コメディ「だがしかしシリアルから逃れられない」
シリアル「…………」(白目)
そんな感じにシリアスありつつコメディがあります。
ではどうぞ。
ティアナとスバルが合流したフォワード陣はチビソラとアオに、女の子を保護することを頼み、二人は地下にあると推測されるレリックを回収に向かった。
女の子の足首の複数のケースがあった痕跡のため、おそらく残りは地下にも……と思って二人は暗闇の地下水道の道を進んでいた。
今後の予定としては、103部隊のスバルの姉、ギンガ・ナカジマと合流するつもりだ。
「暗いね……こうも視界が悪いと前に進みにくいよ」
「エリオくんのフラッシュなら……!」
「僕はポケットなモンスターじゃないから無理」
「大丈夫。このわざマシンがあれば、エリオくんでも覚えられるよ」
「どこでそんなもの手にいれたの!?」
「フェイトさんの引き出し。十万ボルトにしようか迷った」
「なんでそんなものをフェイトさんが持ってるの!?」
謎のディスクを取り出すキャロにエリオのツッコミは冴え渡る。
それはさておき、フラッシュを覚えることなく、魔力の球体による光で前を照らしていた。
そもそもフラッシュなんて、周りを明るくさせてしまうので敵に感知されるリスクが高いし、奇襲される可能性もある。
二人が前を進んでいると銀のアタッシュケースが落ちていた。
「見つけたね」
「何事もなくなくてよかったよ」
「エリオくん。それフラグだから」
「なんの?」
「ヒロインか主人公の親友がマミるフラグ」
「ちょっと待って! そんなフラグ嫌だよ!」
が、エリオの願いも空しく。目の前に現れた人型の使い魔がアタッシュケースを奪いにきた。
敵と知るや否やエリオはデバイスを起動させ、使い魔の拳に槍の柄をぶつけて軌道を逸らさせた。
「この人……いや、人なのか?」
「ガリューは人じゃない」
コツコツと暗闇から現れたのは、薄紫の少女――ルーテシアだ。彼女の傍らには、ユニゾンデバイスのアギトがふんぞり反って、フヨフヨと浮いていた。
「そのケースを渡しな。痛い目に遭いたくなきゃ――」
「やぁー!!」
キャロがアギトに向けてアタッシュケースをぶん投げた。
「うぉ! あぶねーな!」
アギトは受け止めることなく避けたため、アタッシュケースはそのまま水道へ落ちて流れていく。
沈黙がしばらく続いてから、アギトがキッとキャロを睨み付ける。
「いきなり何しやがる!」
「え、だって渡せって言ったから」
「だからって、投げるのか!? こんな成りのアタシに向けて投げるのか!?」
「だってあなたが渡せって言っていたから、キャロはあなたに渡したじゃないですか」
吠えるアギトにエリオはキャロを擁護する。
「……アギト」
「…………」
そしてルーテシアとガリューは半目でアギトを見つめる。
「え、アタシのせい!? これアタシが悪者なの!?」
うがーと吠えるアギトに、エリオは呆れながら流れていくアタッシュケースに向けて駆けていく。アタッシュケースを回収してから、エリオは挟み撃ちするような立ち位置で話始める。
「一応、回収しましたがこれからどうしますか?」
「当然。奪う」
「最初からそう言えばいいよ。……そうしなきゃ、合法的にボキボキにできないから!」
「こわっ。このピンクこえーよ!!」
キャロがズドンッと地を蹴り、ルーテシアも同じく地を蹴った。そして二人の拳がぶつかり、空気に振動がはしる。
「へぇ……すごい筋肉だね!」
「……あなたも」
「君、名前は?」
「ルーテシア・アルピーノ。筋肉の強さを極限まで極めようとする者……」
「面白いよ! 私と同じ同志が敵対するなんて!」
そのまま拳と足をぶつけ合い、格闘を始めるキャロとルーテシア。
エリオとガリューは呆然とそれを見ていた。
「……ルーテシアちゃんって格闘できるの?」
「……昔はガリューに任せっきりな召喚術師だったんだが、八神衛の『筋肉演説 ~諸君、見よ。このマッスルを!!~』をタイミング悪く見ちまって、それで目覚めた」
「タイミング悪くって……」
「ルーテシアのお袋でちょっとな……」
エリオはなんとなく察した。……落ち込んだときに、前向きで感動できるものを見ると、影響されやすいものなのだ。
そんなこんなでガリューを含めた使い魔軍団とエリオ達の戦いが幕開けた。
一方、その頃。ガジェットや使い魔の集団を市街地から駆逐するために、なのはとフェイトが飛び回って魔力弾を発射していた。
それなりの数はいるが、苦戦するまでもない。なのはとフェイトはスイスイと敵を駆逐している中で、ヒュンッと黒色の一線が飛び込んできた。
フェイトは『バルディッシュ』で弾き飛ばし、投擲してきた犯人を空中から見据える。
