とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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(変更点)
・生田ミカがいる
・杏子がサスペンスの真犯人(わけがわからないよ)
・そして結末は変わる――――生田ミカが『■■』になるという結末に



第十一話 神器使い達

 

 

 

 宇宙戦艦。それは男子にとって心が燃える素材だったりする。

 スペースワールド的なものはかつての少年達の憧れであり、それは今でも変わらない。

 

 今まさにオレはちょっとだけ感激している。

 

 現在、昨日出会った女性と取引してオレ達は管理局の艦にいた。オリ主くんはいるが寝ている。

 

 え、なんでって? うるさいから杏子がワンパンしちゃった。

 ついでに生田もサスペンス風に失神させられた。どっから入手したクロロホルム。

 

 杏子がそんな行動するとゾッするではないか。

 

 高町もそれを見て震えながらもオリ主くんを背負っているし。それからユーノくんというフェレットは人間だったと暴露された。彼はほむら達から淫獣と罵倒されたが満更でもなかった。

 どうしちまったユーノ少年……。

 

 どうでもいいけど。

 

「ここが艦長室だ」

 

 クロノ少年は扉を開けた。そこには見事なくらい似合わない和室だった。

 なんか間違った知識外国人辺りが集めそうなものばかりだし。

 

「ご苦労様クロノ。ささ、座って座って。私はこの艦の提督のリンディ・ハラオウンよ」

 

 そう言って艦長である女性はお茶を作っていた。異国人の和服は素晴らしいがお茶がいただけなかった。……緑茶に砂糖を大量に入れるものだっけ?

 

 するとマミさんがズイッと顔を彼女に近づけた。

 

「少しいいかしら?」

「え、えっと、なにかしら?」

「あなた、お茶を馬鹿にしてるでしょ? そうでしょ。そうと言いなさい」

「あ、えっ、その…………」

 

 まさかのマミさんガチギレ。そういえばマミさんってお茶にはうるさかったな。

 

 特に紅茶が専門だったりするが、リンディ提督が使う砂糖はそれなりのブランドだったはず。それが逆鱗に触れたようだ。

 

 ガミガミとお茶の素晴らしさを語り始めたマミさん。もうこうなれば止まらない……。

 

 

 そして、小一時間経ってやっと終わった。艦長さんはぐったりと着崩れして正座の痺れに耐えていた。

 長時間の正座はさすがに辛い。

 

「で、ではロストロギアのジュエルシードの話に戻すわよ……」

「休憩とった方がよくね?」

 

 さやかの一言で休憩タイムに入った。ときどきこの子って人のためになること言うよね。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 衛の言った通り、ジュエルシードの話を要約するとなんと願いを歪んだ形で叶える願望器らしい。

 

 どこの聖杯だよと思ったのはおそらくオレがfateをしたせいだ。あれはスゴい。主に士郎くんの女難と災難が。

 

 それはさておき、ジュエルシードの案件は管理局が預かるらしくオレ達は帰っていいらしい。

 高町達は納得してないみたいだが、別にいいや。

 

「よし帰るか」

「えーこの宝石貰っちゃだめなのかよー?」

「文句いわないの杏子さん。ここはプロに任せるのが一番よ」

「そーそー早く帰って大乱闘しようよ!」

「ほむらちゃん、帰ったら一緒にショッピングしに行こ♪」

「ええ♪」

 

 満場一致。んじゃ、お疲れ様でしたー。

 

 と言ったらリンディさんが止めてきた。

 

「ちょっと待ちなさい。あなた達はなのはさんの友人じゃないの?」

「「「「「「うん」」」」」」

 

 全く部外者だし。それにしてもなんだ、その協力してくれないのって言う目は。

 よし、ならば理由を言ってやろう。

 

「こんな頑固娘と勘違い男、そしてその腰巾着女が友達なわけないでしょ」

「つーか、どうでもいいし」

 

 と答えたさやかと杏子。

 

「関係ないし、ソラくんをいじめた子だし」

「ちょっとね……」

「生理的に無理」

 

 と答えたマミさん、まどか、ほむら。てか、ほむらのそれは言い過ぎだろ。容赦ないって。

 

 ほら見ろ。高町が泣きそうだぞ。ここまで露骨に嫌われたらなぁ。同情しないけど。

 

「もう少し残ってくれませんか。あなたに聞きたいことがあります」

 

 とある映像がうつし出された。これはまどかのデストロイアローだな。

 

「その技名はやめて」

「事実だろ。調子に乗って円環の魔力を使ったからこうなったんだろ」

「はりきり過ぎちゃって…………ティヒ♪」

「許す!」

「許すのかよ」

 

