(??side)
篠崎あゆみと岸沼良樹は廃校舎の廊下を歩いていた。
あゆみの怪談話が終わったとき、五人と一緒にこの異空間に飛ばされたのだ。あゆみはビクつきながら良樹の背中についている。
(ホント、ここどこだよ……)
良樹はここがどこなのか考えていた。
自分達がなぜ、どうして、なんのためにここにいるのか、考えていた。
元々彼は分析は得意なの方ではない。ではなぜ考えているのか?
それは、
「ねぇねぇ、あゆみちゃん。おしり触っていい? お胸触っていい? というかこれを着てよ!」
この変態が原因である。暗いところが苦手なあゆみがビクついているのは、決してこの校舎の雰囲気からではなく、千香と出会ってからいきなりセクハラされ、イロイロされた。
なので、大人しい彼女は若干千香に苦手意識を感じていた。
「にゅふふふ、まさか異空間に召喚されたら、美少女に出くわすなんてなんという幸運。この調子なら新たな美少女に出会える可能性にボクの期待もワクテカだよ」
(コイツとつるんでるヤツ、ぜってー苦労してるな)
嘆息吐いていると廊下の向こうからギィギィと誰かが歩いている音がした。良樹とあゆみは警戒心を強くしていると、暗闇から現れたのは鉄パイプを持っている男だ。
彼の目は黒く空洞で、血の涙が流れており、肉体は一般男性とは思えないくらい膨らんでいた。
ゾンビのようだと良樹が思っていると、鉄パイプを振り回してきた。
「に、逃げろ!」
「いや戦う!」
「なんでだよ!?」
千香の戦うぜ宣言に良樹がツッコむ。千香は「うおォォォォォッ!」と叫びながら突貫するが、鉄パイプは彼女の頭部に直撃した。
彼女は倒れ、良樹は舌打ちする。
「馬鹿なことをしやがって!」
「き、岸沼くん。彼女を……」
「駄目だ。ここは逃げなきゃ、今度は俺達がやられる!」
千香に夢中である隙に逃げるべきと良樹は考えていたが、千香が起き上がるところを見て、目を丸くした。
「無駄無駄ァ! このボクがこの程度――ぶべっ!」
また鉄パイプで殴られる。しかし、千香は倒れない。
「ウアァァァァア!!」
「もっとだ! もっと来なよ!!」
「ウア!?」
鼻息を荒くし、鼻から愛を出す変態少女。決してさっきの鉄パイプで出た鼻血ではないとなんとなく良樹は思った。
どんどん殴るゾンビの男に対して千香は艶のある声を出しながら、言い出す。
「いいよいいよぉ!! このボクをもっといじめてよ。というかソラみたいに容赦なく殴ってよ!!」
「ウ、ウア……」
「オイ、あのゾンビもドン引きだぞ……」
ドMの中のドM。千香という少女にこの程度の攻撃力ではソラにいつもされてることと変わりないようだ。
ゾンビの男は趣向を変えて、今度はチェンソーを出して切ろうとする。さすがの千香もそれには回避し、距離をとった。
「ぶーぶー。打撃にしてよー」
「ウアァァァァア!!」
ゾンビの男はチェンソーをあげて「くらえェェェェェ!」と言わんばかり、千香に襲いかかる。するとゾンビの男の側面にある壁にヒビが入ったと瞬間あと、そこから筋肉モリモリの青年が千香とゾンビの男を壁ごと殴り飛ばした。
「な、なんだ!?」
「エヴァ初号機!」
「シンジくん……!?」
「いや、お前ら二人は何言ってるの!? てか、誰だよお前!?」
「シンジくん」と言った彼女は良樹のツッコミと共にいつの間にか消えた。
そして、二人を、壁をぶっ飛ばして登場する行為をした男――――それは千香とある意味同じ属性の男。
「マッスルに不可能はない!! 見よ、そこにいる少年少女達。このすばらしき筋肉!!」
「衛くん、なんかぶっ飛ばしたで」
「知らぬ。そこにいるヤツが悪いのだ」
「反省しろやアホ」
壁から現れたのは、衛とはやて。そして二人の担任である宍戸結衣がいた。
友江マミは持田哲志と持田由香と行動していた。マミは持ち前のお姉さん属性で、由香と仲良くなり、哲志に的確なアドバイスを与えて精神的に楽にさせていた。
そしてパニックになっていた森繁朔太郎を縛って引きずっていた。
「た、頼む。いいからこれを解放」
「だーめっ。また暴れたら大変だから、ね♪」
「ねー♪」
「……なんだろう。彼女の背後に黒髪のロングの子のスタンドが見える」
そのスタンドの名前はアケミと呼ばれてることを哲志は知らないが、まあなんにせよ。
マミ達は無事にはぐれた友達を探していた。そんな中、良樹と同じように前から何かが現れる。
それは服など着ておらず、身体中は傷らだらけ、そして――――
「ふおォォォォォ!!」
パンツを仮面にしてTバックをはいていた変態がいた。
「ぎゃあーーーーーッ!!」
「うわあぁーーーーッ!?」
男達は変態仮面の登場に号泣した。……悲しい意味で!
