 刹那、映像にピンクの矢が砂時計に刺さり爆発した。ガラリ張りが砕け散り、出てきた朱美姉に何者かが受け止め、そのまま唇を貪るような人工呼吸し始める。

 ケホケホと目を開ける朱美姉を見てから、彼女はスゥと息を吐いて、言う。

 

 

 

『私の嫁に何してんだァァァァァ!!』

 

 

 

 朱美まどかはぶちギレていた。そのまま怒り狂う彼女は天へ弓を向けて、射出。映像から見たところ屋上に向かって射ったのだろう。

 その矢はピンクの柱へ変貌し、オレ達のステージに出現した。

 

「んな、なんだとォォォォォ!?」

「チャンス」

 

 オレはコピーに向けて、黒い一閃を決める。ヤツの身体は真っ二つになり、信じられないと言った目で見ていた。

 上半身だけとなったこの男に近づき、頭を踏みつける。

 

「馬鹿な……この、オレ、ガ……」

「よし。逝ってこい」

 

 そのまま頭を砕いた。コピーは断末魔をあげることなく、壊れた。

 やれやれ、これで古宮も元に戻る――――そう思っていたが、古宮はオレに向かって斬りかかってきた。

 

「どういうことだ……? まだ洗脳が解けてないのか?」

「そうよ。私がまだ解いてないもの」

 

 振り替えると、暗くなった空で見えないがシルエットで女だとわかった。

 黒いドレスに長い髪。クスクスと笑う女性の声。

 

 間違いない。こいつは……!

 

 女のシルエットは月明かりによって、その正体を現した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪魔だと思った? 残念。ノエルちゃんでしたー!!」

「違うんかいィィィィィ!!」

 

 まさかの変態(ヤツ)でした。

 




ニオイフェチ: 一種の性癖。……実はヤンデレ要素でもありそうな気がする

ベルンさん: なのはに憑依している魂。マジでドSだよこの人……

ソラのコピー: ザ☆噛ませ犬(笑)

黒幕: 悪魔だと思った? 残念ノエルちゃんでした!!

ノエル=アーデルハルト: 味方と思っている人は手をあげてください(笑)

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