とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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(変更点)

・シュテル変態化の要因がノエルになっている


第四十六話 ネコネコにゃんにゃん団

 

 

 

 地下の部屋は頭蓋骨で埋め尽くされた一般人からすれば、絶叫モノだった。まあ、お構い無く踏んで砕いていくオレ達はなんともキチガイであるが。

 ちなみに鈴本さんは最初にこれを認識したとき、また失神した。メンタルがなんと弱いことだ。

 

 そんな鈴本さんをさやかが背負って、オレ達三人が歩き回っていると、やっと上へ繋がる階段を見つけた。

 

 フリップボードにご丁寧に『うえへのかいだん』と書かれていた。

 

「いろんな意味でツッコミたいんだけど」

「あたしもよ。これ書いたの絶対『ク●ヨンし●ちゃん』を知ってる子よ」

「いや、なんで『●レヨンし●ちゃん』出てくるんだよ」

「あの原作漫画の一桁代ではこういうネタがあったからよ。『ここが桃源郷』って書かれているネタが」

「……ツッコミでその看板とか破壊してる大人がいそうだな」

 

 確かにこれを見たら破壊しそうになった。拍子抜けにすんじゃねぇよ!って言う衝動に駈られてしまうな、これ。

 

 そんなオレ達は階段を上がり、上に行くとそこにはオレ達の見覚えのある廊下だった。

 

「戻ってきたなぁ」

「うーん。でも杏子とはぐれたしなぁ」

「仕方ねぇよ。そこは後々、捜すとして」

 

 

「うわあァァァァァ!!」

 

 

 誰かの悲鳴が聞こえた。声からして小さな男の子だろう。その悲鳴に鈴本さんが起きた。

 

「な、何?」

「間違いない。これはロッカーの中にGがいたな」

「違うわよ。きっとヤンデレストーカーの髪の毛が入っていたのよ」

「さやかちゃんの言ってることは絶対違うと思う!」

 

 ヤンデレというヒロインがこの世界にいただろうか……。

 いるとすればほむらと千香しか思い当たらない。だってたまに怖いこと言うもんだもの。

 

「よし、とりあえずスルーするか」

「『とりあえず』で無視するの!? 助けに行かないの!?」

「いやだって助けに行ったところで今からだと手遅れだろ。今、行けば確実にグロシーンが待ち受けている」

「なぜか説得力ある……!?」

 

 ホラーゲームお決まりだろ。と、グチグチ言っているとドタドタとこちらに誰かが向かってきている。

 暗闇から現れたのは五木雷斗――とそのうなじに噛みつく月村が現れた。

 

「むちゅ、ぺちゃ……オイシイ」

「どうしたの月村さん? どうして俺に噛みつくの!」

「雷斗くんが悪いもん。かすり傷からこんな美味しそうな血の匂いを出されたら……ぁあ、甘美で爽やかなハーモニー……」

「いやあァァァァァ! チューチューしないでェェェェェ!」

 

 ……なんかヤバい描写だった。特に月村が妖艶で危ない。これが月村家の血筋なのか!?

 

「いや、どういう血筋なのよ」

「メイドさん曰く、五戦も戦えるほどアッチが強いらしい。だてに『夜』の名前って言われてないな」

「恭也さんの愛の結晶が早い段階でできそうだね」

 

 確かに。もうなんか結婚して早い段階に子どもできそうな気がしてきた。

 

「てか、カミングアウトしていいのそれ」

「愚痴っていたから話を聞いただけだからセーフのはず。はっ。もしかするとこれをネタにいじれるのでは? よし、桃子さんに伝えるとしよう」

「一番伝えちゃいけない人でしょ! というか息子の夜の事情を母親に知られるだけでどんだけダメージ喰らうと思ってるの!」

「オレの愉悦のためだ。わかってくれ」

「こいつ、最低だ!」

 

 最低だと? 何を今さら。オレにとって最低という罵倒など誉め言葉にしかならない。

 雷斗は泣きながら、チューチューと吸われている。月村はなんか恍惚とした顔になってるし……。

 

「というかいい加減に落ち着け発情猫」

「あいた! あ、神威くん」

 

 チョップを入れてやるとやっと落ち着いてくれた。雷斗は涙目でオレの背中に隠れてしまった。

 

「ご、ごめんね。どうしても抑えきれなくて……」

「うぅ……変態モードになった姉さんを思い出してしまったよぉ。顔を舐められたり、お尻を撫でられたり……うぅ!」

「あ。これある意味トラウマになってるな」

 

 泣くほど絡まれたのか、セクハラされたのかは定かではないがその変態モードのお姉さんは間違いなくノエルと同類じゃないだろうか……?

