とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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テスト終わったぁ……。
とりあえず、番外編を考えておかなければ……。



第三十六話 なぜお前は……

 

 

 

「ただいまー」

「あ。おかえりー」

 

 いつも通りにそういうとまどかは返事してくれた。

 そんなまどかの返事を聞くと、銀髪の女性が驚いていた。

 

 スルーしてとりあえず、戦況をみた。

 

 オイオイ、帰ってみるとさやかとシグナムが戦っており、他の連中も守護騎士達と戦っていた。

 まどかの説明によると、管制人格の女性がオレ達を倒すために召喚したらしい。

 

 どうやら蒐集した魔力から神器使い達の情報を得て、それを判断した上で召喚したようだ。ご苦労なことだ。

 

「なぜお前がここに……!?」

「普通にドア開けて帰って来たのだけど?」

「普通じゃない! お前は幸せな夢を望まないのか!?」

「夢? ああ。あれのことね。ムカつくほど良い夢だったかもね。否定しない。あれは深層心理の願望かもな」

 

 だけど、とオレは続ける。

 

「オレが見たかったのは、一緒に戦ってきたヤツらの夢でよかったんだ。なのに、お前はいらないモノを出してくれてムカつかせたから目が覚めたんだよ」

「馬鹿な……。あのような悪夢を見たいと思っていたのか!」

 

 彼女が言っているのはおそらく、戦争の頃のときだ。

 

 多くの仲間と同士が散る世界。オレにとっての一生忘れてはならない後悔と懺悔の前世。

 

 はっきり言って普通は見たくないだろう。しかし、オレはそんな夢を見る。見るべきだ。

 

 こいつのやったことは過去を否定することだった。

 

 過去があるから今のオレがいる。

 過去にこんなことがあったから強くなれた。

 

 彼女が言う夢は悪夢ではない。今のオレを肯定するものだ。

 

「ま、今のオレの夢はこいつらと馬鹿やって、笑って、泣いて、怒って、喜んでいられる今このときを生きてることだ。あんな偽物ごときでオレは眠ってたまるかよ」

「私がその夢を見せれば、お前はそこにとどまっていたのか?」

「両親が出てたら、また同じことしてたけど♪」

 

 ニッコリ笑って、そう言うと女性は悔しそうに歯を食い縛る。

 

 んで、まどかさんや。「プロポーズされちゃった…………!」とか言って頬を抑えてブンブン首を振るな。

 

 プロポーズじゃねぇからな。……そうだからな!

 

「はうぅ、やっとソラくんのデレが見れて私は幸せだよぅー……」

「はぁ、もういいや。衛ー、ちょっといいかー?」

 

 衛はザフィーラと戦っていた。ザフィーラを蹴り飛ばした彼はこちらに振り向く。

 

「今、ザフィーラと筋肉で語り合っておる!! あとで――って我が友!?」

「ちょっと八神起こして来て」

「しかし、そんなことが」

「できるからさっさと起こしてこい。異論は認めん」

 

 オレはそう言って『神器』を衛に投げ渡した。

 

「お前が行きたい場所を思い浮かべろ。そしたらそれは応えてくれる」

「行きたい……場所」

 

 衛は目を瞑り、神器をなにもない空間に向けた。ザフィーラが妨害しようとするが、杏子が加勢にきて防がれる。

 

「オラオラァ! 人の恋路を邪魔する駄犬はさっさと死にやがれ!」

「あれが最高にハイってヤツだろうなぁ」

 

 杏子のオラオラ的な槍さばきを尻目に、衛の握る『神器』が光始める。

 

「我は、我が望むのは――――はやての夢」

 

 ガチャリと音がして『ドコでもドア』が展開された。

 

「その扉に飛び込め! 八神がきっといるはずだから!」

 

 オレの声に答えるかのように、衛はドアに飛び込んだ。

 

 ドアは光の粒子となって消えて行った。

 

「まさか……その力で……!」

「そ。オレは吸収されても、すぐに出られるの。理解した?」

「ならば、お前から消すまで」

 

 物騒なことを言ってたくさんの魔法陣を展開する。

 