 まあ、なんにせよ。説明しなきゃならないんだな。

 

「こいつは神器って言う武器の力だ」

 

 オレは神器について語り始めた。

 

 

 神器――――

 

 自身の魂の一部を武器にした姿で、召喚術によって初めて出せる武器。

 

 武器それぞれの能力や形状は違うが、共通点があるとすれば身体スペックの上昇。超人クラスもなれないことはないが、召喚術という力で魔力の塊として具現化しているため、魔力が減り続けているし、尽きれば消えてしまうのも自明の理である。

 

 例外としてあげると、まどかは元々神様みたいな存在だったため、円環という無尽蔵の魔力が使えるなのでいつまでも具現化できる。

 そして、その力をフルに使ったので辺り一帯を吹き飛ばすことができたのだ。

 

「概念に干渉できる神器もあれば、時を操作する神器もある。それを使う者を神器使いと言われている」

「それじゃあ君達はロストロギアを所持しているのか!?」

「まあそうなるか」

 

 方や時を操作できるし、方やリボンでいろいろできる人がいるしなぁ。するとクロノの少年は立ち上がり、

 

「艦長、今すぐ彼らを拘束すべきです! ロストロギアの不法所持です!」

「不法所持って……。仕方ないだろ。自分の魂を武器にした姿なんだから。壊れたり、奪われたりして死ぬリスクあるし」

「そんなことで許されるか! こんな危険な人物を、化け物はこうそ――――」

 

チャキ、カチャ、ジャキッ、スチャッ

 

 ……その言葉はいただけなかった。ほら、オレ以外のみんな神器使い達が一斉にクロノ少年の頭や首を向けて武器を向けたじゃないか。

 

「オイ……今なに言おうとしたテメー」

 

 とぶちギレる杏子。

 

「いやーさっすがに今のはさやかちゃん的に見過ごせないなぁ……」

 

 目が笑ってないさやか。

 

「まどかを化け物呼ばわりとはいい度胸ね。あとソラも」

 

 オレはついでかよほむら。

 

「ふふ、おイタする子にはお仕置きが必要ね…………」

「ティヒヒヒ♪ 殺っちゃうよ?」ニコッ

 

 とニコニコ笑ってるが殺気を抑えられていないマミさんとまどか。この二人が一番怖い。

 

「覚悟はできた? 懺悔は済んだ? なら死ねゴミ」

 

 と完全にバトルモードとなった千香。この子が一番危ない。なんせ、変態の上にヤンデレ要素があるのだから。

 

 合計六人の殺気に囲まれていた。見事にぶちギレてるわみんな。

 

 クロノ少年なんかめちゃくちゃ緊張した表情しているし。反抗しようと杖を取り出そうにも、取り出せる隙すらないしな。

 戦ったとしてもこいつらには絶対勝てないのに。

 

 やれやれ、仕方ない。

 

「はいはい。そこまでだみんな。若造をいじめてあげるな」

「ぼ、僕は君より歳上だ!」

「年齢の話じゃないって。戦士としての歴史さ」

 

 オレの話を聞いてくれたみんなは武器を引いてくれた。クロノ少年は思わずへたりこみそれを見下ろす形でオレは言う。

 

「オレ達はこう見えても人間じゃない化け物や化け物以上の化け物を倒してきた」

 

 オレは英雄と言われるなら、彼女達は歴戦の猛者ところだろう。

 そして、何回も魔女という化け物戦ってきたその経験が彼女達には残っている。

 

 だから勝てない。勝てるはずもない。

 

 勝つか負けるの話ではなく、生きるか死ぬかの殺し合い。命のやり取りを何度もかけた者が簡単に負けるはずがない。

 クロノ少年もそういう戦いを経験したかもしれないが、まだまだ浅いと思えた。浅くなかったら、オレ達の実力を見ればわかるはずだからだ。

 

 さて、その念には念を入れて。

 

「もしそれでもオレ達を管理とか抜かして、平穏を乱すなら覚悟しろ――――徹底的に滅ぼしてやるよ青二才」

「ッ……!」

 

 凄まじい殺気を当てると完全に強ばった顔になる。周りに緊張がはしる。魔法少女達は慣れてるのかモノとは言わないし、千香なんてカメラを拭きながら、口笛を吹いていた。

 殺気を収めてから、オレ達は部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

(リンディside)

 

 

 

 

 

 一瞬……ほんの一瞬だけ殺された幻覚を見た。血も出さない死体へと成り下がる自分や、最愛の息子の姿が目に浮かんでしまった。

 

 息が詰まるところだった。

 

 あんな殺気を持つ子どもがいるなんて信じられない。どうすればあんな目ができる?