 

「そういえばシュテルちゃんはどこに行ったのかな」

「ミシュラン?」

「三ツ星じゃないから。シュテルちゃんって言うのはね」

 

 月村が指をさす。そこにいたのはこの現代ではあまり見かけなくなった昔の学校の産物――――人体模型である。

 妙にリアルで肉の音がする。

 

「あれがシュテルだと? シュテルって人体模型なのか?」

「違うよ!? なのはちゃんに似た女の子だよ!」

「そうだよ! シュテルんはいざとなったらパンツを脱ぐ子なんだから、あんなに皮まで脱がないよ!」

「ちょっと待って! それホントなの!?」

 

 まさかのシュテルの『パンツ 履かない』宣言に、月村はツッコむ。

 オイ、何があってそうなったんだ……。

 

「なんか、エメラルドの髪の毛をした女性からもらった魔力でそうなったって……」

「犯人はヤツか!」

 

 魔力でも影響を与えるとはどんだけスゴいんだあの変態。人体模型がこちらに向かって動き出した。

 どうする……。戦うのは良いがここには三人の一般人がいるしなぁ。

 

 まあ即効無効ににできるが、はてさてどうするか。

 

「ウボァ……アァ……」

 

「なあ、あの人体模型から声が聞こえたよな?」

「いやどちらかと言えば壁から――――」

 

 その刹那、壁からスク水を着たオッサンが突き抜けて、人体模型ごとぶっ飛んでいった。

 

「エヴァ初号機!?」

「シンジくん!」

「何言ってるの!?」

「「いや、ノリで」」

 

 オレとさやかがそう言うと、衛とはやてが突き破った壁から現れた。

 

「ふぅふぅ……手強い敵だった」

「衛くんでも手こずるなんて……」

「やはりスク水パワーはスゴい。はやて、次回から我も」

「やめて。真面目に言ってるのはわかるけど、やめて」

 

 はやては筋肉だけでも辛いのにさらなる変態を加えることが、耐えられないようだ。

 まあ、衛もはやてに従っているようだし、問題ないだろう。

 

「というか、なんだそのメイド姉妹は。新手の変態か?」

「「誰が変態だ(ですか)!!」」

 

 姉妹にツッコまれたが、オレから見てもただのコスプレ姉妹しか見えないのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでエクザエル――――じゃなかったエクザミアを求めて三千里なギアーズ姉妹を含めて一緒に行動していた。

 ぶっちゃけ、エクザミアとか言うわけのわからないモノはいらないし、それでここを滅ぼすことになろうと自分達のいる世界はなんともないからモーマンタイである。

 

「ドライね。あなたは……」

「いちいち、構っててこちらが大変なことになるからな。まず、自分に余裕があってから他人を助けようと考えろと師匠に言われてた」

「まあ、確かに……」

「後、助けたヤツの良心を利用して手駒にしろとも言われた」

「絶対あなたの師匠、黒いって言われますよ!」

「え、俺って黒いの? 月村さん」

「髪の毛は」

 

 なぜか雷斗が反応したのはか予想外。こやつはホントに何者だろうか……。

 とまあ、そうこうしているうちに保健室にやってきた。千香がいるとすればここが怪しい……。

 

「いやどうしてここなの?」

「キリエ。ヤツは変態だ。常にいかがわしい方向へ持っていこうとする」

「なんでそう考えるのよ」

「付き合いの経験から。後、ベッドの下から保険医系のエロ本が見つかった」

「男子中学生か!」

 

 あいつの頭の中身は常にエロと萌えと混沌しかないと思う。オレはキリエのツッコミに気にせず、スライド式の扉を開ける。

 

 そこにいたのはマミさんと幽霊の女性がお茶しているところと、尻を抑えている男子高校生二人にツンツンするオレより二歳年下の少女がいた。

 

「何やってるの?」

「あら、ソラくん。紹介するわ。この方はヨシヱさん。サチコちゃんのお母様よ」

『こんばんわ』

「こんばんわ――って幽霊にナチュラルに挨拶されたのは初めてなんだけど」

「安心してソラ。あたしもよ」

「というか、どうして普通にできるの!?」

「いちいち、驚いてたら疲れるだろ」

 

 驚きの連続が過去にもあったし。それからオレはヨシえさんにサチコを助けてほしいと言われた。

 まあ、なんか雰囲気がヤバい幼女だったし、何より彼女をなんとかしない限りここから出られそうにないみたいだ。

 