 やれやれ、仕方ない……………………本気でいくか。

 

「まどか、『団結せよ(コネクト)』って魔法を覚えてるか?」

「確か、自身の魔力を他者に供給させる魔法だって。はっ、まさか。ソラくんは私に魔力奴隷になれと!? だめだよ! 奴隷はソラくんの専売特許なんだよ!?」

「専売特許じゃないし、奴隷になれとか一言も言ってないし、とりあえず自重しろ!」

 

 頭にチョッブを入れてから、オレは自分の魔力とまどかの魔力のラインを繋げる。

 

 まあ、魔力タンクって意味なら間違ってないが。

 

「今回出すとっておきは、はっきり言って神器(全てを開く者)を出しながらだとめちゃくちゃ燃費が悪すぎるんだ。本来ならこれは超短期決戦用なんだ。だからお前の無尽蔵魔力が必要だ」

「そうなの? でも大丈夫なの? ソラくんのとっておきってちょっと危険な気がする……」

 

 鋭いな。確かにリスクはある。なんせ、アレは筋肉痛を引き起こす神器だから。

 

「大丈夫。無茶はするけど、死にはしないさ」

 

 そう言って頭を撫でて安心させる。さてと……。

 

「待たせたな」

「何、お前のとっておきが気になったからな。お前の神器はカギのような剣と知っている。確かに概念にすら干渉できるその力は危険だが、当たらなければ意味がない」

 

 確かにそうだ。それは師匠にも指摘された。

 

 だからこそのとっておき。

 

 

――――オレのもう一つの神器(とっておき)

 

「来い――――『閃光のマント』」

 

 オレの声と共に、祭礼儀ように使われそうな黄色のマントが纏われる。光を表したようなマントである。

 

「馬鹿な……神器は一人一つまでのはずだと!」

「後天的に得る人がいるんだよ。まあ、だいたいそれは奪った『神器』か、継承された『神器』さ」

 

 オレの師匠は死ぬ直前にオレに神器を継承した。

 『閃光』の名を持つこの神器を。その意思を。

 

「いくぜ」

 

 オレは神器を構えて、銀髪の女性に突っ込む。

 

 

 

(管制人格サイド)

 

 

 

 神威ソラ。主曰く、規格外にして型破りな男である。

 

 彼とその取り巻きのせいで天道衛が変態化し、なぜかシャマルもコスプレお姉さんにシフトチェンジしてしまった。

 

 どうしてこうなった……と嘆いていた。

 

 そんな怨敵のような相手と戦うことになった。

 私は魔法陣を展開し、突っ込んでくる彼に備えた。

 

「いくぜ」

 

――――…………え?

 

 突如、彼が私の目の前に現れた。いつのまに!?

 テスタロッサのような速さで移動したのか!?

 

 私は信じられないと思いながら魔力刃を展開し防御体勢に入った。

 

「おら!」

「くっ!?」

 

 彼の斬撃をそれで受ける。予想以上のパワーアップしていた。

 

「チッ、叩き落とせなかったか」

 

 なんというトップスピードとパワーだ。

 

 私の肉眼では追えなかったとは。相当のスピードの上に子どもとは思えない力になっているに違いない。

 

それに――――

 

「まさかスピードだけでなくテスタロッサと同じ魔力変換資質があるとはな」

「まりょくへんかんししつ? なんぞそれ。オレは単に電気属性を身体と神器に付与しただけだし」

 

 だとしたら厄介だ。魔力を変換してないとしたらそれは魔力無しで電気属性の攻撃ができるというわけだ。

 

「この『神器』の真髄はまだまだこれからだぜ?」

 

 そう言った直後、再び見えなくなった。

 

 ヤツの動きを計算し、予測――――完了。魔力反応を察知し、彼の居場所と目的がわかった。

 

 北北西からの奇襲か!

 

「そこだ!」

 

 私が放った魔力弾は移動し終えた彼の元に向かっていって直撃――――――――しなかった!?

 

 魔力弾がすり抜けただと!?

