ではどうぞ。
(??side)
『ネオアルカディア』。それは機械と人を融合させた首都と言ってもいい。この町に住む人全てが改造人間で、改造していない人間はいない。
また全身機械のアドロイド『レプリロイド』と呼ばれる機械人間がおり、軍事はもちろん娯楽に引っ張りだこ。
この世界に機械化していない人間はあまりいないと言ってもいい。
やや薄い雲が張られた天気。とある建物にて、まどかを加えたなのは達はこの都市を治める者と顔合わせするために、廊下を歩いていた。
(ソラくん無事かなぁ)
『ネオアルカディア』に落ちたソラとそれを追って降下したほむらの捜索は行われたが一行に発見されない。
まどかは二人がいったいどこで何をしているのか気が気でなかった。
(はっ! いけない。もうソラくんとベッドシーンにいける年齢。つまり、ほむらちゃんとソラくんのダブル嫁が私がいない間、ナニかをしている可能性が!!)
アッチの方向に考えてしまう辺り、実は冷静なまどかである。それはさておき、彼女達がたどり着いた部屋――――王座の間と言ってもいいくらいの広さのある部屋で、丸テーブルのその席には五人の男女が在席しており、一人が立っていた。
ある者は荒々しい炎を連想させるような女性。
ある者は静かな嵐を体現したかのような男性。
ある者は妖しい雰囲気を纏う女性。
ある者は存在が消え失せそうなくらいの雰囲気をもつ男性。
そして四人の中央には老人が一人座っていた。胡散臭い雰囲気があるが、小綺麗な老人だ。
「ようこそ管理局の諸君。わしがこの都市を治める長、ヴァイルだ」
ヴァイルは一人一人を紹介していく。
炎を連想させる女性はフレイア。
風を連想させる男性はウィン。
水を連想させる女性はアクア。
影を連想させる男性はシャドー。
この四人が『ネオアルカディア』の治安と内政、軍事を担う四天王だ。まどかは自己紹介を終えてから思うことは、
(……あの白いレインコートの人は何者?)
そうヴァイルには紹介されなかった男だ。レインコートにより顔は暗くて見えず、見た感じ、自分と同年代だ。
相手が何者かどうか判断できない中、会話は進んでいた。
「この地にロストロギアと見られるものが、通達されました。それがどこにあるかわかりますか?」
「さて、このわしには預り知らぬことさ」
「それはおかしいことだ。この都市を治める長たる貴方が知らないとなるといったい誰が我々に報告が届いた」
「ふむ、いたずらではないのかね?」
キアラの言葉にのらりくらりとはぐらかされる。核心にはつけない様子に、なのはとフェイトは苛立ちが隠せないでいた。
するとヴァイルは何かを思い出したかのように、手を叩いた。
「そういえば、この地にはわしらに敵対する組織があってな、そやつらが何らかの目的があって、管理局に情報を与えたのだろう」
「敵対組織?」
「『レジスタンス』と呼ばれる革命軍だ。わしらの都市に何度もテロ行為を行っている」
デバイスに送られた映像には、爆破で破壊された町や倒れた人が見かけられた。なのはとフェイトは憤りを隠せず、「ひどい……!」と口に出していた。
まどかもまたテロの非道さに憤りを感じてるが、キアラは疑念が晴れていなかった。
(……テロリストが警察のような組織に通報? わけがわからないな)
現状がわからない。とにかく情報がなければどうにもならない。
キアラはそう思い、局員に現状把握の操作を指示するのだった。
(ソラside)
目を開けると知らない部屋のベッドに寝ていた。その部屋はやや煤のある壁に覆われており、綺麗とは言い難い。
どうならあの後、意識がなくなり誰かに助けられたようだ。
ベッドから起き上がると腕が重いことを感じて、見てみると朱美姉が眠っていた――――産まれたままの姿で。
「待て待て待てェェェェェ!!」
どゆこと!? ナニが起きたの!?
