とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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冬休みじゃあァァァァァ!! 更新じゃあァァァァァ!
ではどうぞ!

(変更点)
・明確な戦闘
・そして黒幕は暗躍する……



第十四話 ジュエルシード戦

 

 

 高ぶる心。それはオレが体験してきたものばかりの感情だ。

 戦いになるといつも心を燃やす。敵意を向ける。神器を握る手を強くする。

 

 水龍は龍らしくない触手を出して、オレ達に攻撃してきた。ニューンではなく、ブボッと空気が破裂するくらいの音を出して伸びてきた。

 オレは神器全てを開く者で切り裂き、千香は盾を使って、防ぐ。

 

 早い。特に伸縮する触手の早さはスゴい。

 

 オレは『エアロフィールド』を増やしながら、水龍に近づく際に、フェイトとその犬に言った。

 

「んじゃ、金髪少女とその犬。さっさとそいつ離れてろ。お前魔力がなくなっているだろ」

「犬じゃなくて狼だっ!」

「まだいけます!」

「うーん、でもやめておいた方がいいよ? ソラに巻き込まれたくなかったら……ね」

 

 千香の声色は冷たく金髪少女に向かって言い放つ。ここから先はオレの動きは早くなる。

 足場を使った機動力をもって飛び回るため、周りに気にしていられなくなるためチームプレイはできない。だから千香も参加せずに遠方からサポートすることを決めたのだ。

 

 金髪少女ことフェイトは納得できなそうな顔になったが、大人しく千香の隣にいた。

 それでいい。足場を蹴り、オレは水龍に向かって斬り込む。スパッと身体を斬られ、龍は激昂の雄叫びをあげた。

 

『ギャァオオオオオ!!』

 

 咆哮をあげ、オレに食らいつこうとする。それを右へ回避し、龍の左斜め下の足場に着地し、また跳躍する。

 

 また斬り込もうとすると、水龍の身体にできた大きな切り傷は水音を立てて、再生されたところを見た。

 

「再生機能があるのか?」

「それじゃ、ボクが動きを止めて『閉じちゃって』よソラ!」

 

 千香はそう言って半透明の檻を造り出した。オレは剣先を水龍に向け、封印する。黒い光線が水龍に直撃した後に再び、接近した

 

「くらえ!」

 

 斬撃でその身体を切り裂く。プシャアと水しぶきをあげた。そして水龍は再生させようとするが、再生が発動はしなかった。

 

 龍の能力を閉じて封印した。解除したきゃオレの解錠の波動を受けなければならない。ま、解除する気さらさらないが。

 

 オレは神器を首に向かってブーメランのように投げつけた。水龍の首は跳ね飛び、光の粒子を出しながらジュエルシードへと変化した。

 

「一丁あがり!」

 

 オレは帰ってきた神器を受け取りながらそう言った。千香は一息をついて近づいた。

 

「やった?」

「いんや……まだだ」

 

 オレが否定した直後、ジュエルシードは今度は数本の竜巻へと変えた。

 第二形態ってヤツか? バラバラに分かれるなんて予想外だ。

 

「フェイトに伝えてくれ。早急に手伝ってくれってな」

 

 本当の戦いはこれからだ。相手は自然災害。油断すればバラバラだな、こりゃ。

 

 

 

 

(フェイトside)

 

 

 

 

 彼の実力は圧倒的だった。水龍をものの数分で、自分が無傷で仕留めた。

 

 すごい……これが神器使い。

 

 反則クラスの能力とその身体スペック。私やアルフが束になっても勝てない相手。

 私は最初に彼と出会ったときに感じたのは忌避だ。

 

 生理的というか、本能的に彼が近づきたくなかった。怖かったからだ。

 

――――畏怖

 

 尊敬と恐怖が混じった感情だった。

 怖い、恐い、コワイ。けど、味方であれば頼もしい。自分なんかが一緒に戦っていい存在ではない。

 

「おーい、お嬢ちゃん手伝ってー!」

 

 彼の相棒がそう言って私を呼んだ。ジュエルシードは今度は竜巻に変わったようだ。

 

「いくよ、アルフ」

「はいよ!!」

 

 私はその手伝いに向かい、竜巻と立ち向かう。

 身体は魔力の枯渇でまだダルい……けどお母さんのため!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァ! 今のあたしは痛みに喜びを覚えた雌犬! こんな攻撃屁でもないね! ハァハァ…………ていうかむしろもっと来いやァァァァァ!」

「アルフが……私のアルフが知らないナニカに目覚めてしまった……」

 

