コラボ製作が思った以上に難航中……(-_-;)
前世を思い出す前、オレはあの両親に虐待されていた。
サンドバックにしたり、買い物に行かせたり、おまけにお金がなかったら盗みまでさせようとしていた。まあ、それに反抗していたからサンドバックにされていたんだけど。
大人モードになって虐待の罪で通報してから刑務所にぶちこまれたはずだが、どうやらヤツら出所したようだ。二度と会いたくはなかったのだが……はぁ。
「さて、どうしようか」
「いつも通りに殺ればよかろう」
「ここは前世と違うぞ。現代社会での殺人は犯罪だ」
「なら、あたし達の手でボコボコにしようよ!」
「相手は集団だから、人質とられたらおしまいだ」
数は五人。それぞれマシンガンを手に持ち、携帯銃器を腰につけている。
殺ろうと思えばいつでも殺れるがここで騒ぎを起こせば、オリ主くんに難癖つけられそうだ。
「今のオレはオリ主くんより弱いから、騒ぎを起こせばボコられそうだ」
「ほざけ。『神器』無しのキミが弱いなら、前世ではとっくの昔に我が軍は敗北している」
「え、ソラってそこまで強かったの?」
「ああ。わたしが思うに『神器』で敵を殲滅していた彼の方が良心的……だと思う」
「オイ。そこのガキ! 黙れ!」
両親の仲間の一人が銃口を向ける。両親は窓口でお金を受け取っているようだ。
外はサイレンが聞こえ始め、車が止まる音が聞こえた。
『警察だ! ここは包囲されている。大人しくしろ!』
「チッ。もう来やがった!」
……『もう』、だと?
これは誰かが仕組んだことなのか?
わからないが、とりあえず事態が進んでいく。父親は人質の中に盾に人選を選んでいる。
その中に叶うヤツがいたのか、そいつに近づき、乱暴に立たせる。
「おら、テメーが人質だ!」
立たせたのは男性。チェックのズボンに、白いTシャツを着た、そんな――――
――――プルプルと今にも死にそうなおじいさん
「待て! なんでそいつをチョイスしたの!?」
「あん? んなもん、すぐに使い物にならないヤツを使えばオメーらに迷惑かからないだろ」
「いやこれをしてる時点で迷惑だから! つーか、そのじいさん死にそうなくらいプルプル震えているんだけど!?」
「んなもん、問題ねーだろ。このじいさん、張り切って手を上げてアピールしていたぞ」
「なんで人質になろうとアピールしたの!?」
ツッコミどころが多すぎる! というか、じいさん。あんた、なんでアピールしたの!?
死ににいくもんだぞそれ!
それに答えるかのようにじいさんは、
「わしは……この八十九年間。人質にとられ続けてきた大ベテランじゃ。若いのわしに任せなさ……ゴホゴホ!」
「じいさん、どんだけ巻き込まれてるの!? むしろ、嘆いてその不運に! てか、頼れないくらい死にそうな顔をしているんだけど!?」
ヤバい。人質になる前にじいさんが死にそうだ。てか、今まさに三途の川を渡りそうな雰囲気だ。
すると母親が小さな女の子を抱えて、銃口を向けていた。さっきトイレに行っていた天気だ。
「アンタ、そんな死にそうな人質を使っても意味ないね。この子を人質にするよ」
「……そだな。ジジイ。命拾いしたな」
「そんなぁ……」
大ベテランが乱暴に倒され、口から魂を出して失神した。天気を人質にした。
オレはとにかく自分を抑えることに精一杯だった。
「ソラ、落ち着いて」
「凄まじい殺気を出すのを抑えたまえ」
「……わかってる」
オレはひたすら耐える。母親は天気を人質にしたまま、外に出ていく。警告しに行ったのだろう。すると父親はオレを立たせて銃口を向ける。
「テメーも人質だ。来い」
オレは言われるがまま母親と同じく外に出た。
外は警官によって包囲されていた。野次馬の中にオリ主くんとまどか達がいた。どういうつもりか知らないがとりあえず、気にしないでおこう。
オレはさっさと解放してくれないかなぁと、ぼんやり考えていると、ふと父親が言葉に出した。
「ケッ。野次馬の中で高みの見物かよ」
「仲間がいるのか?」
「仲間じゃねぇよ。あのクソガキに指示されてこんなことをしたんだよ。全く。仮出所から解放してくれるって手筈だったのによぉ」
「どういうことだ?」
「この銀行で騒ぎを起こせってな。しかも警官が来る時間制限付きでな。ゲームのつもりでやったかは知らねーが俺達はそれに乗ったわけよ」
野次馬の中に黒幕がいるってことか……。なるほど、とりあえずそいつに会ったらぶちのめそうか。
「これが終わったらあのクソ息子を裏に売りさばこうとしていたのに。というか、あのクソガキを殺せばよかったな」
「…………」
クソガキってのはオレのことだろうな。まあ、確かにヤツらにとってオレがしたのは『親不孝』だな。自分の親を不幸にしたわけだから。
でもな、間違ったことを。罪を犯した人間を正すことの何が悪いのだろうか。
悪は決して栄えない。栄えているが、いつかは滅びる。それはなぜか?
