とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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長らくエタってしまいすみませんでした。
とりあえず、書き溜めていたものを投稿という形で……。

ともかくあとがきにお知らせがあります。


第百十四話 えーと……


 

(??side)


 友江杏子は『魔女』となったさやかを見つけ、戦っていた。親友をどう助けるか具体的には考えていないが、とにかく声をかけ続けながら、さやかの攻撃をさばいていた。

 

(……ホント、なつかしいよ。まどかのヤツがまだ普通の女だった頃と同じようなことしてる)

 

 無駄かもしれない。
 無意味かもしれない。

 だが、それでもやってみないとわからない。

 

 『魔女』の剣を滑らせ、懐へ肉薄。そこから何度も何度もさやかの名前を叫び続ける。

 

『キョ……う……コ』
「ッ!」

 

 変化が訪れた。声は届いている。

 そんな希望を得た杏子はこのやり方が有効であると、確信した。

 杏子は柄を握り締め、自ずと飛び出そうとした――――矢先。


 銃声。それが鳴り響く。

 肩から鮮血が流れ、杏子の顔が苦痛で歪む。

 

『ちょうどいいタイミングね』

 

 『アケミホムラ』と『カナメマドカ』という使い魔達が現れた。

 

『ミキサヤカを泳がせて正解だったわ。あなたを満身創痍に追い込めたものですもの』
「これも全てテメーの策ってか……!」
『うんうん。サヤカちゃんに吊られて、あなたが離反することは想定のうちだったもんね♪』

 

 さやかを魔女化させたのは杏子を離反させ、一人にさせるため。彼女の周りには味方はいない。

 

 確実に彼女を仕止めるのが、今回の狙いだ。

 

『でもサヤカちゃん意識が取られそうだよね』
『仕方ないわ。彼女ごと友江さやかをやりましょう』
「仲間じゃねーのかよ! テメーらは!」

 

 杏子が噛みつくように怒鳴ると、二人はうっすらと嘲笑を浮かべた。

 

『『使い魔に仲間も何もない。それは魔法少女が一番わかっていることでしょ?』』
「外道共が……。ぜってーぶちのめす」
『それができるのかしら? 今のあなたに』

 

 『アケミホムラ』に指摘されるように、さやかはまだ不安定で味方とは言いきれない。実質、三人を相手にしなければ杏子は好戦的に口を歪めた。

 

「上等だよ。こちとら、一人で戦うのは慣れっこだ」

 

 彼女の最後の戦いが始まる。その結末を知るものは、この場にいた者とずっと見物している者のみ……。

 

(アオside)


 

 

 金髪少女の名前はヴィヴィオ。彼女はあのヘリに乗っていた保護された子どもらしい。

 そんなヴィヴィオがずっと、僕のズボンの裾を握り締めていた。

 

「ぱぱぁ」
「いや、なぜパパ? というか、僕に子どもはいないからなのは、レイハさん下ろして」
「だが断るの」
「ことわるのー」

 

 なのはを真似るヴィヴィオ。母の真似をする子どもようなという微笑ましい光景なのだが、悲しいかな。

 

 レイハさんの砲口からピンクの魔法陣が点滅している。

 

「そもそもなんで僕がパパなの!? どこにパパ要素があるって言うの!?」
「あふれんばかりの……母性でしょうか?」
「母親でしょそれ! シャッハさん」
「そうだよ! どちらかと言えば私にこそ相応しいの! 証拠としてこの胸と尻を!」
「オイぃぃぃぃぃ! ヴィヴィオの前で変なこと言うのやめてぇ!」

 

 す、スタイルが良いのは認めるけどさ。小さな女の子の前でそれはやめてほしい。

 

 将来、天ヶ瀬さんのようになったらどうするんだよ。

 

 バリィンッ!!

 

「騒ぎを聞き付け変態参上!」
「余計なものが増えた!」

 

 窓ガラスを突き破って登場する天ヶ瀬千香。窓ガラスを割るなよ。修繕費どうするつもりだよ。

 

「それはもちろん、男の甲斐性的な?」
「絶対やだ!」
「領収書には機動六課のアオ様にって書いてるから!」
「何やってるのこの人!」

 

 なんで僕が割られたガラスの代金を払わなくちゃいけないんだよ!

