とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

79 / 122
なのです☆無双 再 来 ♪

……とりあえずグロ注意です。では彼女のハッチャけぶりをどうぞ!


第七十五話 変身(笑)。高町なのはは危険です

 

 

(??side)

 

 

 

――――もしその人物になれるとしたら

 

 そんな願望は幼い頃、誰しも想像した。

 

 野球選手然り、アイドル然り、小説家然り、芸能人然り、そして尊敬する偉人達などなど。

 

 その人物になりきれるとしたら、誰もが一度は体験したいことだ。そしてそれが可能にしたのが、なのはが使った『召喚術』だ。

 

 

 『憑依召喚』。

 

 

 英雄の魂などを自身の身体に喚び出す召喚術だ。

 シャーマンやネクロマンサーという存在が得意としている降霊術に似ているが、実際に憑依するのではなく、正しくはその魂の人物に『身体』がなりきることだ。

 

 魂の持ち主をモノマネしたと言ってもいい。

 

 もちろん、この召喚術は誰しもできるものではない。身体が魂に適応していること、また自身がその人物のことを知っていること。

 

 簡単なようで難しく、そして『神器』と同じく生まれによって決まる召喚術なのだ。

 

 よってなのはだからこそできた、と言っても過言ではない。彼女は雷斗から教わった『召喚術』の中で、なぜかこの召喚だけができそうな気がして実行した。

 

 ……結果、散々だった。一緒にいた士郎もへたれ込むくらい大変だった。

 

 一緒にいた士郎も巻き込まれたり、道場が半壊したり、なのはの身体で泣かれたということが多い。

 

 雷斗がこの召喚術について言うならば、「二度と関わりたくない」と言うほど濃いキャラがなのはの身体に召喚された。彼女の持つ魂の繋がりはとんでない少女を喚び出したのだ。

 

 そして、今なのはの身体にはとある少女が召喚された。

 その少女はなのはがごくたまに電波的に受信している女の子で、性格は度重なる惨劇で歪んじゃってる。

 

 その少女の名前はあえて明記しないが、まあ敵対した者にはご愁傷様と言っておこう……。

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 シャドーは豹変したなのはに戸惑うことなく、冷静になおかつ合理的に動き出した。

 

 クナイを投擲し、手に手裏剣のエネルギー弾を再び作り出そうと力を込める。

 なのはは回避しなかった。回避しなかった彼女に疑問を感じるシャドーが次に見たのは、指でクナイを全て掴みとったなのはの姿だった。

 

「バカナ……!?」

「今度はこちらからね」

 

 なのはがレイジングハートを掲げるとスフィアが展開される。しかしそのスフィアの形は球体ではなく、なぜか包丁の形で、しかも数が多い。

 

 百を超えるアクセルシューターが生み出された。

 

「いってきなさい」

 

 レイジングハートをシャドーに向けた刹那、彼にアクセルシューターが向かってきた。

 シャドーは手裏剣を作り出すことを中断し、その場から障害物があるところへ飛び移る。

 

 ガガガガガガカガ!!と無数のスフィアが障害物を破壊し、破片と砂煙を飛び散らせる。シャドーは足を止めることなく逃避するも、腕や足にスフィアを掠り始めていた。

 

 彼は術者であるなのはを討てば、と思いクナイを構える。アクセルシューターの集中砲火を変わり身に受けさせ、背後から接近した。

 

 今なら殺れる。誰もがそう思ったとき、なのはは振り返らずレイジングハートをシャドーに向けていた。

 

 驚愕しているのも束の間、砲撃がシャドーの腕が呑み込まれた。

 腕は焼失し、焦燥した表情となったシャドーはなのはに対して「ナゼッ」と問いかけた。

 

 なのはは気にせず、獰猛な笑みを浮かべ、シャドーの顔を鷲掴みにする。そして魔力で強化された手で、シャドーの腹部を突っ込み、内蔵をえぐりだすように、引きちぎった。

 

「ギ、ガガガガガ!?」

「うるさいわね。雑音を出しているんじゃないわよ」

 

 パチンッと指を鳴らす。それと同時に時は止まり、灰色の世界へシャドーとなのはは誘われる。

 シャドーは空中にいるにも関わらず、落下せず、身動きが取れず、ただ動けないでいる。

 

 なのはが実行したのは『マホウ』。ただし、魔導士が使うプログラムではなく、『奇跡』を表した魔法だ。

 その『奇跡』をなのはが起こした。『時が止まる奇跡』という『彼女のマホウ』だ。

 

 なのははレイジングハートを振りかぶり、頭や身体を打撃や突き始める。

 打撃や打突をされたにも関わらず、変化はない。しかしその世界が色を取り戻した直後――――

 

 

 

 

 シャドーの身体が無惨に壊れ始める。

 

 

 部品である目が飛び出し。

 血液みたいな液体が飛び出し。

 皮膚も剥がれ落ちていき。

 

 そして、腕や足が弾け飛び、五体不満足な状態で彼は地へ倒れた。

 

「ナ、ゼ……」

「そんなものわかるに決まってるわよ。だって、」

 

 レイジングハートを向けて彼女は言った。

 

「僕は伊達に千年も生きてない『奇跡の魔女』なのですよ、にぱー☆」

 

 無邪気に無害そうな笑みを浮かべて、極太砲撃によってシャドーはこの世から消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アオはなのはの豹変に戸惑っていた。いったい彼女に何が起きたのかわからない。

 あの危機的な状況で彼女が急に強くなった理由を探すも答えは見つからない。

 

 シャドーは消滅した。そして次に狙われるのは自分では……と恐怖が生まれる。

 

(この場から逃げないと……。じゃないと、レジスタンスが……)

