とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

21 / 122
(変更点)

・なんと最初は雷斗視点


第ニ十話 五木雷斗は巻き込まれやすい

 

 

 

(雷斗side)

 

 どうも五木雷斗です。なぜか知りませんが巻き込まれた人です、はい。

 確か一つ上の学年の『アリサ=バニングス』さんと『月村すずか』さんでしたっけ?

 その人達の事件に巻き込まれてここにいます。

 

 どうも俺には関係ないことなのに、その場に近くにいたという理由で連れて来られた挙げ句殺されそうになりました。

 ずっと静かにしていると桃色髪の女の子が真正面に向かって言った。

 

 なんでも彼女には救いのヒーロー的な人がいるそうです。俺には到底理解できないことだった。

 

 そんな最中、爆発が起きて部下の一人がゴム弾で撃沈した。

 薄汚い廃工場にて、誰もが刮目した。ヒーローのごとくその男女は堂々と真っ正面から現れたのだ。

 

 一人の少女は『グロック17』を片手に黒スーツの連中に向けて構え、もう一方の手で鎖を掴んでいた。

 

 一応、鎖は武器ではない。

 

 理由はもう一人の少年でわかる。

 

 少年の片手にはカギのような黒い剣と――――首には鎖で繋がった首輪。

 ザ・ワンちゃんな状態であった。

 

「なんで神威に首輪がついてるのよ!?」

 

 ごもっともです、バニングスさん……。あとソラ、なんでそんな死んだ魚の目なの?

 

 

 

 

(ソラside)

 

 

 

 

 バニングスのツッコミはもっともだよ。ここに来るまでにほむらにいきなりつけられた。

 外そうにも外れないとても強力な首輪である。

 

 なんでオレにこんなものをつける必要があるんだ?

 

 そう聞くとほむらは、

 

 

「私の願望という名の趣味よ!」

「堂々と言えることそれ!?」

「そう私の名前は朱美ほむら…………趣味とネタには全力全開が私のモットーよ!!」

「力に注ぐ方向がなんか歪よあんた!」

「さすがお姉さま! 同感だから後でそれ貸して!」

「朱美妹!? あんた鼻息荒くして何するつもり!?」

 

 バニングスがツッコむものの、朱美姉妹は愉快そうに笑うばかり。

 

 シクシク…………彼女達にとってオレはオモチャなんだね…………。頼むからバニングスと月村、それに呆然としている雷斗よ……。同情するなら助けてよ。

 

 誰か癒しをください。

 

「逝きなさいソラ。かみつく攻撃!」

「ウガァァァァァ! もう焼けクソじゃコノヤロォォォォォォォォォォ!」

 

 オレの怒りのキャパティシーは越えた。

 どこぞのポケットに入るモンスターのごとくヤツらに向かって駆け出した。黒スーツ連中は撃ってきたが神器(全てを開く者)を盾にし、一人の男の頭にかぶりつく。

 

「ぎゃァァァァァ!?」

「部下二号ォォォォォ!」

「撃て! 撃て!」

「だめです! 撃てば部下二号まで巻き添えです!」

 

 混乱した中でほむらもまた『グロック17』で彼らの銃を撃ち落とした。そして、茫然としていた一人に華麗に自身の美脚で踵落としを決めた。

 

「蹴り心地悪いわ。やっぱりソラじゃなくちゃ」

「気合い入れてあいつを満足させろやコノヤロォォォォォ!」

「なにそのりふじ――――ぎゃあァァァァァなんか吸われるゥゥゥゥゥ!?」

 

 とある吸血鬼さんから伝授してもらったエナジードレインという魔法である。

 魔力、活力、生命力などあらゆる力を吸いとれる。

 

 まあ個人の絶対量までしか吸えないけど。

 

「こいつも夜の一族!?」

「誰が淫乱だとォォォォォ!?」

「そっちの夜じゃねェェェェェ!」

 

 関係ねぇ! 全員一人残らずぶっ潰す!

 オレは次の獲物に噛みついた。

 

「ね? 王子様が来てくれたでしょ?」

「いやアレ王子様!? 怒り狂った番犬にしか見えないのだけど!?」

「王子様はほむらちゃんだよ。ソラくんは……………………うん、その、犬でいいかも」

「そっち!? ていうか神威は犬なの!?」

「というかもう獣になってるよね?」

 

 あーあー! 聞こえない!

