とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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……なんでこうなった。
まあ、因果応報ってことでよろしく( ̄ー ̄)

ではどうぞ!


第六十七話 エピローグ的な、救われなかった少年の話

 

 

 それから数週間後、悪魔の策略で改変された記憶は全て元通りになった。天宮草太が『忘却(消滅)』されたことで、全てが何事がなかったかのように戻ったのだ。

 

 リンディは事の話をクロノから聞き出した。雷斗が倒したことも聞き出したが表向きは行方不明になり、一般人に刃を向け、管理局員を肉体改造した名前すら忘れ去られた草太に全ての罪を背負わせることにした。

 

 もっとも、ヤツが原因のため心が痛むことはなかったが、名前を忘れ去られたとは言え、知ってる人間が犯罪者になるということには良い顔はできない。

 近所の子どもが犯罪を起こして逮捕されたと聞かれたおばさんみたいな心境である。

 

 なのはやフェイトも未だに彼が起こした事件に納得できていない。

 なぜ、あんないい人が……という起きたことを受け入れられないと言った心境だ。

 

 とは言え、彼女達も受け入れられるときはいつか来るのは確実だ。なんせ、ヤツはソラという一般人に刃を向け、殺そうとした人間なのだから。

 

 さて、話を変えるが管理局所縁ある病室にて、ソラは入院していた。今日、雷斗とノエル、そしてまどか達は彼が眠っている部屋に向かっていた。

 

「つーか、あんな重傷だったのに数日でほぼ完治ってどーゆこった」

「ヌフフフ、雷斗にそっくりだね~。キミも腕が切り取られても、縫合してくっつけたじゃない」

「いやー、あれはマジで焦った。もう動けないと思ったぞ」

「どんな武勇伝よ……」

 

 ほむらは雷斗の規格外ぶりに嘆息を吐いた。ソラの入院中、ノエルはソラの家に居候しており、必然的にまどか達と接触していた。

 

 セクハラはもちろん、食事が混沌とさせられたのはびっくりである。

 カレーライスがマカデミアンナッツの味になっていたり、制服が魔法少女服にさせられたり、まどかの魔法少女服がどこぞのSM女王が着そうなボンテージの衣装にさせられたり……などなど。

 

 要するに彼女のおもしろおかしいイタズラで大変なことになっていた。その度に一緒に泊まっていた雷斗がドロップキックで制裁していた。

 

 中には首以外庭に埋めるという制裁があったため、軽くドン引きである。

 

(ソラの師匠だけあるわね……。だから前世のソラの『当たり前』はおかしかったのよ、きっと……)

 

 ちなみに雷斗の今世の両親は既にいないらしく、後見人がノエルになっていたりする。

 

 閑話休題(それはさておき)。雷斗達が病室にたどり着いたとき、部屋から騒がしい声がした。

 ソラの部屋は個別だ。たまに担当医が見に来るという習慣があるが、おそらく病室にはソラの担当医がいるはずだ。

 

『――――! ――――!?』

「なんだ? 騒がしいな」

 

 スライドドアを開けると、ソラが点滴をぶら下げていたもので扉を開けた雷斗に降り下ろす。咄嗟に彼は後退して回避し、当たらずに済んだがその一瞬の隙でソラは部屋から飛び出した。

 

「か、かれをつかまえてくれ……!」

 

 担当医はボコボコされており、何があったのかわからないまま雷斗とノエル、そしてまどか達は追いかけた。階段へ逃げ込み上がっていき、やがてたどり着いたのは屋上だ。

 

 追い詰められたソラはひたすら敵意を込めた視線を雷斗達に向けていた。

 

「おい。どーゆことだ? テメェは何してんだよ」

「そういうお前こそ何者だ。ここはどこで、お前らはなんなんだ」

 

 ソラの言葉に雷斗は眉間に皺を寄せる。ソラの言っていることに頭が追い付かないのは大半だ。

 ノエルはそんな彼らの前に立つ。

 

「キミは何を言ってるの? もしかして忘れちゃったのかにゃ~?」

「知らん。てか、お前の知り合いかノエル」

 

 ノエルは「にゃははは」と笑っていた顔を引き締め、彼に聞いた。

 

「……質問していい? キミがこの中で顔を知っている子を言ってくれない?」

「……ノエル。と……千香、キアラに似た女。それ以外は知らない」

「キミの役職と名前は?」

「『斬り込み特攻部隊 隊長兼少佐』のソラだ。苗字は捨てた」

 

 「何者だお前らは」と再度問うソラに目を見開く。驚愕する。

 まどか達には信じられないことだった。

 

 彼は何を言っている。これではまるで、とほむらは悪魔の言葉を思い出す。

 

『クスクス……。そうね。でも私の目的は達成した――――それで、もういいのよ』

 

 目的とはなんだ。悪魔(かのじょ)は何を求めていた?

 

 魂でも、肉体でもない。何を求めていた?

 その答えは今のソラにある。

 

 そう、彼は奪われた(・・・・)のだ。

 

「ま、まさか……記憶をとられたの?」

「かもな……。あの悪魔、馬鹿弟子の記憶を取りやがって逃げたんだ。方法はわかんねーがとりあえず、今ここにいるコイツは『戦時中』のソラだ」

 

 雷斗の言葉に「厄介な置き土産を」とノエルは内心舌打ちする。ノエルとまどか、そして千香は戦時中のソラを知っている。

 彼女達に対してまだまだ柔らかいが、敵対した者には容赦しない。そして彼女達や戦友を除いた人物はあまり信用も信頼しない。

 

 つまり、忘れられたまどか達は敵かどうかわからないので、警戒しているということだ。

 

 一歩間違えればソラと敵対し、永遠に解り合えないというバッドエンドの地雷が含まれていた。

 

(とにかく落ち着かせないとねぇ……)

 

 まどか達が戸惑う中で、ノエルは一人彼に近づき話しかけるのだった。

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 

 少年が全てを忘れている頃、管理外世界『プラネッツ』では戦いが起きていた。

 ボディが青という人の形をした機械兵がマシンガン系のエネルギー銃を一人の少年に構えていた。

 

 数体に囲まれていた少年――青いヘアカラーで碧眼の彼は、召喚術で『神器』を喚び込んだ。

 

 その剣は、かつて『英雄』と呼ばれた男と同じ『神器』。

 その剣は、かつて『無血の死神』が振るった剣。

 

 

 そう、白い『全てを開く者』を召喚し、彼は機械兵を斬り裂き、バラバラにする。

 全てを終わらすと彼は呟く。

 

「急がないと……」

 

 少年は仲間の待つ基地へと向かう。

 

――――『救世主』と呼ばれた前世を持つ少年は、救うべき人達が待つところへ向かう。

 




まどかの魔法少女服: SMチックな衣装がオープニングでも出ていた(笑)

神威ソラ: 悪魔によって記憶を奪われた。と言っても実際はコピーして抜き取っただけで、その影響で記憶を損失したというか状態である。しかし、残された彼の記憶は戦時中であり、一番ヤバいとき――――(まどかやほむら達の記憶がない状態で)何もかもが信じられなくなったソラであることに変わりはない。

救世主: 英雄と対なすもの……だと思う。別名ヒーローじゃないかな?

次章: ソラのライバル的存在が登場?

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