 ……あの目は人を簡単に切り捨てる冷たい目だ。

 

「はあ……はあ……」

「クロノ、部屋に戻って休みなさい」

「わ、わかり……ました……」

 

 さすがのクロノもキツいか。唯一震えながらも正気だったのはなのはさんと草太くんだけだった。

 何度かそういう経験があるのかしら。ならば協力を申請しよう。

 

 もしかすると敵と神威くんが組むという最悪な未来が起こるかもしれない。管理局……ううん、それだけでなく全ての次元世界に敵をまわす可能性がある。

 

 あれは火薬だ。刺激を与えれば周りも関係なく爆発する。ヘタに刺激すれば待つのは――――死だ。誰も救わない、誰も助からないという最悪の結末を迎えることだってありえる。

 

(静観……いえ、管理局には知らせない方がいいわ。ロストロギア級の兵器を持つ者達を彼らが何をするかわかったものではないわ……)

 

 私はそんなことを考えながら、事件の解決策を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、忘れてた。ジュエルシードを返した代わりにシュークリーム代の一万五千円を立て替えてください」

 

 帰ってきた神威くんのその一言で全員がズッコけたのは言うまでもない。

 

 

 

 

(??side)

 

 

 

 生田ミカは自宅に帰り、部屋に入った。そして大きなクマさんのぬいぐるみに拳を突き刺した。

 

(何様よ……あの落ちこぼれ!)

 

 神威ソラ。気弱でダメダメだった少年。何もかもが無力で劣等した存在に生田ミカは愉悦感を満たすために、幼馴染みと一緒に絶望した顔に叩き落とした。

 そして幼馴染みのマサキが屋上から落とすという暴挙にはやり過ぎ感はあったが、所詮は底辺。死んだところで誰も悲しまないだろうと思っていた。

 

 しかし屋上から突き落としてから彼は変わっていた。その後、マサキは家庭の事情で引っ越すこととなり、神威ソラを化け物だと彼女に忠告した。

 どういうことかさっぱりだったが、マサキの取り巻きである少年達も彼を恐れるようになった。

 

 いったいどうしたのかと聞くと逆に痛め付けられ、殺されかけたと言っていた。そんな馬鹿なと信じられなかった。

 けれど嘘を言ってる雰囲気ではなかったし、何より神威ソラは誰からにも嫌われなくなっていた。

 

 どういうことかさっぱりだったが彼女としては面白くなかった。落ちこぼれの男が成り上がることなど彼女には容認できなかった。

 

 またマサキがいなくなってから彼女は周りから疎遠となっていた。マサキがいたから彼女は輝けていたが、彼がいなくなってからの彼女に友人はいない。

 だから一人ぼっちの孤独だった。そんなとき現れたのが天宮草太である。彼という王子様が現れてから彼女はまた輝けるようになった。

 

 高町のような友達もでき、誰からにも避けられることなく、話しかけられるようになった。

 

 天宮草太こそ、彼女にとっての救いのヒーローだった。だからそれよりも優れた存在など許さない。落ちこぼれはなおさらである。

 

(けど、あいつは並大抵じゃ敵わない。どうすれば……)

 

 そんなとき「クスクス」と笑う少女の声が響いた。

 

『力がほしい?』

「誰!?」

『誰だっていいでしょ? それよりもほしい? 力が。あの英雄を倒せる力が』

「ほしい……。あいつを、あいつを消し去れる力が……!」

『あら……英雄を消せる力ねぇ。それほどの力はないけど、そうねぇ。私と契約しない? そうすればあの子を倒せる力をあげるわ』

「する! だから……さっさと寄越しなさい!」

 

 その刹那、生田の部屋は溢れんばかりの黒い光に包まれ、左の甲に呪印が刻まれた。

 彼女は闇に呑み込まれるもその顔に恐怖はない。

 

 狂喜。

 狂喜。

 狂喜。

 狂喜。

 

 愉悦の呑み込まれ、彼女という存在は闇がおさまったとき消えた。

 

 そして、その日を境にして生田ミカという少女が行方不明となる……。

 




宇宙戦艦: ヤマトではない。アースラという名前である

ユーノ少年: 芽が出てきた♪(byノエル)

リンディ茶: 紅茶のマミさんに説教される要因。銀さんなら飲むかも

契約したナニカ: ラスボス。ヒントは悪魔

『■■』: 呪■を■■■■災■の■■。■法■■達の■■であ■、■■■■。(ノイズにより表示できない)


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