だって、目の前にTバックをはいてパンツを仮面にしているムキムキのお兄さんがいたら、泣くよそりゃ。
「マミねえちゃん、あの人。なんで何も着てないの?」
「そういう趣味の人だからよ」
と微笑んでマスケットを脳天にぶちこんだマミに男達は戦慄した。容赦のない一撃だった。
しかし変態仮面は避けた。そして窓から飛び降りて逃げ出した……。
デデーン!
『哲志、朔太郎。アウト~』
「「は?」」
二人は謎のアナウンスにキョトンとしていると朔太郎の後ろから全身黒タイツで、プラスチックバットを持つ男二人が、朔太郎を解放してからケツをしばく。
「あがっ!」
「いだっ!」
黒タイツの男達はしばいた後、その場から走り去ったのを見てマミは呟く。
「絶対に驚いてはいけない24時かしら?」
「あ、由香も知ってる! テレビでやってる番組でしょ?」
「テレビ番組の撮影現場かしらここ?」
呑気に呟く二人に、そうなのかと男二人は考えるが後に待つドッキリの刺客にしばかれるのは男のみだった。
その頃、とある場所にて。
「ヌフフフ、楽しんでるかなぁ。友江ちゃん」
「あ、アンタ何者なのよ……」
「ヌフフフ、それを今さら知ってどうするのぉ?」
「ヒィッ。あたしにそのぶるぶる震えるキノコみたいの近づけ―――きゃあァァァァァ!!」
一人の少女が
(ソラside)
どうもソラです。さっき女の子の悲鳴が聞こえた気がしましたが無視します。
うん、だって。恐怖の悲鳴じゃなくて、なんか変態に襲われた悲鳴っぽいから……。
それはさておき、さやかがめり込んでいたところに遭遇したオレ達は、オレ以外はさやかを助けることに成功した。
オレは何をしていたか?
幽霊少年と幽霊少女を捕獲していたけど?
「さあ、お前らの目的を話せ。さもなければ、お前の鼻の毛を引っこ抜く刑を執行するぞ」
『地味に嫌だ! ってなんでこのおにいちゃん、あたし達に触れられるの!?』
「あん? んなもん、気合いと根性と殺意でなんとかなるだろ」
『どんな理屈なのかわからないし、最後のおかしい! って痛い痛い痛い! ホントに抜かないでぇ~!!』
どういうつもりか聞いてみたがあんまり芳しくない答えだった。サチコちゃんに言われたからとか言う理由やなんとなくとか、もう気分とノリでこんなことをしていたようだ。
当然ムカついたので、みんなの前で公開お尻ペンペンしてやった。女子も関係なくしたので、少女達はお互い抱き合って泣いていた。
「ひ、ひどいわこれは……」
「うちの弟がだいぶマシということを改めてわかった……」
「というかナチュラルに幽霊を殴ったり、叩いているけどどうしてなのかしら……?」
「あー、直美と世以子だっけ? そんなの簡単な理由だ。
――――それがソラクオリティ」
「「納得。つまり化け物ね」」
中嶋や篠原もひどいことを自然に言いやがる。それからオレ達は、さやかが目覚めるまで待った。
本来なら、はぐれたみんなを捜しに行かなければならないが、どうもなかなか目覚めない。
やれやれと嘆息を吐いていると、オレの目の前に赤い服の少女がいる。
その少女は俯きながら笑っていた。
『ひひひ、あははははは!! あはははははははははははははははははは!!』
耳障りな笑い声。どうやら彼女にとってオレ達は格好の獲物のようだ。そんな彼女にオレは、
「うるせぇな!! 黙っとけ!」
『きゃぶぅ!?』
幽霊達を少女にぶつけてやった。
オレにとって彼女は何か?
ただのぶっ潰す敵ですが何か?
赤い服の少女はオレが物理攻撃ができるや否や逃げ出したことを追記しておく。
ヨシカズ: 原作の敵キャラ。変態化する予定
エヴァ初号機!?
シンジくん! : 第十の使徒との見せたあのシーン。ダイナマイトエントリーであやり
篠崎あゆみ: 原作キャラ。ある意味被害者で千香のセクハラ対象
岸沼良樹: 原作キャラで我らの不良。何気なく彼も主人公になれそうな気がするのは気のせいだろうか……?
持田兄妹: 原作キャラで兄が本編の主人公。なんの苦もなく進む
森繁朔太郎: 原作キャラ。演劇に優れているが、なぜか哲志と同じく芸人キャラに……
黒髪ロングのスタンド: 人はそのスタンドをアケミホムラと呼ぶ――――って、こっちのほむらが霊的に具現化したものではないか……?
変態仮面: ティーバックを身に付け、パンツ仮面にしている変態。初対面ならば絶対ビビる
絶対に驚いてはいけない24時: 年末に放送されるバラエティー。絶対に驚いていけない。驚いたら尻をしばかれる(笑)
霧崎凍孤: 原作では自殺予定だった少女。保健室に閉じ籠ったことによりノエルに遭遇。結果、イロイロされました(笑)。ちなみに彼女の同級生は既にノエルに襲われており、狂人キャラとして目覚めて心を走り出した刻命祐谷は彼女の無敵さに降伏し、オタクへとなった。凍孤さん、頼むから彼を元に戻して……(by刻命兄)
赤い服の少女: 篠崎サチコ。初対面からソラに殴られたかわいそうな女の子。そして次に彼女を襲うのは……?