・ソラのファーストはあの子だった件
・やはりソラは不幸
激闘の轟音が鳴り響く中で、あっという間に衛とオリ主くんの戦いは中盤戦に持ち越した。
オリ主くんが剣を降り下ろせば、衛は腕で受け止め。
衛が上段蹴りを放てば、オリ主は動体視力と直感で回避した。
「普通はその腕は斬れるだろ!」
「マッスルパワーの前では無意味! 鋼の肉体の真髄を見るがいい!」
「こいつ。どうかしてるよ!」
オレもそう思う。
後、なんか目がおかしいのかな? 衛が五人になった。いやマジで。
「僕の目はどうかしてるかな。天道衛が五人に増えたように見えるのだが」
「アームストロング少佐の秘技の一つの残像拳だよ♪」
「いやあり得ないだろ! 残像って実体のない分身だよな? あれ、思いきり実体になってるよな!?」
クロノ少年の言う通り五人同時でオリ主くんを集団リンチしてる。実体なければあの四人はなんなんだよ…………。
「なんかオレより強くなってね?」
「そうだねー。肉弾戦に持ち込まれたらおしまいだよ、あれ」
まどかの言う通りである。
衛が一旦距離を取り、それを追撃するオリ主くん。衛は一息を入れて、叫ぶ。
「マッスルスパーク!!」
「ぐぁァァァァァ!」
「出たァァァァァ! 身体の生態電気を放出させる奥義マッスルスパークだァァァァァ!!」
まどかのテンション高めに解説する通り、身体から放電され、オリ主くんは感電してしまい、クラクラと空中に浮かんでいた。
「あれって人体でもできるの? 解説のまどかさんや」
「今の天道くんは千香ちゃんレベルの変態だから当然できるよ」
「ああ、そうなのね……」
やはり変態は最強か…………。もうやだ……。
非常識過ぎて精神が摩耗して正気になれないや……。
「もー、疲れた……」
「ソラくん、休みたいなら今日は帰って私とベッドインしようよ!」
「君は公務員面前でなにを言ってるんだ!?」
「ああ、そうだね。もうそれでいいや……」
「神威!? 帰ってこい。頼むから!」
もう何も怖くない。
全て委ねようと思った。すると誰かが優しく顔を抱いてきた。
「ソラくん、もうがんばらなくていいわ。あとはお姉ちゃんが守ってあげる」
「ああ……お姉ちゃんの身体、暖かいやー……」
甘いニオイがするなー……。
後、最近大きくなった微かな膨らみが心地よい。
「む? この女。タイミングよく現れて『無血の』をデレさせたな」
「ソラくんの甘えさせるなんて好感度上昇をはかるなんて、マミさん恐ろしい子!」
「ふふ、弟を甘えさせるのまもお姉ちゃんの特権です♪」
まどかが吠えているがなんにも聞こえないことにした。
あーなんにも聞こえないー。ボクわかんなーい……。
「フォォォ! たぎって来たぞ天宮ァァァァァ!!」
「こいつ化け物か! 俺の『ダークインパルス』を生身で受けきっただと!?」
「お返しだ! ゆけい、芸術的な魔法を!」
轟音と共にオレのSUN値が元に戻った。
はっ、オレは何を!?
正気に戻ったとき、衛は魔法陣を展開し、ポーズ取ったマッスルの形をした衛の魔力弾が浮き上がり、それをオリ主くんに向けて発射。
なんとか避けることができたが顔がかなり引きずって、苦笑をしていた。確かに当たりたくないな。あれ。
「あ、マミさんもういいです……」
「あら、残念」
「正気に戻ったね……あと少しで洗脳しようと考えてたのに」
「何気に恐ろしいことを考えていたまどかに戦慄を覚える」
そんなやり取りしていると、衛は真っ直ぐにオリ主に突っ込み、正拳突きの構えをとる。
「くらえ、師匠直伝! 『マッスルゥゥゥインパクトォォォォォ』!!」
「ぐ、ァァァァァ!?」
その正拳突きでオリ主くんはビルを貫き、地面に叩きつけられた。
ジュッドォォォォォォンとどっかの野菜星人のような音と共に砂煙が舞った。
砂煙が晴れたとき、オリ主くんはピクリとも動かなくなったが、千香が近づいて生存確認。
あ、なんとか生きているらしい。
「見たかこれこそが芸術的筋肉と芸術的奥義! エクセレントエレガントなりィィィィィ!!」
「無駄に暑苦しいなオイ」
ポーズをとる衛にツッコむ。
するとオレの呟きと同時にオリ主くんの元に新たに二名が叩きつけられた。
フェイトと高町だ。アルフは千香によってビルの屋上で縛られて、ハァハァと興奮した息をあげている。
そういえば、千香が『アルフは縛って目覚めさせる』とか言ってたな……。
あいつ、戦いの最中レフリーだけでなくそんなこともしてたんだな。
「全滅だな」
「全滅だね」
「帰りましょうソラくん」
「いやそう簡単には帰せない。同行してもらおう」
キアラとクロノ少年は仕事しようと杖を構える。ぶっちゃけ、オレらにはこんな結界意味ないし。
というかね――――
「衛くんが結界壊そうとしているよ?」
「えっ?」
指さす方向には正拳突きの構えをとる衛。
「『マッスルゥゥゥインパクトォォォォォ』!!」
ガッシャァァァァァンッ!!