 

「どこだ!」

 

 辺りを見回す。発見した。 三時の上空に――――

 

「ここでーす」

「いんや、ここさ」

「いやいや、ここだって」

 

 しかし四方八方から声が聞こえた。改めて見回した。

なんと、彼が分身をしているではないか。

 

「馬鹿な……なんだこれは……!!」

「これが『閃光のマント』の真骨頂――――影分身。高速の果てにある移動をした結果に生まれるオレの残像達さ」

 

 くっ、魔力反応を追おうとしても無数に反応が点滅を繰り返すばかりだと!?

 

 こんな隠し球があるなんて!

 

「いや、待て。ならばお前の魔力供給の人物から狙えば――――!?」

 

 私に向かって魔力弾が飛んできた。

 

「ふふ、遅くなってごめんなさいソラくん」

 

 友江マミか! ヴィータが負けたのか!?

 

「ええ。あの子ったら人の話を聞かずに罠がある方へ、ホイホイと向かってくるものですから。思ったより早く終わったわ♪」

「耳が痛い話だ……」

 

 ほら、と友江マミはリボンど煤巻きにされて目をグルグルさせたヴィータを見せる。

 

 呆れる他はあるまい。

 

「さてと、弱点はもうないぞー?」

「っ……!」

 

 彼の声がする方向を見る。いつの間にか朱美まどかを友江マミのところに連れていた。

 

「早くしないと主ごと葬りそうだぞ衛。ま。お前ならできると信じてるけど」

 

 彼はクククと笑って、朱美まどかと友江マミを含めて彼は私に向かって言う。

 

「充分生きたでしょ?」

「満足して生きたでしょう?」

「そういうわけだから――――」

 

「「「――――安心してとっとくたば(れ)(ってね)(りなさい)」」」

 

 処刑申告された私の震えはまだ止まらない。

 

「私は負けない!!」

「オリ主くんシールド!!」

「ぐぎゃあァァァァァ!?」

 

 ……そして戦闘中に、天宮草太は神威ソラによって、私の砲撃を防ぐ、使い捨て装甲盤されていたことも忘れない。こいつ鬼だ。

 

 

 

(衛サイド)

 

 

 

 真っ暗な闇の中を我は進む。

 その空間は足場はなく、浮いて前に進むようなところだ。

 

 我は今、はやての夢に向かっている。

 

 一寸先も真っ暗な世界で一人だけで進むのは心寂しいが、友に背中を押された我には怖いものはない。

 

「どこまであるのだ。この闇は?」

「そだねー。わたしちょっと疲れちゃったー」

「そうか。……………………は?」

 

 我の後ろに誰かいたか?

 いや、確かここにいるのは我だけのはず…………。

 

「ここだよん♪」

「っ!?」

 

 我が声がした方向に振り返ると、「やっほー」と手をヒラヒラしたフェイトが……………………いや違う!

 

 フェイト・ハラオウンはまだ夢の中にいるはずだ!

 

 ではこの瓜二つの少女は誰だ!?

 

「貴様……何者だ? この天道衛が気配に気づかずに背後をとるとは」

「あれれー? 警戒されちゃった? ごめんねーちょっとイタズラしちゃおうと思っててね♪」

 

 ありえぬ。イタズラのつもりで我が気配を察知できなかっただと? 

 

 師に認められた気配察知だぞ? それを気づかせないコイツはいったい……。

 

「天道衛くんで合ってる?」

「そうだ。その名で名乗った通りだ。貴様は何者だ?」

「わたし? ふふん、わたしはねー」

 

 その少女の名前は知っている名前――――

 

 本来は生きてるはずがない少女の名前――――

 

 

 その少女は口に出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――アリシア・テスタロッサ、と

 




『閃光のマント』: ビリビリモード。金色に輝く身体が瞬間移動するその姿からライトは『閃光の神器使い』と言われた

アリシア・テスタロッサ: プレシアの愛娘。アルハザードの医療は世界一ィィィィィ!!なので蘇生されたある意味ご都合主義なキャラ。お転婆娘なのはプレシアさんの幼少期とそっくりらしい。性格は遺伝されたが身体は遺伝されてないので将来は合法ロリになる可能性が?

番外編: 考え中。ちなみにシーズンは夏。

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