 ほら、神威が顔をひきつらせて同情的な目で私を見てるよ。

 かつてまともだった面影のない使い魔を見て、私は天ヶ瀬千香を怨みを込めた目で睨むのだった。

 

 

 

 

(ソラside)

 

 

 

 

「同士が増えた! 万歳!」

「よし死ね」

 

 千香を竜巻に向けて蹴り飛ばした。「あばばばばば!?」と電撃を受けたような声をあげながら、竜巻に耐えていた。

 そのとき聞こえた艶声と荒い息は聞かなかったことにしたい。

 

「ヤベーそのうちユーノ少年も目覚めてはなかろうか……」

 

 未来ある少年を修羅の道引き込んだかもしれない元凶は自身を巻き込んだ竜巻を一つ倒していた。

 アルフという犬もなんかダメージ負いながらも、魔力弾で竜巻を一つ消しているし。

 

 あいつら不死身じゃね? というか変態属性って無敵?

 

 変態最強説が浮上する中、何やら空から誰かが降ってきた。

 

「時空管理局だ!」

「フェイトちゃん無事!?」

「神威、なぜお前がここに!?」

「おのれ、アルフ! 自分だけご褒美もらってるんだ!?」

「「ユーノ(くん)!?」」

「彼は元からこうだったのかい?」

 

 違うと思う。つーか、ユーノ少年、もう手遅れだったのかい。

 金髪少女はなんか飼い主見つけた犬のごとく涙目ながらの顔を明るくしていたし、そんなに普通の友達ほしかったの?

 

 すると、オリ主くんが状況を聞いてきたので答えてあげた。

 

「ありのままに言えば、プレシアさんに脅されて協力中。イコールフェイトという金髪少女の味方になった。そしてアルフとユーノを目覚めさせたあの変態はまた生身で竜巻に突っ込んだ模様」

「なんだこのカオス展開!? 原作にはなかったはずだろ!?」

「いや原作ってなんぞ? この小説はノリとカオスと変態でできてるギャグ有りシリアス少々ある作品だぞ」

「メタい発言禁止なの!」

 

 原作主人公にツッコまれたでござる。もう……お嫁にいけない。

 

「ボクがもらってあげる!」

「だが断る。変態属性抜けたら、考えてやる」

「解せぬ。変態の何が悪い」

 

 いや心労の五割はお前だから。ちなみに残りはキチガイ姉妹である。誰か助けてマジで。

 

「とにかくとっと封印するか」

 

 オレは竜巻に向けて封印光線を放つ。いやネーミングセンスのはわかるよ? でも『封印』だけじゃ空しいし、わかりにくいじゃん。だから今命名したこの光線を撃った。

 するとあら不思議。封印されたジュエルシードが浮いてるではありませんか。

 

「さて残りは――って終わっとる」

 

 そりゃそうか。高町や金髪少女のような高魔力保持者やクロノ少年やオリ主くんのような経験豊かな人材。

 そして認めたくないが変態三人衆の活躍である。

 

 あの三人の属性って変態であるデメリットがある代わりに最強がついてるではなかろうかホント。

 

「友達になりたいんだ、私。フェイトちゃんともっとお話したい。もっと仲良くなりたいんだ!」

「なのは……さん」

 

 なんかドラマが始まってるし。まどかとほむら辺りが画面に釘つげにしているだろうなぁ。

 

 と呑気に見てたらいつの間にか後ろから剣を向けられてた。オリ主くん、空気読めよ。

 

「動くな。お前にまだ聞きたいことがある」

「いや空気読めよ。あそこでドラマ始まってるだから鑑賞させろよ」

「知るか。どうしてお前が『まどかマギカ』のキャラと一緒にいる? なぜプレシアに協力する?」

「答えを出すならあいつらは前世の友達で、プレシアさんは期間限定のアルハザードへ行きのジュエルシード集めに無理矢理協力させられた歪な関係。理由はそれを断るとなんかうるさそうだったから」

「そんなこと信じられるか!」

「いやー事実なんだけど……。お? まどか、どうした? えっ?」

 

 空から落雷注意ってなんだ?

 ってプレシアが紫の落雷を金髪少女に当てちゃった!

