とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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題名:まどかがマジで誤解していたらしい(笑)

久しぶりの投稿です。どうぞ!


第百五話 ホテル・アグスタ(え、ラブホじゃないのここ!? byまどか)

 

 オークション。珍しい骨董品を売ることを目的としている一種の売買である。

 その会場。ホテル・アグスタという高級ホテルへ機動六課は向かっていた。

 

 公式的なロストロギアはもちろんのこと、密輸の形でこのオークションで売買される一種の取引現場である。それを抑えるわけでもないが、今回は護衛として機動六課は出動した。

 

 中と外。それぞれに防衛として配置される。

 はやて、フェイト、なのはは中へ護衛として入る。彼女達はもちろんオークションに参加という形なので、ドレスアップしていた。

 

 はやては水色を基調にしたドレスだ。羽衣のようなものを腕に巻き付き、天女のようなドレスである。

 フェイトは紫を基調にした胸元を強調としたドレスだ。

 なのはは白と赤のドレスでスレンダンサーを強調するようなドレスだ。

 

 それぞれが貴婦人と見られてもおかしくない姿に、ティアナとスバルはもちろんこと、キャロは目をキラキラさせていた。

 やはり綺麗な女性に憧れるのは少女の当たり前である。

 

「ふむ、肉が付いてきたとぼやいていたがやはりはやてはスリムであるぞ!」

「みんなの前で言うなや! シバくでっ?」

「既にシバいてるではないか。……ふむ、今度は背筋をシバいてくれ。はやてのポカポカはマッサージとして気持ちよいぞ!」

「誰かこの旦那にデリカシー教えてや……」

 

 うぅ……と泣き言を言い出すはやてにツヴァイはよしよしと頭を撫でる。

 一方、なのはとフェイトはデバイスのウィンドから一人の男性に話しかけていた。

 

「ねぇねぇ、なのは達綺麗? 綺麗だよね?」

『うん、綺麗だよ。というか、昨晩。雷斗さんの仕事から帰ってから徹夜で警護しているのだけど、なんで僕なのかな?』

「え、暇だったでしょ。アニメとか見ているし」

『仕事帰りから徹夜で警護に駆り出されるってどうなのよー!! おかげでこっちはハイテンションだよコンチクショー!!』

「あ、アオ。ごめんね。あとで好きなものおごってあげるから落ち着いてね? ね?」

「駄犬。フェイトちゃんの好意をありがたく思ってよね」

『毎度のことながら僕の扱いがひどくなってませんかねぇなのはさん!?』

「スカさんとアニメ談義して楽しんでいるアオくんにしっ――――じゃなかった殺意を持っているのです。にぱー☆」

『殺意!? なんで嫉妬じゃなくて殺意って言い直したの!?』

 

 などと男性との会話を楽しむ(?)なのはとフェイト。

 夫婦漫才を未だに続けているはやてとなのは達を交互に見ながら、ティアナは嘆息を吐いた。

 

「カオスね……」

「さて、今からアグスタのオークションは骨董品じゃなくて美少女写真集のオークションに変えてしんぜよう!!」

「夢が広がるね!」

「アンタらホント、何しに来たのよ!?」

 

 同じくドレスアップしているまどかと千香にもツッコむティアナである。

 まどかはピンクのドレスで、小動物さをアピールするような可憐なもので、千香は大胆に背中を見せる銀色のドレスである。

 

 見た目は最高だが、会話が最悪である。返せ、淑女の形を。

 

「ねーねー、スバル姉ちゃん。ホテルって何するとこなのー?」

「えっと、寝て食べて一日過ごすところ……?」

「ソラくん。ホテルはね。大人の夢の場所なんだよ」

「そーそー。具体的には男と女が合体して、楽しむところ」

「オイぃぃぃぃぃ! 子どもに何教えるんだよテメェらァァァァァ!!」

 

 変態二人に拳骨を落とす雷斗。今回の助っ人である。痛そうに涙目になる変態達に嘆息を吐く雷斗に、ティアナは「ご苦労様です」と労いの言葉をかける。

 だったら手伝えと雷斗は言いたげだが、残念。自分のレベルでは胃痛で倒れるのであるとティアナは自負している。ぶっちゃければ、ツッコむのがめんどくさいのである。

 

「さて、そろそろ着くけど準備はええ?」

「八神はやて総隊長。ホテルって男と女が合体する場所って教えてもらったけど、合体ってどういうことなの?」

「よっしゃあ。とりあえず、チビソラくんにこんなこと教えたヤツ。……あとで反省文五十枚やボケ」

 

 子どもになんてことを教えたんじゃこのアホンダラと睨みを効かすはやてに、隊員達の冷や汗は止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーねー、アオ兄ちゃん。ホテルでの合体ってどういう意味?」

「えっと、それはこのアグスタが合体変形ロボだからかも?」

「じゃあ男と女が合体するってどういうことなの?」

「それはパイロット同士が意志疎通して、合体ロボを完成させるんだよ。どっかの創世記のように!」

「うぉぉー。アグスタスゲー!!」

「いや、きっと違うけど……。まあいいか。誤魔化せたし」

 

 アオと交代する形でなのは達はアグスタ内に入り、アオは仮眠室へ向かう。そしてチビソラ達はそれぞれ護衛の配置についた。

 ところ変わってアグスタ内では知り合いに出会えてはなのは達のテンションは上がっていた。

 

「あ、ユーノくんだ。変態の」

「こんにちわユーノ。変態の」

「さりげなく変態はやめてほしいなぁ。事実だけど!」

「サムアップして返すなや」

「はは……相変わらずですね」

 