 雷斗とバニングスが何か言ってるがもう知るか!

 全員倒れるまで噛みつき、吸いとる!

 

「待て! 月村は吸血鬼だぞ!? なぜ化け物を助けようとするのですかァ!?」

「知るかボケェェェェェ!」

 

 頭っぽい人の顔面に懇親の右ストレートが入る。

 水平に吹き飛んだソイツはほむらに向かっていき、そしてトドメとばかりの踵落としが彼の頭に入った。

 

「シスコンは妹に関わると最凶よ。よく覚えておきなさい」

「なにその色々台無しな決めセリフ!?」

「ギャオォォォォォォォォォォスッッッ!」

「神威、お願いだから正気に戻って!」

 

 勝利の雄叫びをあげるオレに

 バニングスはツッコむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒スーツ達を縛りあげ、バニングス達を縄なら解放した。傷はなく、なんともなくて安心である。

 なお、先ほどの雄叫びで雷斗は気絶した。過去に犬に対してのトラウマが復活したのだろうか?

 

「どうするつもりですかァ……」

「財布あるなら出せ。オレの軍資金にする代わりに見逃してやる」

「どこの不良男児よあんた!」

 

 だって遊ぶ金ねーもん。さっき、まどかのデートでめちゃくちゃ軽いもん財布。

 

「つーか、さっき聞いたんだけど月村って吸血鬼? いやほんとマジ? 『WRYYYYYYYY!』とか言って時間停止できるの?」

「できないし、私、DIO様じゃないからね神威くん」

「じゃあ、『うー☆』とか言ってスペルカード使えるのかしら?」

「うちは紅い館じゃないよほむらさん。生まれ故郷は幻想卿じゃないから」

「じゃあ、血を吸えば目からビームとか、ボディービル顔負けの肉体変化が起きるとかは?」

「そんなイロモロ吸血鬼いないよまどかちゃん! ていうか、もはや元ネタはどこなのそれ!?」

 

 うん、さすがいないそれ。ボディービル顔負けの肉体変化が起きる吸血鬼とか見たことないし、見たくないよ…………。

 

 結論。月村家化け物説は――――

 

「「「化け物説ガセじゃん…………」」」

「なんであからさまにガッカリされるの!?」

 

 全員から吐かれた嘆息に抗議してきた月村。いや……だってねぇ…………。

 

「いやーなんか知り合いの仲間がこんなところにいたのかと期待してたから、ちょっとガッカリ」

「初めての吸血鬼がこんなのだなんてガッカリだよ。私のワクワク返してほしいよ」

「ガハラ先生の恋人の(しもべ)の仲間と思ったじゃない。私もガッカリだわ」

 

「アリサちゃん、私もう泣いていい?」

 

 もう泣いてるじゃん月村。バニングスのまっ平らな胸で。

 あとほむら、まさかと思うけどお前がそんなツンドラになったのガハラ先生のせいじゃないよね?

 

 恋人さんの下僕ってキスでショットな名前だった吸血鬼じゃないよね?

 

「なんなんですかァ……なんなんですかァお前らァ!?」

 

 頭っぽい人があげた疑問にオレ達は腕を組んで考えた。

なんだって言われても。

 

「神器使い」

「元女神」

「元悪魔」

 

「ふざけてるのかテメーら!?」

 

 どうやら怒らせたみたいなのでヒソヒソ話の会議を開始。

 

「オイどうしてくれんだよ。まどか、ほむら。お前らのせいであの人ら激おこプンプン丸じゃねぇか」

「仕方ないでしょ。何者かって問われたら、最初に出てくるのは悪魔だし」

「同じく」

「統一しないと逆に混乱するじゃん。それに二人が言ったそれこの世界じゃかなりイタイぞ」

 

 ヒソヒソ会議を始めていると頭っぽい人がキレ出した。

 

「ヒソヒソ話でディスらずさっさと答えろォ! 何者なんだよテメーらはァ!?」

「うっせーな。それを今ディスってるんだから黙ってろ」

「ピーピーうるさいわね。『グロック17』の実弾受けたいのかしら?」

「眼を抉るよ♪」

「なんで自分がここまで言われるの!? つーか最後のヤツめちゃくちゃコワッ!」

 

ツッコミうるさいなぁ。ガムテープで黙らせるか?