 

 「ひどい……それでも親か」と言いたいが「どうせ親じゃないもん、娘クローンだもん」とか言いそうだ。

 プレシアマジパネェ…………。

 

「ズルいよフェイト!」

「プレシアさんこちらもバッチこい!」

 

 彼と彼女の発言を聞かなかったことにしたい。これ以上犠牲者が出ないことを祈ろう。

 

「な、なんてこと――ぐは!」

「隙ありんす」

 

 オレはオリ主くんを殴り飛ばし、浮いてるジュエルシードに向かう。千香も同様に行動する。しかし、クロノ少年も行動してきた。

 そしてそれぞれが何かを掴んで、通り過ぎた。

 

「チッ、半分しか取れなかったか」

「そう易々は取らせないさ」

 

 不敵に笑うクロノ少年も半分か……………………あれ?

 んじゃあ千香は何を掴んだんだ?

 あいつもなんか取ったみたいだし。

 

「美少年のパンティーゲットだぜ!」

「ブッ!?」

 

バーンと千香が出したのは、ヒラヒラ揺れるトランクスタイプのパンティー。

 さすが変態。求めるものが違う。

 

「……ノーパン少年、今すぐに残りのジュエルシードを渡せ」

「誰がノーパンだ! というどうやってとった! 僕はズボンだぞ!?」

「変態に不可能は……ない!」

「なんだそれ!?」

「座右の銘みたいなもんだ。諦めてジュエルシード渡せノーパン野郎」

「ただの変態じゃないかそれ!」

「同士が増えた!!」

「仲間に入れるな!」

 

 やはりこの展開は避けられない。

 なんでだろ。こいつがいるとシリアスが続かないや。

 

「次のターゲット……………君に決めた!」

「私!?」

 

 ポケットな主人公よろしくとばかりに、高町さんがロックオンされた。千香は邪悪でゲスい笑みを浮かべる。

 

「ふっふっふっ、小学生の生パンは最高級のご褒美よ……グヘヘヘヘ」

「誰かこいつ止めて……杏子さんヘルプー」

「あ、ちなみにその次はソラだから!」

 

 ブルータスお前もか。カエサルさんと同じくと味方に裏切られた気持である。

 オレがロックオンされてしまった。こうなったら是が是非でも高町に逃げ切ってもらわなければオレの下着と貞操が危ない。

 

 千香が動きだそうとしたとき、足元から魔法陣が展開された。金髪少女やアルフからにもだ。

 

 これって転移魔法?

 

「チックショォォォォォ! 目の前に、目の前にお宝があるのにィィィィィ!」

 

 邪神は消えた。悪は去ったのだ。いやさすがに見てられないよなアレは……。

 

 そんなこと考えているとクロノ少年とオリ主くんがこちらを見て何か言いたそうだった。

 

 ふむ…………何か言ってやるか。

 

「あ、どうでもいいけど高町の体重増えてたって千香が言ってた」

「ノォォォォォォォォォォ!?」

 

 悪役らしくないって?

 

 あいにくオレは悪役でもなければ正義の味方じゃないもので。

 最後に見た高町の狼狽とオリ主くんの唖然とした顔は面白かった。

 

 ただしユーノとアルフ。未だにプレシアさんのお仕置きに興奮してるお前はもうダメだ。

 

 そう思う今日だった。

 

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 闇。何もない黒い空間があった。

 天や大地の概念がないのか、その空間にはどんなところにも足場がある。

 そんな空間に生田ミカはいた。彼女が目に向けるのはテレビ画面だ。アナログテレビをつけて、外の様子を見ていたのだ。

 

(忌々しい……。ムカつく……!)

「クスクス、苛立ってるわね」

 

 ミカの隣に現れたのは人型の形をした黒い塊だった。口振りからすれば、女性だと窺える。

 

「……アンタ、ホントにあの猫が役に立つの?」

「立つわ。なんせ、あの女にとって深い関わりがあるしね」

「……まあいいわ。私は神威が死ねばそれでいい。主人公は草太以外認めない」

 

 ミカの目はもはやかつてのような輝きはない。憎しみに染まった憎悪の眼差しに、黒い塊は「クスクス」と笑う。

 

(にしても、こうも簡単に思惑通りに動いてくれるなんてね……)

 

 彼女の口が三日月描き、笑う。

 

(誰も、渡さない。私の恋は、私の想いは渡さないわよ……? ねぇ、まどか)

 

 ナニカは笑う。

 ナニカは喜ぶ。

 ナニカは楽しむ。

 

 

 そいつはソラと千香にとって、魔法少女達にとって、因縁のある敵だった。

 




変態属性: 通称イロモノキャラ。耐久力が高くしぶとい

猫: 黒幕の傀儡。

黒幕: ラスボス。鹿目まどかを知る者であり、彼女とは接点がない■■。



お知らせ: 無印終了後、コラボ予定です。……ただいま考え中です。

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