いろいろツッコミたいことがあるが、とにかくこの姿を誰かに見られたら誤解は免れない。
オレは朱美姉を起こすために揺さぶると、寝惚けた感じで起き上がる。
「おはよう……ふぁ」
「おはよう……じゃねぇよ! なんでお前は隣で裸で寝ているんだよ!」
「あら、昨日はあれだけ激しくしたくせに……ポッ」
「激しくって何を!? ねぇ、オレ。なんかしたの!?」
「してないわ。安心して。ソラの息子には何もしてないし、ただ裸で寝ていただけだから」
オレのアレに関してツッコまないが、とにかく既成事実がないことに安心だ。オレがホッと息を吐いていると、
「あ、でもあなたの口の中に舌を入れたわ」
「何やってるのお前!?」
後から聞いた話だが、呼吸が止まったオレのために人工呼吸してくれたようだった。
「あ、目が覚めたんだね」
席についた青髪の少年が気さくな笑みを浮かべて、紅茶を口に含んでいた。
朱美姉の話によるとオレ達をここに泊めてくれたのがこの少年らしい。
信用できるかどうかはさておいて、オレはこいつに聞きたいことがあった。
「お前は何者だ」
「いきなりだね」
「当たり前だろ。なんせ、どこの誰かもわからない人間を招き入れるなんてどうかしている」
「空から落ちてきた人の方がどうかしているけど?」
違いない。第一空から落ちてくる人間なんて、いても困るだけだ。
「僕はアオ。古宮アオ。君は?」
「……神威ソラ。ただの人間だ」
「異議あり。ソラが普通の人間だったら、周りは人外かしてるわよ」
「失礼な。こんなオレでも普通なんだぞ。ノーマルだと思っているぞ」
「私の名前は朱美ほむら。ソラのご主人様よ」
「スルーするな。てか、オレをお前の下僕にするな!」
勝手に人を犬のように扱う朱美姉。ほら見ろ。古宮も苦笑しているじゃねぇか。
「はは、仲がいいね」
「これが仲がいいのに見えるのか? まあいいや。つーか、ここはどこだ?」
「『レジスタンス』のアジトさ」
「レジスタンス?」
「まあ、テロリストって言えばわかるかな」
瞬間あと、朱美姉は銃口を向け、古宮は『神器』を向けていた。朱美姉はその『神器』を見て動揺していた。
なにせ、その剣は――――
「『全てを開く者』……?」
「知ってるのかい? これを」
オレと同じ『神器』。それがこの男の武器のようだ。たが、どうも自身の魂から呼び出したものではなさそうだ。
オレは見ていた。首飾りから神器が飛び出したのを。
警戒心を解かない朱美姉に対して、オレは彼女の銃口を下げさせた。
「どうして。彼は私達の敵かもしれないのよ」
「それを決めるのはオレだ。お前の敵=オレの敵とは言えないだろ」
苦虫をかんだ顔をして彼女はしぶしぶ銃口を下げた。それと同時に古宮の『神器』も消えた。
「話を聞いてくれるかい?」
「おいしいご飯が食えるならな」
全てはこいつの話を聞いてからだな。
「あ、じゃあ私はケーキでソラはビーフジャーキーで」
「ごめん。ペディグリージャムしかないんだ。それで勘弁して」
「そう、許すわ」
「お前ら人のご飯を犬の餌にするなよ!!」
油断も隙もないことがよーくわかったわ!!
ネオアルカディア: ロックマンゼロの世界観なのだが、主人公であるゼロは存在せず、大きな戦争もなかった平行世界。ゼロVSソラという組み合わせを考えたが、ぶっちゃけソラが負けるし、ゼロがお気に入りのキャラなのでボツになった
四天王: ゼロの次に好きなキャラなので、名前と性別が違う。噛ませ犬ではないので悪しからず( ̄ー ̄)
ヴァイル: ネオアルカディアの総帥。裏で何かを企んでいる
白いレインコートの男: レプリロイド。謎の男
レジスタンス: ネタバレすれば追放または処分されそうになったレプリロイドの革命軍。リーダーは人間
古宮アオ: 実は偽名。ソラと同じ神器を持つが、彼自身の魂の一部ではないのは確実。色はソラと正反対で白い
全てを開く者: ありとあらゆる者に対して開閉できる神器。本来、神器は個人によって違うのだが、例外が一つだけ存在するらしい。ちなみにその例外もソラが記憶を亡くす前まであった。さて、どんな例外でしょう?