 

「いやいっそ『閉じる』か」

「何言って――――……? ……!?」

 

 神器(全てを開く者)を向けて封印砲発射。当たってガチャリと口から音が聞こえ、頭っぽい人の声は『閉じた』のだ。

 声帯を閉じればそうなるわな。

 

「あ、今さらだけど一言で言い表せる言葉あるわ」

「奇遇ね。私もよ」

「それじゃあ一緒に言ってみようよ♪」

 

 まどかの提案を飲んで、一息をついて言った。そのとき頭っぽい人は恐怖のあまり顔を青くしていた。

 

「「「化け物(さ)(よ)(だよ)」」」

 

 それを聞いた頭っぽい人は恐怖のあまり、ブクブク泡を吹いて倒れた。情けないねぇー。

 

「すずか無事!?」

「助けにきたぞ!」

 

 ありま、今さら救出かよ。さてと邪魔者はとっと退散――――

 

「あんた、うちのすずかになにしたのよ……?」

 

 …………えっ?

 なんで睨まれてるの?

 なんで銃口向けられてるの?

 

ちょっと整理してみようか。

 

 泣いてる月村。

 慰めるバニングス。

 知らない少年とその武器。

 

 …………明らかに悪役じゃね? オレ……。

 

「そうよ。月村さんに乱暴して『ズッキュゥゥゥン』なキスを無理矢理したのよ。それで月村さんは泣いちゃって……」

「何あらぬこと言ってんほむら!? ってあれ? さっきいた連中は!?」

「時間停止で外に放り投げたわ。ソラを悪役にするため」

「なんでこんなことするんだよ!?」

 

 ほむらは、妖艶で、満面で、周りが魅了されそうな笑みで答えた。

 

「好きな子をいじめたいってヤツよこれは♪」

「シャレになんねェェェェェ!?」

「オルァァァァァ! うちの妹泣かした男はテメーかァァァァァ!!」

「キャラ全然違ってないお姉さん!?」

「ディア、マイ、シスタァァァァァァァァァァ!」

 

 ウガアァァァァァ!? マシンガンの嵐がきたァァァァァ!?

 

 オレはそれから逃走を開始するのだった。

 

「ほむらちゃん、さすがにやり過ぎじゃないかな…………」

「そうね。でもまどかとデートした彼が少し許せなくてつい、ね。嫉妬しちゃったわ。まどかとソラに……。それに…………」

「それに?」

「今泣いてるソラはめちゃくちゃかわいい!」

「同感だよ!」

 

 ほむらサムアップ。まどかサムアップ。

 マジでそんな理由!?

 

「これはまどかの魔法少女で涙目に匹敵するわ! 激シャよ激シャ!」

「なんか不穏な発言あったけど、私も激シャ! そして泣いてるソラくんを慰めればベッドインになるという策略完成! まどかちゃんマジ策士!」

「私も混ぜてねまどか」

「いいよ♪」

 

 本人そっち退けてなにやってんだお前らァァァァァ!?

 前半ちょっと反省したのに、後半で台無しだよ!

 

「離して恭也! ここで妹を犯したこいつを亡き者しなくちゃいけない使命があるのよ!」

「だからってここでRPGはシャレにならんから! というかソラくん逃げてェェェェェ!」

 

 壁際まで追い込まれたオレはめちゃくちゃ目がウルウルして泣いてたそうだと二人は語っていた。

 

 ちなみにカオスな現場が収まったのは、数時間後の月村とバニングスの説得だったりする。

 

 せめて早く止めてよ。え? なんかキュンときたからあえてしなかった?

 

 彼女たちの将来が不安になった。

 




夜の一族: 微妙に吸血鬼。まあでも一般人より上位かもしれない。『神器使い』と変態に比べたら、弱いが

エナジードレイン: 吸引力のあるただ一つの魔法。

雷斗のトラウマ: 夢の中で得たトラウマ。なんとその夢では犬の格好をした女性に襲われて、いろいろされたらしい

吸血鬼: スタンド使いだったり、スペルカードが使える吸血鬼は知ってるがマッスル化する吸血鬼を知らない作者。もし見かけたら誰か報告してください(笑)

シスコン: 妹が関われば最凶。恐ろしいことに戦闘力が数千倍になるらしい。なお、親バカの場合でも同じ。

月村忍: 原作とは違ってとてもシスコン。恭也さん(ナニ)を毎夜襲ってます

高町恭也: この作品で唯一のまともな超人。女難は父親譲りらしい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。