 

 文句を何度も言いそうになるがヴィヴィオの前で怒鳴るのは気がひけたので、呑み込んだ。

 

 くっ、なんで僕がこうなる。

 

「ぱぱぁ、ぱぱぁ」
「なんだいヴィヴィオ」
「ごりらさん~」
「いやいや病院にゴリラさんとか……」


「ウホ!」


「いたよ!?」

 

 ご丁寧に斜め四十五度のお辞儀をしてから通りすぎたし!

 

「この病院の三割がゴリラさんの患者さんですよ」
「いやなんでゴリラ!? ゴリラっぽい人ならわかるけど、なんで生のゴリラさんが患者として入院してるの!?」
「宿敵のワニと決闘でこのシーズンになるとよく入院してくるのですよ」
「いや知らないしどうでもいいんですよ!」
「ちなみに残りの七割は様々な変態です」
「病院を変えようかヴィヴィオ! ここにいたら変なの覚えちゃうから!」
「ぱぱぁ~、おぱんつってかおにつけるものなの~?」
「既にもう手遅れ!?」

 

 目の前でパンツを仮面にしている海パンの男が通りすぎる。

 

 どっかで見たことある変態モンスターなんだけど!

 

「騎士カリムもなぜヴィヴィオさんをここに入院させたのでしょうか……」
「犯人はあの予言者かァァァァァ!!」

 

 おのれ、カリム。お前だけは許さん。絶対ヴィヴィオを変態化させないぞ!

 

「どうでもいいけど、お父さん化していない? アオくん」
「自覚がないのでしょうねきっと」
「確かに。……はっ。じゃあ、ヴィヴィオちゃんのママになれば実質アオくんと夫婦!? ヴィヴィオちゃん、ママと呼んでもいいよ!」

「まおー」

「ピンポイントに覚えてほしくないもので呼ばれた!?」

 

 なのはが騒いでいるけど、僕はヴィヴィオを守ることを燃やしていた。その後、フェイトが現れて更なる混沌に陥ることを僕はまだ知らない。


(??side)


 ところ変わって誰も通らない路地裏。戦いの決着はついていた。

 

 敗者は壁にもたれ、また逃げ出していた。

 勝者はいなかったのだ。

 

 杏子は致死量が越えそうなくらいの血を流し、さやかは元の姿に戻っていた。

 

「チッ……さやかを助けるために自爆技を使ちまった」

 

 かつて使った自爆技で、身体が吹き飛ばず、五体満足であることは奇跡だったとしか言いようがない。

 

 しかし、もう彼女は助かることはない。さやかはどうなるかはわからないが、彼女は魔女化によってエネルギー無理矢理使われ、衰弱していた。

 

 このままだと二人は助からない。せめてさやかだけでも、と杏子が頭で浮かべていたとき、黒髪の女性が現れた。

 

 ドリルにようにクルクルとしたヘアースタイルで、メイド服の穏やかな女性だ。

 

「あらあら。こんなところにいたのね」
「あ、んたは……」

 

 女性の顔は暗くて見えない。しかし、なぜか懐かしいと思えた。

 

「しばらく眠りなさい。後はお姉ちゃんに任せてちょうだい」

 

 杏子は息を引き取るかのように、眠りにつき、女性は二人と共に消えた。

 その後、彼女達の行方を知るものはいない。

 




就職活動が終わりましたが、長らく放置していたのでブランクが大きくなりました。


結果、今作品を続けようかどうか迷っています。

正直、楽しんで書いていましたが、だんだんネタも今ひとつと感じてきましたし、新しいジャンルのものも書きたくなっています。

しばらくは不定期ながら更新していこうと思いますが、ともかく長らくお付き合いしていただいた方には大変申し訳ございませんが、もしかすると打ち切りするかもしれないことをお知らせしておきます。

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