答えは簡単――――『間違っている』から。
間違えたら、正す。
罪を犯したなら、それに報いる。
それが『普通』なのだ。しかし、この両親は懲りてない。いや、気づいていないのか。
自分の犯した罪を、罰を、報いに気づくことなく、愚かに今も罪を犯している。呆れて何も言えないな。
そんなとき、天気が騒ぎだした。
「パパは悪くないもん! パパは、パパはいつだって自分の正しいと思ったことを信じて動いている。おばさん達は間違っていることをパパに押し付けないで!」
「なんだとこのクソガキ!」
母親は天気の頬をひっぱたいた。赤く腫れ、涙目になりながら睨みつける天気に、母親は銃口を向ける。
「お前はいらねーよ。死ね」
あっさりと殺すつもりか。
オレの大切な人を。大切なモノを!
オレは父親が拘束する腕に振りほどき、母親に向けて父親を投げつける。天気を抱えてその場から退避するも、銃声が鳴り響いた。
オレの肩に銃弾が掠り、憤慨した両親が銃口を向けていた。
「このクソガキ共がぁ!」
天気の盾になりながら、オレは銃弾を受ける覚悟をした。すると、まどか達が一斉に二人を抑えつけ、オリ主くんが『神器』でぶっ叩いて失神させた。
事件はこれにて一件落着となった。
「これでわかったかい。お前はここにいてはいけないんだ」
大人モードを解除し、帰ろうとするとまどか達を連れたオリ主くんが引き止めてきた。今日、起きたことはオレのせいだ。お前がいなくなっておけばみんながこんなことにならなかったと批判してきた。
「出ていけよ」
「そうね。あなたの居場所はここではないわ。さっさと私達の前から消えて」
杏子とほむらの言葉。そして冷たい視線を向けるマミさん。
対してまどかと千香はオロオロしていた。わけがわからないが、とにかくこれでオレがすることも決まってきたかもな。
「……そうだな」
「『無血の』!」
「キアラ。悪いが一人にしてくれ」
オレはそう言って一人、自宅へ帰って行った。
(さやかside)
間違ってる。こんなの間違ってるよ!
あたしはソラがいなくなった後、一人。まどか達を説得しに向かった。
今のまどか達はソラと接しているようなくらいにオリ主くんのことに好意を向けている。無理かもしれないと頭の中では考えている。
だけどこのままにしたら、ソラが取り返しのつかないことになりそうな気がしてならない。
「させて……たまるか」
『円環の理』だったまどかから話は聞いた。悲惨で酷い戦争のお話を。
アイツはやっと。やっと孤独と絶望の戦いの果てに今という幸せを得られた。
なのに、その幸せを奪われ、再びアイツは絶望の渦に呑み込まれる。そんな気がしてならない。
あたしは走り続ける。そしてその先に待っていた相手に、あたしは『神器』を召喚した。
「何しにきた」
「アンタには関係ないでしょ」
「連れないこと言うなよ。俺とさやかの仲だろ?」
どのくちを言うのか
「無視するなよ。さやか」
「気安くあたしの名前を口に出すな」
「クク、なるほど。お前は神威のことを覚えていたんだな」
「今更気づいたの? それでアンタはあたしをどうするつもり?」
「お前を神威から解放する」
はぁ? わけをわからないことを。
「神威がお前を縛ってる。そうだろ? なら、俺がその呪縛を解放してやるよ」
「精神科言ってきたら? あたしはソラに縛られていない。アイツが誰かを縛ることより、縛られてる方がお似合いよ」
「クク、すぐに解放してやる」
オリ主はあたしに向かって斬りかかってきた。
あたしとこの勘違いヤローとの戦いが始まった。
神威夫妻: 後に無期懲役確定される。その後、どうなったかわからないが脱獄して、殺されたとか……。
おじいさん: 人質歴八十九年。ある意味大ベテラン。……どんだけ巻き込まれてるんだ!?
神器のあるソラ: もう一つの異名を思い出してください。……ある意味良心的なのがお分かりですから
さやかVS草太: さやかが勝つ――――とは限らない。これが惨劇へのスイッチ。この後の展開を書いてて、マジでオリ主くんのクズっぷりに腹が立った
次回: 失う。失う。失う……。彼はまた仲間を奪われる。仲間を失っていく。その果てに待つのは孤独という名前の絶望――――それが誰も救えない救われない少年の物語への序章。