ゴッド編、ではどうぞ。
春が終わり、夏休みに入った。四年生になったオレ達は変わらない日常を歩んでいた。
はやてがここの小学校に転入し、相変わらず衛とイチャイチャしている。
なお、シグナムとヴィータが口から砂糖を吐き出すという芸当を身に付けており、シャマルさんは目を血走り、食い縛りながら二人を見ていたのを目撃したときはびびった。
あの人、一応モテる容姿だが、コスプレに目覚めてからは残念主婦まっしぐらである。
これには関係ない話だが、ザフィーラは公園で青いジャージを着たおじさんに「ヤ ら な い か」と迫られたと言っていた。
一人で散歩することがないように言っておいたが、家の中でははやてと衛がイチャついているわけで、彼には耐えられないようだ。
そのうち、そのおじさんにヤられるかもしれないな……。どうでもいいけど。
そんなわけで、オレ達の身体は徐々に成長していた。女の子はやや胸を膨らませ、男の子は少しだけがたいがよくなる。
まどか達のスキンシップに少しだけ照れてきたのはオレの秘密だ。クラスもまた、さやかと杏子を加えたメンバーで担任は変わらずの早乙女先生。
またフラれて、合計十五連敗へ到達した。その度に、どうでもいいことを中沢くんに聞く。
哀れ。彼がいつか女性とはめんどくさい生き物と決めつけて、衆道に走らなければいいが……。あ、衆道ってのはBLね。
戦国時代とかでは普通だったって聞いてる。
ちなみに高町とオリ主くん、フェイトは管理局のミッションらしく今日はいない。オリ主くんはどうでもいいが、はやての友人として無事でいてほしい。
オリ主くんはど う で も い い が。
終業式が終わり、オレ達が下校していると、横断歩道の前に黒い渦があった。
オイ。なんでいかにも怪しいですって言いたげなブラックホールがある。
「あれ。明らかに近づいたら吸い込まれるよね」
「大人しくしてろよ千香。お前がある意味一番危ない。トラブルを起こす意味で」
「やんっ。ソラに心配されちゃった♪」
「確かに心配されてるけど、ちがくね?」
ゴゴゴゴゴッとブラックホールは何かを吸おうとしている。いや、何を吸うのかわからないが、とりあえずいらない本を投げてみた。
「あぁ! ボクの衛×ザフィーラの本がぁ!」
「誰得なんだよそれ」
そんな本はブラックホールに吸い込まれる。ブラックホールから何やら「なんで!?」「きゃあァァァァァ!?」「……オイオイ」などと小さな声が聞こえる。
誰かがいるのか?
「ボクの数ヵ月の努力がぁ~!」
「ちなみにアレ。どれくらい売れた」
「十万冊刷ったら、二十分で完売した」
……衛。お前の恥態が全国の腐の淑女に愛されてるぞ。
哀れな……。
「ソラ×衛だと意外に百万冊も売れたよ」
「何やってんだお前はあァァァァァ!!」
なんてことを! そして精神的にダメージがきたわ!
「だ、大丈夫よソラくん。別に誰もソラくんがモデルなんて……」
「あ。あの子、『オレのアレに乗っていけ』のソラくんにそっくりだよ」
「ホントだぁ。世の中って偶然があるものねぇ。まさかアマガセさんの作品と似ている人がいるなんて」
「もしかしたら、作品のモデルかも?」
「そうかもねぇ~」
と通りすぎる女子大生。マミさんは顔をひきつらせながら、オレに言う。
「……ごめんなさい」
「そんな慰めいらねぇよ!!」
泣きたい! というかもう外に出たくない!
なんでこのタイミングでモデルがオレだったことが判明した!? 最悪じゃねぇか!
「まあまあ、そんなことよりソラくん。あのブラックホール、どうしよか」
「まどか、やーっておしまい!!」
「あらほらさっさー!」
「本日のドッキリびっくりメカだコロン」
ノリノリなまどかとほむらはブラックホールを消滅させようと『神器』を喚び、魔力をため込む。すると、後ろからはやてと衛がこちらに向かっているのを見た。
どうやら同じく帰り道らしい。まどかとほむらが魔力矢を放とうとしたとき、ブラックホールから触手が八本生えてきた。
「きゃあ!」
「ちょっ」
「んなっ!?」
さやか、マミさん、杏子を縛り上げ。
「えぇー……」
「まさかの拘束プレイ!?