彼女の表情から喜色が失われた。なのはも同様に「信じられない」と言った顔になる。
「さやか……ちゃん?」
青い衣装が黒になり、瞳がダークブルーとなり、サーベルの刃は白から黒へ染めたさやかが無数のサーベルを浮かせて、フェイト達を見ていた。
さらに、黒い穴からアルトリアも現れる。
「邪魔させてもらうぞ」
「邪魔するなら帰ってほしいのだけど」
「はいそうですかと言うと思っているのか? たわけめ」
ロングアーチからの情報伝達より、ガジェットと使い魔の援軍が来ると二人の耳に届く。苦虫を噛む想いで、その援軍を無視しなければ敵の二人を撃破することが不可能だ。
「くっ、このままだと搬送中のヘリに……!」
「てか、なんか援軍増えてない!?」
急に援軍が増えた気がしてならないなのはに、アルトリアはご丁寧に答えた。
「偽りを交えたものだ。そう簡単には落ちないぞ」
ナンバーズのクワットロという女性のIS『シルバーカーテン』の能力だ。幻影を交えた援軍のため、仮に二人が撃退に向かったとしても切りがない。
フェイトとなのはが敵の二人に構えようとしたとき、ビルからピンクの魔力矢が敵二人に向かって飛んできた。
回避した二人が見たものは、ビルで弓を構えるまどかの姿だ。
「邪魔者がつぎつぎと……――――なっ」
アルトリアが驚愕したのは、さやかの背後から赤いものが飛び込んできた。
槍を構えた杏子だ。偶然にも捜していた彼女が、さやかを見つけ、そして仲間のピンチに助太刀するために突貫してきたのだ。
さやかは杏子に押し倒されるように、ビルから落とされる。杏子はまどかとフェイト達に向けて言った。
「ここはアタシとアイツに任せて先に行け!」
まどかは頷くと、ビルから跳び上がり、空中に魔力の足場を作りながらフェイト達と合流した。
フェイト達は『アイツ』とは何か聞こうとしたとき、その正体がわかった。
『ドコでもドア』が出現し、そこにいたのは金髪のオッドアイの青年。テンプレ踏み台転生者のような容姿のくせにして、かなりまともな男。
「……ナレーションさんの紹介ひどくない?」
「何を言ってるのかさっぱりだぞ古宮アオ」
「あー……気にしないで。単なるメタ発言だから」
「わけがわからない……ぞ!」
白い『全てを開く者』とアルトリアの黄金に輝く黒い剣がぶつかる。
金属音が響き、二人の戦いが幕開けた。
その頃。追撃するような形で、ガジェットと使い魔の軍団を駆逐するフェイト達。
そんな最中、はやてのリミッターの限定解除が許可された。はやての遠距離広域魔法で一掃するという作戦だ。
フェイトとなのは、まどかはガジェットと使い魔達をはやてに任せてヘリの擁護に向かう。
……その一方。映像から彼女達の動向を見ているものがいた。
執務室にて、中年の髭を生やした男と眼鏡をかけたインテリ系の美人の女性がはやての魔法を見ていた。
彼の名前はレジアス・ゲイツ。地上本部のトップだ。
レジアスは六課の素性を知ると顔をしかめる。地上本部は治安部隊として勤めてきたが、聖堂教会のようなわけのわからない団体をバックにし、ポッとの出の部隊に活躍を奪われるとなると面白くないのだ。
「所詮は元犯罪者の分際が」
「問題発言です。公式の場ではお控えください」
「わかっておる! 視察の準備へ向かえ。もしかしたら、ヤツらの失態が公になり、審議に持ち込めるかもしれんからな」
嗜虐的と言わないものの、嫌な笑みを浮かべるとレジアスの娘であるオーリスは思う。部屋から出たレジアスの背後からクスクスと笑う少女が現れた。
「貴様か……順調か?」
「えぇ。順調よ。それにしても面白いことになってるわね」
「ふんっ。貴様の手など借りずとも我々はやっていける。いずれ、貴様を逮捕してやる」
「お好きにどうぞ。私はただ
悪魔『一ノ瀬シイ』はカリムの予言を知っていた。なぜそのようなことをする必要があるのか甚だ疑問に感じるレジアスだが、下らないと一蹴してそのまま悪魔から離れた。
残された悪魔は愉悦な笑みを浮かべる。
「暇潰しに来てみたら、存外楽しいものだわ。……フフ、さてと。こちらもいい加減に『アレ』を回収しないと……ね」
『アレ』は『彼』の一部。
死んだことにより、不安定な『継承』により時渡りした『彼』の武器。
――――それがなんなのかは……このとき、誰も知るよしもなかった
わざマシン: ポケットのモンスターの作品で、誰もがお世話になったマシン。ちなみにフラッシュがひでマシンとなっている作品が……?
『筋肉演説 ~諸君、見よ。このマッスルを!!~』:
著作:天道衛
編集:アームストロング株式会社
内容:見よ、この素晴らしき筋肉よ!!(※写真集ではございません。写真集は別冊で販売されています)
最後の文章: 本当にアレはアオの神器なのだろうか?