 ユーノと視察官のアコースは彼女達の再会に少し喜ぶ。友人と出会えたのははやての結婚式以来である。

 

「まさかはやてがこんな早くも結婚するなんてね。狙っていたのに」

「おや。そうなん? なんなら今から狙ってみる? 衛くんとガチバトルして納得させること前提でお付き合いしたいならええけど」

「すみませんマジで悪かったからごめんなさい」

「即座に土下座するほどのことなのかい?」

「ああ。衛さんのガチバトルはマジで身体がいくつもあっても勝てる気がしねぇ……」

 

 冗談抜きでガチチートなのである。結婚式の日に夜天の書の逆恨みテロリスト達が襲撃してきたが、自慢の『愛』と『勇気』と『筋肉』でテロリストをまとめて一撃必殺した化け物である。Aランクの魔導師もいたのだが、SSランクオーバーな衛には勝てるはずもなかった……。

 

「その後起きたブーケーキャッチの女性陣の鬼気迫る勢いにはドン引きさ……」

「いやー、あんなガチンコバトルまで発展させるなんてねー……」

 

 遠い目をしながら思い出すのは誓いのキスが終わり、ブーケを投げた瞬間――戦争勃発。ブーケをキャッチすれば次にゴールインする可能性があるという謎の迷信を信じていたのか、他者を蹴落とし、自らのゴールインを得るために争った。

 もちろんブーケは既にボロボロで花びら一つもなくなっていたし、最後にキャッチしたのは通りすがりのカラスである。

 次にゴールインするのは『アーアー』と鳴くレイブンくんだろう……。

 

「ぐっ、思い出しただけであのカラスが腹立つの」

「次こそ手に入れてみせる。アオと結ばれるためにも!!」

「アオくんは私のものだよ。このNANOHAちゃんのものなの」

「たとえ、なのはでも負けないよ」

「よろしい。この魔王にかかってこいなの勇者ちゃんよ!」

「ノリええな二人は」

 

 フシャーと威嚇し合う二人に、呆れた視線を向けるはやて。外はどうなっているのだろうかと少し心配していると、パティシエ姿で大きなケーキを運ぶ雷斗の姿が目に入る。

 あれ? 外の護衛じゃなかったっけと思う三人だがユーノは彼女達に、

 

「元からここにケーキを作ってもらうために呼んでいたんのさ」

「ちゅーことは元からここに来る予定やなんやな。まあええわ。このまま中で護衛してもらお」

「その間にお料理をタッパーに入れるんだねはやてちゃん!」

「さすが主婦。少し小汚ない!」

「ちゃうわボケ。てか、そんなんしたら怒られるわ」

 

 という漫才をしながら時間は過ぎていく――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、その頃。外にて、ティアナ達を含めて護衛組は配置についていた。司令塔はシャマルが行い、そこから指示を出す。

 チビソラは柔軟しながら、何やら考え込んでいた。

 

(んー……ティア姉ちゃんの表情堅いなぁ。こうなったら千香姉ちゃん直伝の『お尻を撫でようぜ作戦』を実行するべきなぁ?)

 

 それをやれば確実に泣かされる。千香もシバき回される。まあ、チビソラに余計なことを教えた報いなのだが、それは実行される前にアラートが鳴り響く。

 

『来たわよ。使い魔……いえ、これはガジェット!?』

「がじぇっと?」

「対魔導師の自立思考型の兵器よ。その兵器は魔力を無力化するAMFってフィールドを使って魔法を無効にするのよ」

 

 ティアナの説明通り、AMF――アンチ・マギリング・フィールドは低ランクの魔導師にとって無敵の兵器と相手することになる。

 ティアナ達はBランクの魔導師ゆえに、倒せないことはないが如何せん破壊に時間をかけてしまう。

 

「新人共はそのまま! チビソラもそこにいろ。アタシとシグナム、ザフィーラが蹴散らしてくる!」

 

 「了解」と答えるとヴィータはガジェットがいる森の中へ入った。今から自分の知らない敵が襲撃してくる。

 そう思うとチビソラは少し緊張してきた。

 ヴィータ達がガジェット達を倒しているのをしばらく見ていると、その映像に映るガジェットの動きに統率が生まれていた。

 

 チビソラは見過ごさなかった。小さな羽虫がガジェットの中に入ってきたところを。

 

(今のは……まさか)

 

 そんなとき、紫の魔法陣が現れる。三角模様を何重にも張り巡らせた陣が、六つ。

 

 チビソラはその魔法陣のことは知らないが、なんとなく理解してから呟く。

 

「召喚、陣?」

「ッ! 全員、警戒!! やっこさんが来るわよ!」

 

 彼の答えは正しかった。陣からガジェット達が現れた。

 おまけに統率がよくとれた動きをしており、ティアナとスバル、キャロとエリオ、そしてチビソラへと分断された。

 

「ソラさん!」

「大丈夫! なんとなくだけど、こういうのなんか経験したことがあるなら援軍は不用だよエリオット!」

「エリオですからね!?」

 

 ボケるくらい余裕がチビソラにはあった。相手は統率系統が得意、魔導師かはたまた魔法少女だ。

 集団戦に持ち込めば倒せると踏んだのだろう。

 

「……甘いっての。こちとら、伊達にこんな集団戦法を何百(・・)も経験してるっての」

 

 彼らしくない口調で『チビソラ』はそう言った。彼が少しずつ目覚め始める……。

 




ドレス姿な彼女達: 見た目は麗しく蠱惑的だが、中身が残念……

最後のシーンのチビソラ: 大人から子どもへ戻った彼だからこそ目覚めかけている……とスカさんは推測している

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