ボクを薄い本のようなことするんだね!」
オレと千香が拘束され、それぞれ引っ張られる。意外に強い拘束で最低三十秒くらいないと解けない。おまけにこの引っ張る力がスゴくてあっという間にブラックホールに近づく。
これは明らかに巻き込まれだろう。オレは『そげふさん』じゃないのに……。
まどかとほむらはオレの手を掴もうとしていたが、虚空を掴んだだけで、手を伸ばしている。そんな中、オレは彼女達に言いたいことがある。
「あ。まどか、帰ってきたら宿題写させて」
「誘拐されてるのに言うことはそれなの!?」
「さすがはソラね……」
呆れられた表情を最後にオレ達七人はブラックホールに呑み込まれた。
さて、いったい誰の仕業だろうな……。
(??side)
ソラ達が呑み込まれる前、五木雷斗は学校が終わり、ノエルに連れられていた。彼女は買い物袋を手に持っている辺り、どうやらスーパーに寄っていたようである。
「にゅふふふ、さすがライトくん。ワタシが望んだものを手に入れてくれたねぇ♪」
「ありがとうございます。ところでお姉さん。なぜ息を荒くしてるのですか?」
「ショタに興奮しないお姉さんはいない……!」
「謝れ。全国のお姉さまに謝れ」
世界中のお姉さんをショタ大好き人間と宣言したこの女性に雷斗は、普段から敬語なのに、最近はツッコミになると抜けてしまうのだ。
(何が起きてるんだ……俺に)
何かに引っ張られているような気がしてならない。そんなとき、雷斗を呼ぶ声がした。
紫のロングの少女である。すずかは雷斗を見つけて話しかける。
「こんにちわ。雷斗くん、元気だった?」
「はい。月村さん、今日は一人ですか」
「うん。アリサちゃんが急な用事で車で帰っちゃって。それにすずかって呼んでもいいんだよ?」
「いえ、誘拐されて助けてくれた恩人に気安く名前で呼ぶことなど」
「もう、頑固なんだから」
彼の生真面目な返事にすずかは微笑む。雷斗は視線を逸らしてしまったが、それは彼女の笑みが眩しかったからだ。
美少女と言えば、納得できるかわいい少女に微笑まれると誰だって気恥ずかしい。
「むむ、ライトくん。照れてるね。お姉さんという身がありながら他のおんにゃの子にデレデレする悪い子はこうだー!」
「むぶっ」
ノエルのロッキー山脈がライトの顔を埋め尽くす。彼女の魔乳が雷斗を窒息させようとしていた。
「ちょ、こんな公衆の前でそんなことしたら……」
「にゅふふふ、甘いよ。ヴァンパイアガール。恋とは常に戦争。こうやってアピールしないと男の子は他のメスにとられてしまうのさ!」
「逆にトラウマになるのでは……。ってなぜ私が吸血鬼と!?」
「え、なんかヴァンパイアの格好したらセクシーだと思ってつけたあだ名なんだけど。不服?」
「あだ名なんだ! …………びっくりした」
「そんなことより、ライトくん。キスしよう。むちゅー♪」
「だからこんな公衆の面前でしないでください!!」
いつも通りだ。ノエルのフリーダムに巻き込まれるすずかに、雷斗は同情していると前にブラックホールが現れる。そのブラックホールは雷斗を呑み込もうと吸引し始める。
「ちょ、なんですか。あれ!」
「にゅ? まさかご招待ってヤツ? ならば、その挑戦受け取った!! このワタシが出向いてミックミクにしてやんよ!」
「ノエルさァァァァァんッ!? なんで俺を抱き締めたまま突撃してるのですか!」
「ライトくんはワタシのパートナーデジモンだから当然なのだ!」
「進化しませんよ」
「大丈夫。いざとなったらこの紋章でワープ進化させるから」
「どこで手にいれたの。その紋章!?」
ノエルは雷斗を抱き締めたまま、ブラックホールに突撃。それに慌ててすずかもついていき、遂にこの場には誰もいなくなった。
こうして彼らはホラーハウスへと案内された。
しかしホラーが必ずホラーになるとは限らない……いや、限らないではなく絶対に『なくなった』。
なぜなら『無血の死神』と『混沌の神器使い』。
この二人が現れると、悲劇は喜劇と笑劇へと変貌するのだ。
――――さあ、馬鹿で、面白い劇場の始まりだ
青いジャージのおじさん: 例のアノ人。関われば「アーッ!」になる
中沢くん: 我らのステータス。確か中の人はキリトくんだったような?
『オレのアレに乗っていけ』: 薄い本。コミケにて販売中(嘘)
本日のビックリびっくりメカだコロン: ヤッターマンの名言。そういえば夜のヤッターマンというアニメではあのサイコロは出ないだろうか? いや、敵なのは確実っぽいが
そげふさん: 学園都市のあの人。なんかそのうち、神様だって殺してみせる!とか言いそう。両儀のあの人ではないが
月村すずか: 彼女の良い女子力とは裏腹に実は腹黒ではなかろうかと言うと可能性が……。
ノエル: 我らの変態淑女。彼女に関わると必ず変態になるか、胃炎になる
デジモン: 春にアドベンチャーがやる予定らしい。実際はわからないが
紋章: 『狂気』の紋章。……これ、絶対に暗黒進化させる紋章だと思うよ
ホラーハウス: ホラーは必ずシリアス。そこにギャグとカオスを入れるとモナーになる