「杏子とも合流しないなぁ」

「王様もいるかな?」

「さあ? でも一緒じゃね。とりあえずさやか。お前はここで見張りしておいて。オレとマミさんは杏子を捜しに行く」

「えぇー。なんであたしが」

「丁度、うまい棒がポケットの中に」

「任せなさい! このさやかちゃんがこの人達を守ってみせる!」

 

 食べ物に吊られるとはチョロいぞ、さやか。

 

「お、俺も行っていいか? 直美を捜さなきゃ」

「なら、俺も」

「OK。男子のみついてこい。ただし朔太郎、テメーは駄目だ。眼鏡が割れたらお前の九割は死ぬ」

「俺の九割は眼鏡じゃない!」

「後、男子のみチョイスしたのはマミるのは野郎だったらモーマンタイだから」

「「オイ」」

 

 ジト目で見られたが気にしなーい。だって顔からパックンチョなシーンはサチコの誕生日のときにしてほしい。

 

「……そういえばサチコって何歳だろ?」

『確か九歳だったわ』

「ということは逆算するとヨシえさんは三十路前後――」

 

 オレの真横に包丁が飛んで行き、壁に突き刺さる。ヨシえさんはニッコリ微笑んでおり。

 

『何か?』

「イイエ。ヨシえさんは永遠の十七歳」

 

 十七歳をチョイスしたのは間違いではないことは、彼女がうむうむと頷いたことで証明された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてメンバーはオレ、マミさん、レヴィ、シュテル、衛、はやて、持田、岸沼という集団になった。王様とやらを捜しに彼女達とも同行するようになったが、王様とはどうやらディアーチェらしい。

 はやてにディアーチェのことを聞かれたが、お前の厨二版と言ったらローキックされた。

 

 ひどい。まあそうこうしているうちに体育館にやってきた。そこに待っていたのは不気味に笑う千香の姿だった。

 

「にゅふふふ……来たね。勇者諸君」

「いや勇者じゃねぇし、何ラスボスぶってるんだよお前」

「それはボクがここのボスだからさ! いでよ。僕たち!」

 

 千香の合図からスタッと降り立つ人影。杏子、ディアーチェ、中嶋、篠原だ。

 ……ただし、メイド服で。

 

「なんでメイド!? つーか、ケモミミ着いてる!?」

「にゅふふふ、ヨシカズくんにケモミミスク水を与えたのもボクさ!」

「予想してたけど、あれはないだろあれは!!」

 

 岸沼がツッコむ。こやつ、千香のボケによくついてこれるな。

 というか片隅にヨシカズがいた。三角座りして『予備軍』というプレートを首にかけていた。

 

「なんで選抜から外れてるの?」

「『ネコネコにゃんにゃん団』は萌えるキャラしか優遇されないのだ!」

「どうでもいいし、あんな格好させられたままはかわいそすぎる!」

 

 胸を張る変態にオレは先制のドロップキックを決める。直撃した千香は艶やかな声を出して壇上まで飛ばされる。

 オレも壇上へ立つと、幕が降りる辺りから結界が張られた。

 

「さあ、始めようよソラ。ボクとのワルツを」

「……ヤベ、誘い込まれたか。マミさん!」

「わかってるわ! 持田くんと岸沼くんを守るわ」

 

 一般人の守護を任せ、オレは千香と戦う。

 

 『無血』と『混沌』。

 かつての最凶達のワルツが始まった。

 




クレヨ●しん●ゃん: 某有名漫画。初期の頃ではネネちゃんは泣き虫だったのに……

ヤンデレ: そういえばヤンキーのデレも『ヤンデレ』らしい

『夜』の一族: 名前からして艶話がありそうな一族。原作では吸血鬼モドキだが、この世界ではすずかの一族は吸血姫で淫乱らしい

雷斗の『姉さん』: その正体はアイツしかいない

『パンツ 履かない』: ラニⅧの迷言。リメイク前もシュテルはやらかしている。とりあえず、シュテルファンの皆様……こんな彼女にして、すみませんでした(謝罪)

スク水パワー: ナースと融合すればスク水ナースというパワーが得られる。おじさんの年齢層がそれを装備したらいろんな意味で最凶

ヒロインが敵ボス化: ゲームでもよくあるパターン。シリアスならば、ノリと根性で救おうとするが、ソラの場合はとりあえず、ぶん殴って、尻を叩いて、説教するという流れがある。前世で彼はヒロインに殺されてるため、その反省を踏まえての流れである

アンケート②: 四、五人程度と予想していたのにけっこう来ている……。まだまだ募集中なのでよろしくお願いします。期限は『五十話』なので残り四話で締め切ります


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