 

 痛む身体を起こして、立とうとすると自身を覆う影が生まれる。なのはがアオを見下ろしていた。

 ニコニコと微笑んでいるが、その笑みは「O☆HA☆NA☆SHIしようか。嫌だと言わないよね、よね?」と言ってるように見えた。

 

「あ、えっと……」

「おやおや~? 僕に助けられて逃げるの?」

「す、すみません……」

「……まあいいわ。とにかく話を聞かせなさい。あなたが何者か、そしてあなたの組織の居場所を」

「そ、それは!」

 

 ジュドンッ!!(砲撃でビルの半分消滅)

 

「嫌なのかな~? にぱー☆」

「言います。言わせてください」

 

 「シエルさんごめんない」と内心謝るアオは土下座をしたまま、話し始める。

 魔王には勝てなかった。なのはに勝てなかったのだ……。

 

 それはさておき、話終えたアオになのはは顎に手を乗せて考え込む。

 大人に近い思考力が、的確な判断ができるようにしていた。

 

 そんなとき、ソラが障害物からヒョッコリ顔を出して事の結末を見ていた。

 

(……あの子、あんなに凶暴に見えたっけ)

 

 ほむらに似た何かを感じたソラは今のなのはに近づきたくなかった。一方、なのははアオに聞いた。

 

「君のアジトに案内してくれない? 上の人とお話したいからさ」

「管理局……にですか? しかし……」

「大丈夫。キアラちゃんは融通聞く子だから、別にネオアルカディアには報告しないよ」

「しかし……」

「まあどのみち拒否権ないから。……拒否したら、内蔵をえぐり出して剥製にするから」

「ひどい!? そして猟奇的じゃん!」

 

 レイジングハートをグリグリ頬に押し付けるなのはを見て、ソラは「あ、こいつ朱美姉みたいになってる」と思った。

 ここにいては間違いなく標的にされる。そう思い、離れようとすると極太砲撃が障害物を消滅させながらソラに迫ってきた。

 飛び込んで回避し、冷や汗をかいた。そんなソラになのははいつの間にかレイジングハートを向けていた。

 

「みー、神威も一緒だよ♪」

「お前、なんか魔王化して――――」

「さて、お仕置きの時間なのですよ」

「え、ちょ、レイハさんをそんな至近距離で構えないで――――」

「死にさらせなのです。にぱー☆」

「ぎにゃァァァァァ!!」

 

 そして、『なのです☆無双』の再来が訪れた。具体的に言えば、至近距離からのショートバスター。失神しようが、お構い無く、なのはは撃った……。

 

 砲撃の嵐を受け終えると、ソラは「もうやだ。オウチ帰る」と泣き叫ぶくらい壊れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ネオアルカディア。暗い講堂にて、ソラのコピーは眠っていた。

 彼が見ていたのはソラという記憶。『一ノ瀬ソラ』という少年が絶望するまでの軌跡だ。

 

 ふと、目を開けると彼は嗤笑していた。

 

「……愚かな子ども。純粋がゆえに、『無血の死神』へと繋がるか」

 

 だからこそ、オモシロイ。

 彼の絶望まで至るその道のりはオモシロイ。

 

 実際にその目で見てみたい。

 

「ならば、狙うのは関わりある人間か……」

 

 彼の視線の先に待つのは朱美ほむらなどこの地へ訪れた人間を写した画像だった。

 




憑依召喚:

ソラや雷斗では使えない特殊な召喚術。シャーマンのように、身体に召喚した魂を憑依させる。召喚した魂はその身体に憑依することで、身体はその魂の人物になりきる――――つまり、その人自身の身体能力や力を得ることができる。神器のように難易度がデタラメで、天才や凡人であっても憑依することができれば、お構い無く使える。なのはの身体に召喚されたのはある意味最凶のロリばば――――(バキ、ベキ、グシャ!!)

高町なのは: 憑依召喚を体得し、飛躍的に戦闘力を上げた少女。……ぶっちゃけ、雷斗ですら手に負えない。ノエルしか彼女を止めれなさそうなくらい、個性的な魂が彼女に召喚されている。雷斗自身も、二度と手合わせしたくねーと呟いている。

『マホウ』: 漢字で書けば魔法。不治の病を完治させたり、人が生き返ったりなどの不可能を可能にする奇跡の体現。神様の技とも言える

奇跡の魔女: 

ベルンカステルさん。いや、古手梨花さんかも……。どちらにせよ、二人の人格を混ぜた魔女さんである。士郎さんと雷斗を愉悦のためにいじめた張本人。……表面的には萌える言語を使ってきますが、『剥製』やら『えぐりだす』やらと、猟奇的な行動が簡単にできちゃうくらいぶっ壊れている。雷斗に「二度とやりたくない」と言わせるくらい強く恐ろしい相手である

道場を半壊させたなのは:

神器ではない魂を武器化させた蛇腰剣を得物にする戦闘狂。別名、ウサちゃん先生――――って、これ明らかにバニーの人じゃん……。道場を半壊させた張本人。理由は士郎さんとの戦いが楽しいあまり、張りきりすぎたから。

泣いたなのは: 

最も常識的ななのはちゃん。中身は普通のキャリアウーマンなのだが、旦那がオタクで引きこもり。そしてアニメやネットなどの言葉を言ってくるので、よくわからない人を夫にしている。……旦那が何を言っているのかわからない件である。なお、泣いちゃった理由は道場と士郎さんと雷斗に対してひどいことしたことによる罪悪感から。その後、桃子さんに慰められた

ソラのコピー: 噛ませ犬にしようかしないか考え中。ちなみにラスボス戦で『あの子』を活躍させようか考えてます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。