ガラスが割れるような音がし、結界は壊された。アースラ組や守護騎士達も唖然である。
後から聞いたけど、あの結界結構頑丈だったらしい。
それを物理的に破壊したらそりゃビビるわな。
その隙に『ドコでもドア』を展開してオレ達神器使いは逃げる。
「『無血の』。待っていたまえ。今度こそ、必ず手中に納めてみせるぞ」
「やってみなキアラ。オレがほしければオレを――――むぐっ!?」
といきなりまどかに唇を塞がれる。そして彼女の柔らかな唇が離れたとき、言った。
「キアラちゃん。残念だったね……ソラくんのはじめてはあなたでもマミさんでもない。――――この朱美まどか様だァァァァァ!」
「調子乗るな」
「ぐぇ~、キブギブ! 絞まってる絞まってる!」
とりあえず、いきなりファーストを奪ったまどかを絞める。男の子のファーストキスは重要じゃない?
男女差別するなよ
「フハハハハ! 見てくれはやて! このエクセレントな筋肉を!!」
「ホンマ誰やあんた!? 私が知ってる衛くんやないで!?」
帰ってきたら、はやては目を開かせて驚愕していた。
そりゃあ、草食系主人公的な少年がいきなり筋肉至上主義者に変わってたらなぁ……。
「まどかちゃんいったい誰を紹介したん? 何があったんや衛くんに!」
「彼はアームストロング少佐という元軍人でマッスル至上主義者の教えを受けて筋肉を武器にするマッスルファイターになったんだよ♪」
「なんでそんな人を紹介したん!?」
「おもし――……彼のためだからだよ♪ ティヒヒヒヒヒ♪」
「今、おもしろいっていいかけたよね!?」
相変わらず黒いよまどかさんや。はやて、ホントにごめん……。
「いやソラくんが謝ることないで。ていうか、なんかザフィーラと仲良くなってるし」
「あいつの人間形態ゴツいからなぁ」
二人同時に嘆息する。すると、ほむらが爆弾発言を投下した。
「そういえば、あなた。まどかとキスしたわね」
「……………………」
「私達が戦っている中で、まどかのファーストを奪い、そしてイチャイチャしてわね……?」
「…………弁明させてください」
ヤバい。オレかまどかかわからないが、確実に嫉妬してキレてる。おまけにさやかと杏子が「オイ、どういうことだコラ」と言った表情を向けている。
唯一、まともなマミさんは「あらあら、モテモテね。ソラくん♪」と笑顔を向けているが、目が笑ってないのは気のせいではない。
ちなみにまどかはイヤンイヤンと外しそうに首を振っている。
さてと……。
「八神、首吊りの縄ある?」
「しっかりしい! 簡単に死んだらあかんで!」
「大丈夫。元々こんな受難ばっかりだったから……もう何も怖くない……!!」
「なんか知らへんけど、それやめて! マミるって絶対!」
マミるってマミさんのことかなぁ? もうどうでもいいやー。
その後、オレは成すがままにボコボコにされ、四人のファーストキスを無理矢理もらわれ、暴走したほむらとまどかと千香が拘束してベッドに持ち込もうとしていた。
それをはやて一人が阻止してくれた。
ありがたやーありがたやー(ぶっ壊れ)
マッスルインパクト: ただの正拳突き。居合い斬りのように間をあけて、ため込み放つ拳はオリハルコンにヒビをいれるほど
マッスルスパーク: 人間の身体に電気が僅かに流れている。そう仮定したアームストロングは生体電気を魔力によって高めて放電奥義を生み出した。……用はナルトの千鳥流しという技。違いは魔力を僅かに使って生体電気を増幅させているので燃費がよいところ
ソラのファースト: ファーストはこのまどか様のものだァァァァァ!!
アームストロング: 近所のおじさん。筋肉のために生き、筋肉のために戦い、筋肉のためにおのれを鍛えあげてきた超人イロモノ戦士。友人に貂蝉、卑弥呼、ジャンヌがいるらしいが――――会わない方がいい。なお、マッスルグレネード巴さんとは戦友である
「もう何も怖くない」: 死亡フラグ。マミる参照
マミる: おまえ あたま わるかじり。そんな描写を思い出させる悲惨な死のこと。ちなみにマブラヴオルタというエロゲではタケルちゃんが恩師のそんな描写を見た。……忘れようのないトラウマを貴方にとはまさにこのこと